タイトル:【愛虐】 ぬこ鍋ならぬ・・・
ファイル:ジッソ鍋.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:10262 レス数:1
初投稿日時:2007/12/30-11:02:01修正日時:2007/12/30-11:02:01
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ジッソ鍋

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人が行き交う町中、大手レンタルビデオ屋前にレポーターが立っていた。
『今、ジッソ鍋というタイトルのビデオが大大大ブームに”なろうとしています。”
 ジッソ鍋…そう言うと誰もが実装石鍋と捉えてしまうでしょう』

『まぁ、実装ちゃんを鍋にして食べちゃうなんて信じられないわ』

『いえ、ご安心下さい、そんな野蛮なものが流行してお店のメニューに並んでいる訳ではあ…』

町の様子が映し出されると、通りの精肉店に”超格安!冬は新鮮実装鍋”というのぼりが立っている。
慌ててカメラがパンすると、ファミリーレストランでも”ワンコインで超満腹、実装鍋フェア”と…。

『まぁ、深い事はお気になさらずに』
スタジオからフォローになっていないフォローが入る。

『このジッソ鍋ですねぇ、え?あっ!はい、では、一応、とにかく、こちらをご覧下さい…。
 カワイイ実装ちゃんが土鍋の中で愛らしい姿を振りまいていますよぉ〜カワイイですねぇ〜♪』
突然、ビデオの画像に切り替わる。

かなり慌てているのか、字幕に”逮捕された社会保険庁職員”と前のニュースの字幕が登場しているが、
それは、土鍋の中に入って踊ったり寝ている実装石の姿をホームビデオで撮影したものだ。


どう考えても…というか、考える必要もなく明らかに”ぬこ鍋”を実装石に置き換えただけの、
内容も発想も全てパクった…さらに売り方もパクろうというのが見え見えである。

『主婦の方が、ぐぅーぜん、土鍋に入って寝る姿を撮ったものをネット上にアップロード、
 実装ちゃんのその愛くるしい姿がネット上の投稿サイトで話題となり、
 あの”ぬこ鍋”を凌ぐ速さと反響で、商品化を望むメールが毎日大殺到、待望の商品化となったのです。
 土鍋には実装ちゃんが好んで寝やすい要素が詰まっているとの研究成果も…』

いやいやいや…そんな話、ネット上でも聞いた事ねーし。

『先月発売されましたが、発売前からの大人気、
 予想外の人気に未だに予約分の生産すら追いつかないそうで…、
 ほら見て下さい、このお店でもこんなに大量に商品を用意して準備しておりますが、
 これでもすぐに無くなるかも知れないとの事でーす。
 このパッケージも実装ちゃん、親仔でかーわいーですねぇ!』

まだ、釣り下げPOPには、新発売の文句が踊っている。

まてまて、購買意欲を煽る文句を只ぶち込めば良いという物でも無かろう…。
予約が追いつかないのに、店頭に山積みって、明らかにおかしいだろうが。
むしろ、ぜんぜん売れないから宣伝してますって言っているだけだろう。

大体、パクリ元の”ぬこ鍋”が流行ったのって、どんだけ前だよ…
TVで取り上げられたのすらもうかなり前だぞ。

男はそう突っ込みながらTVの電源を落とした。

話は、この男とは無関係な場所で起こっていた。

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「デェェェズゥゥゥゥゥ〜  デェェェェェズゥゥゥゥゥ…デッ」
ガリガリガリ…キリキリキリ…
「「テェェェェェェチィィィィィ〜  テェェェェェチィィィィィィィ…テチ」」
カリカリカリ…

鼾と歯軋りを響かせて、1匹の実装石と4匹の仔実装が、
縁側で日差しを受けながら、その日差しの暖かさでウトウトと惰眠を貪っていた。

締め切られた扉を1つ隔てれば、この家族は惰眠を貪るどころの気分ではなくなる。
しかし、この家族は、扉の内側にいる事が出来た実装石である。

その幸運な実装石の名は桃華と書いて”モモカ”
生後1週間目の4匹の仔達には名前はまだない。


その実装石達の隣では、その飼い主の中年女性が、同様に日差しを受けながら何かをしていた。


ボウルが幾つか用意され、まな板と食材が置かれてある。
そして、土鍋が幾つか用意されている。

女性はそのボウルを手にすると、慣れた手つきで次々とつくねを作り出し、土鍋に沈めていく。

『あーなーたぁー…つくね、出来た鍋から下茹でしてくださるぅー』

『あー…おー…』

『あら、また生返事ね…まったく、今日は大所帯になるっていうのに緊張感のない…』

今日は、中年女性の息子・娘家族が一同に帰ってくる日…。
孫達には食べ盛りの子供も多く、気合いを入れた自慢のつくね鍋での出迎えの準備であった。
鰯つくね、鶏つくね、さらに、合わせる具材にも工夫を凝らして種類を広めてある。

