タイトル:【虐】 実装石マルチ1
ファイル:実装石マルチ1.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:3619 レス数:1
初投稿日時:2007/12/02-22:49:51修正日時:2007/12/02-22:49:51
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『実装石マルチ』


迷子の飼い実装を拾った。

見知らぬ家の中が珍しいのか、キョロリキョロリと頭を振りながら、土足で家の廊下を歩いている。
何か見つけると、俺の顔を見て、デスーと鳴く。
俺がしばらく無視をしていると、再び家の中の散策を始める。

迷子の飼い実装。
コンビニの帰り道に俺と目が合った、見るからに飼い実装という身なりをした実装石。
最初は一匹で散歩をしている物かと思えば、どうも違うらしい。
迷子のようだった。

迷子であれば、不安になり、大声で泣きじゃくる様で一目でわかる。

しかし、中にはいるのだ。
贅沢に甘やかして育てられ、世界がすべて自分中心に廻っていると勘違いしている実装石が。

そんな実装石が迷子になった場合、泣きじゃくるなんてしない。
適当に目が合ったニンゲンに、家に連れて行けとせがむ。
勝手に人様の跡をつけ、そして勝手に家に上がりこむのも何とも思わない。
土足で家の中に上がりこみ、自分の家と違う様子を好奇心旺盛に見て周り、
あれは何かと得意顔で聞いたりするのだ。

「デスー」

今まさに、目の前にいる、警戒心ゼロの飼い実装こそ、そんな輩の実装石だった。

「どうした」

俺が呆れ顔で、俺に何かを訴えかけようとしている迷子の飼い実装に、そう問い掛ける。

「デスー…」

その迷子の飼い実装は、和室に上がりこみ、部屋の隅で仕切りに何かを見つめている。

「デ…」

和室の梁が珍しいのか、その黒い木目を指差し、俺の顔を見てデスーと再び鳴いた。

「………さて、どうしたものか」

「………デー」

俺が思案顔で困り果ててるのを他所に、実装石は首を傾げて、その木目をじーと見つめていた。


◇

俺は虐待派である。
正確に言えば、元・虐待派である。

昔、正確に言えば、学生時代の頃は、ありとあらゆる虐待に手を染めていた。
あらゆる分野でもあるだろう。ある一定の線を極めた時、直に「飽き」が来ることがある。

子供の頃、躍起になって切手を集めたり、鉄道の写真を集めたりする。
しかし、大人になるにつれ、そのコレクションなどに見向きもしなくなるのだ。
あれと同じだ。

正直、実装虐待の酸いも甘いもしゃぶりつくした俺は、虐待というものに飽きてしまったのだ。

「デスッ!! デスッ!!」

目の前で実装フードを食べる実装石を見つめながら、俺はそんな昔の事を思い出していた。
飽いたと言っても、もう数年以上の前の話だ。

「フゴッ!! ムグッ!!」

安物の実装フードをかっ込む、迷子の飼い実装を見つめながら、俺は覚めた目でそいつを見つめいていた。

「………そういや。『マルチ』もフードが好きだったよな」

「ムグッ!! デスァ!!」

「………あれ。どっかしまっていたか」

俺は実装フードをかっ込む飼い実装をそのままに、家の庭の物置へと歩みを進める。
ごそごそと埃塗れになりながら、俺は物置の中のダンボール箱をごぞごぞと探していた。

『マルチ』とは、俺が飼っていた実装石の名である。

虐待派が実装石を飼う。なんておかしな話だ。
それも名前をつけるなんて。

でも、虐待というジャンルを煮詰めて来ると、
結局は「飼い」に到達することに気づいたのは、虐待を始めて5年は経った時だろうか。

虐待は、実装石に苦痛を与えるものだ。
その苦痛の究極に達するのが死である。
死んでしまえば、虐待も終わってしまう。
死体は痛がらないし、泣いたりもしない。
いつも虐待の末に死んだ実装石を見つめると、とてつもない虚無感に襲われたりした。

そんな俺が達した結論が「飼い」なのである。

マルチは俺が飼い始めて、痛みを与え、絶望を植え付け、叫び、逃げ惑い、恨み、媚び、憎み、
そんなありとあらゆる感情を植え付けながら、1年3ヶ月、虐待をし続けて飼った実装石なのである。

「お。あった、あった」

俺が埃塗れになった水槽と、その中に入ったあらゆる虐待器具を見つけ、
ふつりと昔の懐かしい感覚が、背骨につたって走るのを感じた。

「……懐かしいな」

脳髄に差す電気コイルや、糸ノコギリ。これは注射器か。栄養剤も残っているな。

懐かしい器具に触れるにつれて、俺は当時のマルチとの過ごした日々を脳裏に浮かべて懐かしんだりした。

「ははは、この首輪、懐かしいな」

飼い実装のシンボルとしての首輪。
その内側には、鋭利な刺状の突起物が禍々しく突き出しており、
それを首に絞めるだけで、マルチは痛みに耐えかねて、よくパンコンしたものだ。