『あら奥様っ!』

突然の大きな声に顔を上げると、隣の中年女性がズケズケと庭を横断してきていた。
この婦人こそ、このモモカの飼い主を実装石飼いの道に引きずり込んだ張本人である。

その後ろをポテポテと、おそろいのフワフワ襟のコートを実装石と、
同じ格好の仔実装が3匹、列をなして着いてきていた。


『あらあら、山田さんにジェニァーちゃん!』
飼い主がガラリとガラスの引き戸を開けると、外の空気がその風と共に入り込み、
ウトウトと陽に照らされ眠っていた実装石親子は「デスゥ…」と不機嫌そうに顔を上げる。

しかし、その上げた顔の先に、見慣れた仲間の姿を認めると、
「デスデスゥ〜♪」と笑顔で立ち上がって駆け寄り、「デッスゥ〜ン♪」と鳴き合い、ヒシッと抱き合う。

仔達も「テチャ〜テチャ〜♪」と騒がしく忙しなく、親の真似をするように入り乱れてハグを交わす。


『そう言えば、今日はお子さん達が戻ってこられるんでしょ?
 うらやましぃわぁ…ウチの子なんか年末に電話すらよこさないのよ』

『タダ飯が恋しいだけよ…それと孫達のお年玉稼ぎよ』
そう言いながらも女性は嬉しそうにつくねを作る。

『お鍋と言えば、今朝の”めぇさませテレビ”のジッソ鍋はご覧になりましたぁ?』

『ウチは朝は美野(びの)さんの”今朝(ケサ)ズバ”見てましたのよ、でもジッソ鍋やってましたわよ』


『可愛かったわねぇ〜どう?丁度お鍋もあるし、お庭でやってみません事?』

『そうねぇ、ちょっとやってみましょうか?』


そうして寒空の下、空いた鍋でのお互いの飼い実装の撮影会が始まった。


「デースゥー  デスゥー」
『ジェニファーちゃーん、お手々振って頂戴ね〜そうそう、可愛いわよぉ〜』

「デスデスデスゥ〜ン♪」
『モモカちゃんのコートもいい色ですわねぇ』

2つの空き鍋をつかって実装石達を遊ばせ出すと、もう婦人は鍋料理どころではなくなる。


「テチューテッチュー」「テチィ、テチテチ」
仔実装達も土鍋の上に上がろうとするが、産まれて間もないモモカの仔達自力では上がれない。
縁に手を掛けて上がろうとすると、丸底の土鍋が傾き、カクンとなった事で手を放して尻餅をつく。

「テェェェェン テェェェェン」
「テチィ?テチテチィ、テチューテチュー」
尻餅をついた仔実装に他の仔実装が集まってきて頭を撫でたり、宥めたりし始める。

その様子がさらに2人の婦人を盛り上げる。

やがて、鍋に登れない仔実装達を鍋の中に入れての撮影となる。

親実装と仔、モモカの仔とジェニファーの仔、数を増やし減らし、鍋をくっつけたり離したり。


鍋の中ではしゃぐ仔実装。
丸い底は、不器用な仔実装にはなかなか安定せず、自由に歩き回れないが、
その不自由さが、また仔実装達にも楽しいのか、
わざと激しく動き回り、転ぶ事すら楽しんでいる。

中に入れられた仔は、盛んに外の姉妹や友達、親に手を振ったり手を伸ばしたりしている。

そして、入れる数を増やしていくと、次第に、鍋の中で遊び出す。
鍋が揺れる感覚が楽しいのか、手を繋ぎあってバタバタ飛び跳ねたり、
おしくらまんじゅうをして寒さを忘れてはしゃぐ。



『この鍋だと大人に丁度良いわね。
 あら、疲れたのかしら…こっちの鍋の仔達は寝ちゃったわ』

『眠りたい盛りなのよ、そっとしておきましょう』

ジェニファーと仔一匹の組み合わせの撮影している間に、
ほんの少しの間放置されたモモカとジェニファーの仔達は鍋の中で身を寄せ合って眠りに就いた。

その丸底と土鍋特有の冷たさが、動き回った仔実装に快適な寝心地を提供していた。

『あら、電池が切れちゃったわ…良いところなのに…。
 そうだわ、ビデオの充電する間、ウチでお茶でもしません事?
 セーターを編みましたのよ、ジェニファー達と、モモカちゃん達の分もありますの』

『まぁ、よろしいんですの?ではお呼ばれいたしますわ…。
 仔達はこのまま寝かせておいて、モモカだけ連れて行きますわ』

『そうねぇ、今ならお陽様も出ているし、厚着もしているから風さえ無ければ風邪は引かないわね。
 ほら、貴方もみんなと仲良くここでおねむしていなさいね』

「テチュ?テチテチテーチィ♪」

そう言うと、婦人達は、その1匹の仔もその鍋に入れ、蓋をして隣の家に向かった。

その仔は、蓋を閉めるまで婦人達に両手を振って挨拶すると、
寒いのがイヤなのか、寝ている姉妹達を掻き分けて間に挟まり、その肉の暖かさで眠りに就いた。

「少し寒いテチ…ミンナあったかテチ…ンチンチ入るテチ…やっぱり暖かいテチュン♪」

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『おーい、かぁさーん…かぁさん…まったく、人をコキ使って、まーたお隣だな?
 鍋の準備も途中で…   ええっと、出来たつくねから下茹ですれば良いんだな?』

家の奥から主人が顔を出す。
縁側でつくね作りをしていた婦人の姿はない。

鍋も材料も、いつの間にか、庭のテーブルに移動していた。

『まったく、お隣と話が合うと、仕事を忘れるのは昔からの悪い癖だ!
 ええっと、蓋が閉まっているのは準備OKなんだな?』

主人は蓋の閉まった鍋を1つ、蓋を開けてみると、そこには水を張った中につくねがちゃんと入っていた。
大人数が来るので、つくねをあらかじめ茹でてアクを取っておくつもりなのだ。

『なんだ、水は入って居るんだな?ならこのまま弱火で煮れば良いんだな』

主人は、その鍋を台所に運ぶと、再び庭に出てもう1つ蓋の閉まった鍋を手にする。
取り敢えず、中身が入っている重さを感じたので間違いがないと思った。


主人は、2つの土鍋をコンロに乗せ、弱火にするとすぐにその場を離れた。

『あんな所につくりさしを置いといたらダメになるじゃないか…
 さっきは掃除を人に頼んでおいて、急に鍋を火に掛けろとか、まったく世話の焼ける』

主人は、庭先に出しっぱなしのそれらを片付けに向かった。

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鍋の中は快適であった。

流石に合計7匹では少し狭いながらも、それだけに7匹は固まるようになり、
鍋底の傾斜も自然と7匹を寄せ集め、お互いの体温で気持ちよくなっていた。

冷たい底が、暖まった身体から程よく熱を奪い、中が暑くなりすぎない。
むしろ、若干低めになる為に深い眠りに適した環境になる。

蓋も閉められ、暗くなった鍋の中で、小休止のつもりが深い眠りに落ちていた。


しかし、その鍋は今はコンロで弱火に駆けられている。


弱火だけに、すぐには熱さは感じない。
さらに土鍋という事で、火に掛けられた直後に判る程の熱伝導率ではない。


「テチュ…テチィー…テチッ」「テチュ…テチュ…テェー」
鍋底が、仔実装達から体温を奪わずに、逆に少しずつ暖め始めると、
やや寝苦しそうに、仔実装達がモゾモゾとし始める。

「テップゥ…テェー…テェーッ…テチュー」
「テテテテテ…テェーッチュ…テェー」

やがて寝汗が酷くなると、真ん中の仔達は、自然と寝返り動作を繰り返し、
なんとか自分の周りを外に追い出そうとし始める。
しかし、外の仔達も、肌を接する仔と距離を置きたいのだが、動いても身体は自然と真ん中に寄っていく。


「テチュ!テッ…テチー なにテチ寝にくいテチ…やたらアツイテチュ」

そのうちに1匹が流石に寝苦しさに目を醒ます。

だが、その頃には土鍋は底の層が芯まで暖まりつつあった。
土鍋特有の遠赤外線効果の熱がジワジワとそして確かに仔実装達を暖めていた。
それが発汗を促し、それが湿度を上げ、じわりと暖まる土鍋はいまやサウナと化していた。

「何テチ、何テチ、この熱さは何テチ」
「テェェェェ  イキグルシイテチ」
「急に熱くなってきたテチ…寝ていられないテチ」


流石に他の仔達も起き始め、暗さと熱さでキョロキョロと辺りを見始める。


「さっきまでスゴク寝やすかったテチ…テッ、アツイテチ、くっつくなテチ」
「身体が勝手にコッチに来るテチ、オマエこそ離れるテチ…アタマのワルイヤツテチ」
「ママはドコテチ?ゴシュジンタマはドコテチ?もう出たいテチ」
「テチュー… これはアツ過ぎテチ…脱ぐテチ脱ぐテチ」

1匹がコートを脱ぎ出すと、皆が熱さに服を脱ぎ出す。

また、熱さに気が立った仔達はイラ立ち、汗で滑った肌が触れた触れないに過敏になり、
一言言われれば反論せざるを得ない状態にしていた。


「アタマがワルイとは失礼テチ!オマエの方が太っているからアツクルシイテチュ!」
「そのウンコな態度はドコから来るテチ!隣のクソビンボーなバカモモカババアの仔のクセにテチ」
「何テチ!オマエのママこそ、ブリッコババアのジェニファーってママが言っていたテチィ!」
「ワタシの方が先に生まれたのにその口の利き方は何テチッ!ママも侮辱したテチィィィィ!」
「テチィィィ!!ぶったテチ!オマエの方が先にワタシのママを侮辱したテチィ!!」

「テチャ!イタイテチ!ワタシは関係ないテチ!何で叩くテチ!!」
「テチ!?オマエなんか狙ってないテチュ、そんなところにボーッとしている方がスカポンタンテチ」
ついに手が出始めると、狭いだけに関係ない者までケンカに巻き込まれ始める。


その間にも弱火の熱を蓄えた鍋底は、既に仔達が接する面まで熱が伝わりだしていた。
ジワリとくる暖かさではなく、いよいよ加熱の熱さが直接牙を剥きだしたのだ。


こうなるともはやケンカや肌触れ合う暑苦しさを気にするどころではなくなる。


「テチャ!何かアツイテチ!これは暑いどころじゃなく熱いテチッ!!」
「テチャ、テチィ、テテッテッテッテチッ」
「テチャッチャッ!アツイテチ、アツイテチ、テッテテッテェェェェ!」

ジュ、ジュ…


仔実装の足下からは微かに煙が上がり、その足の裏は赤くなり始め、自然と忙しなく足をバタつかせ始める。

したたり落ちた汗も、ジュッと瞬く間に蒸気に変わり、さらにサウナ化が加速する。

さらに、熱さに思わず緩む肛門のから零れ落ちるモノ、
実装石は糞尿一体排泄の為にそのモノにも大量の水分が混じっている。
幸いに、親からしてペット実装で臭いに配慮した食事をしているために、
いかにも実装石という糞の臭いは無いが、その量が多いために急速なサウナ化が進む。

「テェェェテテッテェェェッ」
「これはヒドイテチッ!足が足がっ、テテテテ、コートの上に乗るテチッ!!」
「服も脱ぐテチ…服も敷くテチッ…アツッテチィ!!」

遂に全員が一斉に頭巾とパンツを除いて服も脱ぎだし、
コートを踏み均して敷いた床にさらに覆い被せて踏み均しながら足場を作る。

それもそのはず、うだる所の暑さではなくなっている。

下は、今やコートや大切な服を下に踏みつけても、
足をバタバタとさせる以外に足の裏の熱さを凌ぐ術はなくなっている。
そして、止まっていても噴出す汗が湿度を上げ、さらに強制的な運動でさらに汗が流れる。

ついでに、あまりの熱さにバタバタさせながら糞もこぼれだすが、気にする余裕もない。
もっとも、その糞もパタパタペチャペチャと踏み均す事で、若干、熱さを凌げている。


それでもまだ、空気の温度も鍋底の温度も上がっている。


「テチャァァァ!こんなのもう耐えられないテチ!ニンゲンは何をしているテチィ!」
「コレテチ、コレは寝る時に無かったテチッ!コレを無くせば出られるテチュ」

耐えかねた何匹かが、頭上の蓋を持ち上げようとする。

幸い、蓋は少し大きなジェニファーの仔達には頭がスレスレの高さで、背伸びをすれば手が届く。
大して実装齢の変らないモモカの仔達もなんとか手が届く。


カタン…

「テチァァァ!!アツイテチッ!重いテチッ!」 ブバァ!

蓋は僅かに上がった。
力んだために盛大に糞も出た。
しかし、スグに数匹が熱さで持ち上げるのを止めた為に蓋はスグに閉じる。


仕方が無かった。
実装石の身体からすれば、手を使って持ち上げようとすれば、顔が密着せずには居られない状態だ。

そのお陰で、全身の力が掛かるので、力を合わせれば3・4匹でも蓋は持ち上がるが、
持ち上がったところで、蓋は背伸びをした数ミリ分浮き上がるだけで、
それ以上は動かす事も出来ないのだ。

それに、鍋を伝った下からの熱が蓋も熱くしていたのだ。
第一、踏ん張る足元は更なる熱地獄だけに、その一瞬の為に仔達は壮絶な我慢をしなければならない。

「テェェェ!いいところだったテチッ!もう少しで屋根がなくなって出られるところだったテチュ!」

「テチャ!本当テチ!いいところだったのに我慢できなかったテチィ?!」

「ワタシ達が懸命に我慢したのに、年上を自慢するクセにウンコ並みの根性もないクズテチィ!!」

「テ、テテェェェェ…でもアツイテチ…お顔がアツアツテチ…ワタシの顔はタイセツテチ…バリケードなんテチ」

「何がビリヤードテチィ…あの天井は足の下に比べればゼンゼン耐えられるテチ!
 今のうちに何とかしないと下も上もドンドンアツアツになっちゃうテチィ」

仔の1匹の言う事は正しかった。

蓋は鍋より遥かに温度が低い。
今のうちに蓋をどかす事が叶えば、まだ仔達に救いの機会は訪れる。

ただ、仔達の思い描く脱出はどの道無理である。
鍋から出る為に仔実装の体格では、
加熱された鍋の縁によじ登らないといけないと言う事までは考えられていない。


「もう1回チャレンジテチィ!」

「「テチュー!!」」
もはや限界に近い暑さの為に、全員が脱出の為に一丸となった。

「「テチィィィィィィィ!!」」
少しの間があった間に、蓋は少し熱くなっていた。

「「テチャァァァァ  テチィィィィィ」」
顔が焼ける熱さにも踏ん張っている。
ジュッジュッと煙を上げても居る。
踏ん張る勢いでブチブチと糞がひり出されている仔もいるが、それだけ全力をだす。

だが、結局、蓋が身長分持ち上がり、数ミリの隙間を開けたところでどうしようもない。

そこから横にずらす方法は人間なら、すぐにいくつか思いつくが、
仮にこの仔実装達がその方法に気が付いたところで、それを実行できる器用な肉体がない。
湾曲した鍋の中では、持ち上げたら横に移動する事も出来ず、そのままの姿勢で居る事しか出来ないのだ。

「テチャァ!!!アチアチアチアチテチィ!」

カタン…

5秒ほどで仔実装たちの頑張りは終了した。


「テテテテテテテテ、アツイテチ…お顔が焼けたテチ…ヒリヒリテチ…」
「テェェェェ、ワタシはお顔の皮が剥がれるほどガンバったテチ!どうして上手くいかなかったテチュ」
「テェー、そうテチッ!誰かが手を抜いたテチュ!それしかありえないテチ」
「アツイテチ…もうガンバれないテチ…」
「クルシイテチ…タスケテテチュ…ママ…ママァ…」
「テェェェェェェン テェェェェェェン」
「テェェェェ…」

頑張った分、疲労も極地に達し、仔実装達は、すっかり熱くなった自らの服の上で絶望に包まれた。
特に僅かだが実装齢の若いモモカの仔達は、急速な発汗と脱糞による脱水状態のままの運動で、
泣きはしても、その声はかすれて弱々しかった。
そして、泣く事でさらに無駄に水分を浪費し、空気を熱くする湿度の上昇に寄与した。

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丁度、その時に、家の主人が庭から食材や道具を持って台所に帰ってきていた。


もし、あと数秒、仔実装達が蓋を持ち上げていれば…
あるいは、今、もう一度挑戦していようとしていれば、鍋の異変に主人は気が付いたかもしれない。

しかし、2つの鍋は、共に静かに少しの煙を蓋の穴から出していた。

片側の鍋はかすかにクツクツと煮え始めの音がし、
仔実装たちの鍋でも、仔達の力ない声が、その穴を通る時には、それに似た音に変っていた。


若干、片方の鍋から焦げ臭い異臭が漂いだしているが、まだ余り気に掛からなかった。


『ん?何か部屋が焦げ臭いなぁ…気のせいか?でも、気になるなぁ…
 どこからだ?んー、近所から漂ってくるわけでもなさそうだが、やっぱりこの鍋しか火を使ってないしなぁ。
 でも弱火で、まだ時間も経ってないし焦げる筈はないんだがなぁ…どちらも噴いた様子もないし…』

つかつかと主人が鍋の蓋に手を掛ける。

『でも気になるなぁ…どちらか水が少なかったのも知れない…アチチ!いかんいかん、鍋掴み鍋掴み…と』

鍋つかみを探し出す主人…


『どれどれ…』とようやく蓋をあけると、そこには少し泡立ち始めた水に浸ったつくねがあった。

『ん〜、いい具合だな、当たり前か弱火でこの時間なら大丈夫に決まっている…
 この私が火に掛けたんだから、時間も出来具合も完璧に把握しておる』

自信はあるのだが、再び蓋を戻すと、隣の鍋の蓋に手を掛けようとした…

ルルルルルルル♪…

『おおっと電話だ…ハイハイ…なんだ君かね?今日は電話するなと言って…
 なに?判った判った!指示を出すからちょっとまて、資料が手元にないんだ…せかすなせかすな』

主人はそのまま電話を手に台所を離れた。

臭いがまだ気にならなかったのと、弱火なのでまだしばらくは噴くはずはないと安心していた。

丁度、その時に蓋がカタンと音を立てたが、電話を取った主人には聞こえなかった。

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体力を浪費したモモカの仔達は、四つん這いの姿勢で動く気力もなくなっていた。


7匹分のコートを敷き、さらに7匹分の服を敷いた上に居ても、もはや耐えられない暑さと熱さではあるが、
ジェニファーの3匹の仔達も、立っているのが精一杯である。

足元はコートが既に焦げ出し、その異臭が充満し、高級な実装フードを食べている仔達の糞の臭いを上回って、
蒸した多湿の空気と共に、仔実装たちを息苦しくさせていた。

幸か不幸か、コートが天然素材の為に有毒ガスが出なかったために、それが直接仔達を殺す事はない。


そして、そのコートを焦がす熱が、仔実装の足の裏や掌を容赦なく責め立て、
長く接しているところは赤黒くなり、その付近も高潮して肌がむくんでいた。

暗闇の中で、もうダンスを踊るものは居ない…。
暴れる体力を失ったお陰で、下手に暴れずに、もはや痛いという感覚を超越した部位をつけておくほうが、
熱さの痛みが少ないと判ったからである。


それだけではない、仔実装自身の周りを包む空気自身も、
もはやサウナという呼称は生易しいのかもしれない域に達しようとしている。
紅潮した皮膚に、いたるところに自然とケロイドが浮き上がりだしているのだ。


「テエッ…(パキン)」
ついに、モモカの仔の中で気力の尽きたものが、四つん這いのままで苦痛に偽石を破損した。

「テエッテェ〜♪ワタシはゾウさんテチュ♪つよーいつよーいゾウさんレッチュン♪ブヒブヒ鳴くからゾウさんレチュー♪」
偽石を破損しなくても、焦げる臭気と、漏らした糞の焦げる臭気で狂いだしている仔も居る。

ぐちゃぁ、グチャァ、と皮膚がアツアツのピザチーズの様に溶け剥がれるのも構わず、
その四つん這いの姿で数歩ほど歩き、ニヘラ、ニヘラと口元が笑うように動くと、
突然、その熱い鍋底に顔面を押し付けた。

ジュジュジュジュジュ…
数秒、手足がバタバタと動いていたが、鍋底に顔を張り付かせたまま焼け死んだ。

それでなくても、もはや鍋の内外の酸素の循環はバランスが崩れている。

サウナからガス室に格上げされたのだ。

その仔実装は、暑さと熱さ、さらに低酸素状態で完全にラリってしまっていた。


「テェー…テェー…ママ…ママ…アツイテチ…ク…クルシ…テェー」

「チヌテチ…コレハ、チヌテチュ…モウ、チンジ゛ャウテチィ」

残りの2匹もすっかり弱りきり、四つん這いの手足は既に肩までが壊死した状態となり、
それを伝って体内の僅かな水分が、ぐつぐつと煮えているのを感じながらも、
実装石特有の、その虫並みな耐久力に反比例する超絶生命力で死ねないままに味わっていた。

生茹でになっている自らの身体からは、ケロイドになっても瞬く間にそこから体液が沸騰して、
もう汗ではなく、身体からオーラの如くに立ち昇る湯気が視界を妨げ、
それでも尚、水分のない乾いた糞を、出来の悪いヘビ花火の様にポロポロとこぼしていた。

最後の断末魔を鳴く力もなく、絶望に歪む顔は、徐々にミイラの様に萎び出していた。


「「テチャァ!!(ゴツン!)」」

そんな中、立って耐えていたジェニファーの仔達が、
突然叫びを上げて跳ね上がり、したたかに頭を打ち付ける。

鍋はその瞬間、カタンと不自然な音を立てたが、
その時には主人は電話に話ながら台所を出て行くところであった。


直立で耐えていたジェニファーの仔達だが、その天頂が鍋の蓋に近かったために、
遅れて熱せられた蓋の熱が、その頭をあぶり焼きにしたのだ。


皮膚が焼け、髪が熱せられてその熱が肌の奥に伝導して壮絶な痛みをもたらす。

土鍋は僅かだが熱で遠赤外線を放射する。
遮るものがない空焚きでは、身体の内側から水分が追い出される様に容赦なく温まる。

今や、四方八方逃げ場無い熱地獄になっていた。


ジュッ…

「テチュワァァァァァァ!!テアッテアッ、テチチチチチ!!」
「デチャァァァ!デヂィ、デヂャ、デチョッ、デビッ」
「ジヂャァァァァァァァァァァァァァ、デ、デ、デ、デ、デヂャッ!!!」

頭をしたたかに打ち付けた3匹は、まだ熱さ慣れしていない全身を転倒して接触させ、
そのままゴロゴロと皮膚を火傷させながら転がりまわりだした。

その3匹が転がりまわった事で、先に余計に水分を浪費してミイラ化した4匹のモモカの仔、
特に、もはや身動きとれない四つん這いのオブジェとなりながらも、
意識だけは生き残っていた2匹に激突して倒し、さらにその死へのカウントダウンを早めた。


1匹は、勢い余って敷いた服の外に転がったために、鍋底に直接肌が触れて焦げ付き、
その痛みに、何処にそれだけの水分が残っていたのが疑問に思うほどの涙や鼻水、汗に糞をまいて、
ベリベリと皮膚を剥がしながら転がりまわる。

「ジビャァァァァァァァ、ジョェェェェェェ…」

ようやく止まった時には、鍋の傾斜の途中で肉が焼け付いてくっついたままとなり、
全身の大半の皮膚が引き剥がされ、むき出しの肉で叫びを上げるだけになり、
熱によって偽石が破壊されるまで、その姿勢、その場所で、
身体から湯気を上げジワジワと蒸し焼きの肉となって行った。


別の一匹は、大事に身に着けていたプラスチックの耳飾りが熱で変形し始め、
やがてゆっくり溶け出し、耳から頭巾、更に垂れ落ち、前髪、そして額を焼きながらまとわりついた。

しかも、天井から距離が離れたために、それは瞬く間に固化し始めていた。

「テェェェェ、テェェェェ、デヂッ、テチャァァァァ、テリッ、テリッ…」

仔実装は何とか熱せられた頭巾を外したい衝動に駆られるが、
外そうと何処に引っ張っても外れず、転がった床の熱さに、糞をぶちまけながらのた打ち回り続けた。

「テリッ!テリッ!テリテリテリテリテリテリテリィィィ!!(ブチッ!)テピョォォォォォォ」

熱さにパニック化した仔実装は、なんとか尻を突いて座る姿勢に落ち着くと、
あらん限りの力でそれを引き剥がした。

何の根拠もない、ただひたすらに倒れこむ前に一番印象に残った頭の焼ける痛み、
そして、それを何とかしようとする動作、
それさえ完遂すれば全ての苦痛から解放されるハズという考えに反射的に支配されていたからだ。

ブチブチと、自らの力で頭巾と共に耳を皮膚を前髪を引き剥がし、狂ったように頭を左右に揺らす。

「テヒッ、テヒッ、テヒッ、テヒッ…」

顔の半分の皮膚を引きちぎった事への痛みではない。
もはや、皮膚を剥がす刺激としての痛みは一瞬に過ぎず、
空気による全身の火傷というより高い苦痛の波によってマヒしつつある。
事を完遂したのに、まだ、そうした痛みが延々と身体を蝕む事に絶望したのだ。

そして、モモカの仔達と同じく、天を仰いで糞を漏らしながら、
吸気をすることですら体内を焼く熱に包まれ、湯気として水分を排出しながらミイラ化していった。


最後の1匹は、倒れ、のた打ち回る最中に、自分や他の仔達が散々に漏らした糞に身を躍らせていた。
服の上に撒き散らされた糞は決して多くはないし、熱せられて煮え出し、瞬く間に乾きだしていた。
それでも、まとまった量のあるところは、煮えるのも遅く、
服の上に居るよりも、空気よりも、比較すれば冷たく感じられた。
いや、実際にマシではあった。

「テェ!テチュ!?テェチチッ!テチュ、テェェェェェェェェェ、テ、テ、テ、テ、テ、テ」

もはや、仔実装にとっては藁をも掴むとはこの事とばかりに、
そうした糞を身体に塗って、何とか身体を冷やそうとする。

そして、塗る事で、この空気自身の熱さからも身を守れる気がした。

「テチュ、テチュ、テチィィィィィィ…  テッ、テテテテテ… テチィィィィィィィ… テッテテッテッ」

足りない分は、自ら踏ん張って気力で振り絞った糞を、煮える前に塗りつける。

しかし、それでは、長く生きながらえても何の解決にもならない。

「ヘェェェェェ…ヘェェェェェェェェ」

鍋底の熱も、空気の温度もドンドン上がっていき、塗った糞は瞬く間に水分が逃げ固まりだす。
もはや、熱が呼吸すら阻害して、固まった糞が身動きすら出来なくした。
汗も涙も出ず、鳴く事も出来ず、もう身体から糞も出ない。

最後の仔は、無駄な足掻きで一番長く生き残れはしたが、
結局はそれ以外の何物でもなく、最後にせめて一息と願っても、
せっかくそれまで呼吸を少なくして我慢していたというのに、
もはや内臓が蒸し焼きになって機能を停止して、1つも願いが叶わないままに事切れた。

意識が無駄に長持ちした分、7匹の中では殆ど差がないとは言え一番苦しい死に方となった。


そうして、7匹の仔実装は、水分を全て失っても尚、ジワジワと燃えない範囲であぶられ続けた。
そう、死んでも尚、あぶり焼きの地獄に晒され続けた。

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『まったく、たかが客の一人に賞味期限指摘された位でオロオロと電話を掛けてくるなっていうんだ。
 どうせ適当に謝っておけば他のところと一括りで注目されんだろうが…
 当然、ワシの名前は出しとらんだろうな?よしよし、いざとなったら…そう工場長辺りに詰め腹切らせろ。
 じゃあな…まったく下らん事で時間を取られたわい…2時間も経ってるじゃないか?』

主人が電話を終えて台所に戻ろうと書斎の戸を開けた瞬間、
猛烈な異臭と煙が廊下に充満していた。

繊維の焼ける臭い、皮の焼ける臭い、肉の焼ける臭い、糞の焼ける臭い…
家の中は、そんな異臭に満たされていた。

『んげぇ…気分が悪い臭いだ…何が起こったのだ!!』

だが、反射的に主人は台所に駆け出した。
煙と焦げる臭いがする元凶があるとすれば、鍋を火に掛けたままのコンロしかないからだ。


そして、近付くほどに酷くなる煙と臭いに原因を確信した。


そうして、慌てて火を消す。


火は出ていないが、空焚き状態の土鍋は、その蓋の穴からは”煤”を噴出していた。


慌てて換気をするが、臭いの元には、いくら飼い実装とは言え糞を生からあぶり焼きしたのだ、
特有の不快な糞のにおいがさらに酷くなってすっかり家に充満していた。


そして、その煙に、隣でゆったりと茶を楽しんで、
鍋を作ることはおろか、ジッソ鍋を撮影していたことすら忘れていた飼い主2人が、
ちょうど帰ってくるところで目に付いた。

『奥様!あれ、火事じゃありませんこと!わたくし消防に連絡してきますわ!!』

『あら大変!あなたぁ!!火事よォ!!』

「「デスゥ!?デスデスデスゥゥゥゥゥ!」」

『火事じゃない、火事じゃない、消防は呼ぶな』


年末の息子・娘家族を迎えての集まりになるはずが、
まずは消防車が押し寄せて、野次馬が集まっての大騒ぎとなった。


原因がわかり、消防隊員からは絞られ、近所からは笑いものにされ、
台所は実装煤と実装臭に満たされ、鍋は台無しとなった。


鍋の蓋を開けた中には、黒い煤に包まれ、様々な形で散らばる炭化した仔実装7匹…。
コートや服や糞とともにまるでジオラマの様にくっついていた。
もう、洗っても鍋として使えるか疑問符が付きそうな状態である。


鍋の縁に程近い場所で蟷螂の卵の様にへばりついて焼けた死体や、
天を仰いだ黒いミイラ、糞がエビフライの衣の様になって焼きついたミイラ、バラバラに崩れたミイラ…


それを見て、お前が悪い、貴方が悪いと責任を擦り付け合う夫婦。

”私のペットになんて事を”と自分にも責任の一端があるにもかかわらず喚きたてる隣の夫人。

何が起こったか理解できずに、炭化した仔実装の死体を見てプププと指差し笑うジェニファー。

そして、”自分の”家から煙が出ていた事に驚いて、何処かへ逃げていったモモカ。
自分が逃げるためには、我が仔の事など頭に無かった。



そして、夫婦の悪い予想通り…その臭いに訪問した息子・娘は不満な顔となり、
孫達は泣き出し、数分の顔見せだけで帰省は終った。

それを楽しみにしていた夫婦にとっては、
去り行く孫が一度も車の中から手を振るどころか、振り向きもしなかった事が何よりも堪えた。

こんなモノの為に、一年の数少ない楽しみが奪われたのだ。


途方にくれた寂しい年の瀬を、夫婦は無言で大掃除を終えたハズが再び大掃除をする羽目になった。
もう、ケンカする気力も無く、モモカが居なくなっている事を気にかける暇すらない。

糞抜きしないままにあぶり焼きにした事で、微粒子化した糞がいたるところに染み付いてしまった。
水拭きもしたが、実装臭は、飼っている時に付く臭いより、不快でキツイ物が染み込むのだ。
仔実装の無念の断末魔が怨念の様に台所に廊下にとしみこむ形となった。


ほんの少しの油断が、夫婦から全ての楽しみを奪った。

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余談…顛末記

年が明けてしばらく…

結局、数々の宣伝も空しく、ジッソ鍋という分野は世間一般には流行らず、
DVDは大幅な赤字となり、無駄なゴミをただ生産しただけとなった。


実装石並みに傲慢な家の主人は、年明け早々に賞味期限偽装が元で廃業し全てを失う事になった。
手元に家は残ったが、近所からは実装石で火事を出し、会社も火の車にした無能者と揶揄されるようになり、
結局は、実装石臭が染みて二束三文に叩かれた家も手放し、
僅かな年金と家族からの仕送りをあてにアパートで一人暮らしを始めた。
肩書きがなくなるどころか、汚名を背負った傲慢な人間には血の繋がった家族も冷たかった。


実装石並みに物忘れの酷い夫人は、夫の廃業をきっかけに、
自分の物忘れの酷さを棚に上げて文句を言うだけ言って離婚し、慰謝料もぶんどったが、
新しく飼いなおしたペット実装に、前の様に夫の収入がない事を忘れてつぎ込んでしまい、
慣れないパート生活で切り詰めた生活を送る日々、肥える増える実装石に比例してやつれていたが、
当人は、責任を全て、愚痴と言う形で未だに夫に押し付けて一人納得していた。


実装石そのものといえる隣の夫人は何事もなかったように、
日々、ジェニファーと共に幸せを謳歌しているが、今は前の様に近くに話に乗ってくれる相手どころか、
話しを聞いてくれる相手すら居なくなって、より狭い閉じこもった世界に追いやられたという事も気が付かない。
そして、幸せで居られる元たるジェニファーが何を考えているかは、夫人が一番解って居なかった。
そして、それを失った時、夫人には本当に何も残りはしないのだ。


ジェニファーは、仔達が居なくなった事に翌日気が付いたが、何で居なくなったか理解できずに悲しみにくれ、
さらに1日過ぎたら、ケロリと我が仔を忘れて自慰により妊娠していた。
そして、話し相手を失ってさらに過度に世話をする夫人に増長し、ついには何をどう思考したのか、
生まれたばかりの我が仔の為に、もっと贅沢をさせてくれる飼い主を探す為の旅に出ると飛び出し、
親仔仲良く、家の前の道路を、普段の散歩どおり車が止まってくれるものと横断しようとしてミンチとなった。


逃げたモモカは、パニックで迷子になり様々な苦難の果てに、数日後にようやく家に舞い戻るが、
その時は既に家に住むものは無く、モモカは訳も判らず、既にこの世に存在しない我が仔と、
とても実装石の独力では見つけられない飼い主を探す旅に出る事になったが、
それはまた別のお話で御逢い出来るかも知れません…



ジッソ鍋…可愛い実装ちゃんを土鍋で遊ばせて眺めるのも良いですが、
寝ているからとウッカリ蓋を閉めてお忘れになる事がありませんように…

鍋恋しい季節に、土鍋を出したらカラカラのミイラが出てくる程度で済めばよいですが…
半端に虫が沸いていたら目も当てられない事態になりかねません…

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ジッソ鍋 … おわり


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1 Re: Name:匿名石 2021/05/13-14:44:08 No:00006334[申告]
登場人物がクズしか居ねェ!
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