「お。血染めの実装叩きか。よく、これでマルチをぶったものだ」

そう言いながら、数年ぶりに手にする実装叩きを手の中に収めて、そのしっくり具合を確かめながら、
2度、3度それを宙で確かめる。

「……………」

俺は懐かしい記憶を辿りながら、マルチと過ごした思い出を思い起こしながら、
俺は頬が緩んでいる事に気づいた。

「はは… 笑っているのか、俺は」

すっかりと虐待から身を引いたはずなのだが、
この懐かしい器具を目の前にして、頬を緩ませて笑っている。

もう名残はない。
もうマルチで終わりにしよう。
そう思い、納得して物置にしまったのが数年以上前だ。
その仕舞い込んだ器具を目の前にして、俺は頬を緩めて笑っていたのだ。

「……名残はないと思っていたんだがな」

そう呟きながら、俺は手にしっくり来る実装叩きを振りながら、マルチの最後を思い出した。

「………マルチ」

1年3ヶ月、虐待に虐待を加えつづけた、そのマルチの最後の表情。
果たして、あのマルチの最後が俺が求めいていた虐待の末の最後だったのか。
あのマルチの最後の表情の意味が、果たして俺が求めつづけていた結末だったのか。

俺は目の前の懐かしの機器を手にした時のその笑みに対し、そのマルチの最後の表情の問いかけを
今更ながら、数年ぶりに自問し続けていた。


◇


「デスゥ〜?」

「すまないな、相手にしてやれなくて」

俺が庭の物置から戻ると、マルチは居間で今日の新聞紙をビリビリに破りながら、
俺の顔を不思議そうに見上げていた。

「マルチ。今日からおまえの虐待を始める」

「デスゥ〜?」

「いいな」

結局、俺はその問いに答えることはできなかった。
できなかったこそ、それに答える術は、虐待にしかないと気づいた時には、俺の行動は早かった。

久しぶりに触れた虐待の器具に対しての高揚感も相待った結果かもしれない。
俺は、その答えを見つけるべく、この迷子の飼い実装と真摯に向かい会う決意をしていた。

マルチと呼ばれたことが不思議なのか、俺の言う虐待という単語がわからないのか、
迷子の飼い実装は不思議そうな表情を浮かべて、首を傾げたりした。

しかし、俺への興味がすぐに失せたのか、手元の破りかけの新聞紙に目をやり、
ぺしんぺしんと破れた新聞紙の塊を、再び叩いたりし始める。

「さ、行くぞ。マルチ」

俺はこの迷子の飼い実装に、やはり「マルチ」という名を授けることにした。
これから始める虐待は、俺とこのマルチの二人の共同作業だ。

名を授けないと、感情は移入しにくくなる。
俺が極めた虐待の道に存在するものは、やはり飼い主と飼い実装の「信頼」と「愛」が不可欠である。

俺は、マルチをひょいと抱き、そのまま居間を出た。

「デスゥ〜!! デスゥ〜!!」

両の脇を抱きかかえられたマルチは、自由になった手足を空中でバタつかせながら、
遠くなる新聞紙の塊を、デスゥ〜!! デスゥ〜!!と叫びながら求めつづけていた。

俺の手の中で暴れるマルチを両の手で抱え押え、俺達はガレージへと向う。

「デデッ!!」

興味がすぐ別の物に移ったのか、マルチはコンクリートばりのガレージに興奮し、
俺の手の中から抜け出し、ガレージに降り立たんとする。

「ははは、ほら」

俺は手の中のマルチを床に放ち、ガレージのシャッターを下す。

「デスゥ!? デスゥ!?」

独特の薄暗いガレージの空間。
ひんやりとした温度が実装靴の底からも伝わるのか、マルチは所狭しとガレージの中を歩き回る。

昔置いてあったバイクの跡地にオイルが漏れていたのか、そこを中心にクンクンと鼻を鳴らして、
デスゥ〜!! と俺に向って鳴いたりする。

この四方を鉄のプレハブで囲まれたこのガレージには、まだ奥の部屋がある。
しばらく入っていなかったその部屋へ続く扉を開け、俺はマルチを連れてそこへと入った。

「ぷっ!! 黴臭いな」

俺は口の中に入った埃を唾ごと吐き出しながら、その部屋へと歩みを進めた。

「デッ!? デデッ!?」

そこはガレージの中でも奥の奥。
位置的にはガレージの地下に相当する場所であり、部屋に入るためには少し身を屈めて、
地下へと続く階段を下りる必要がある。

「デスゥ〜♪ デスゥ〜♪」

マルチにしてみれば興奮するシチュエーションだったのだろう。
俺が身を屈めて階段を降りるより先に、とてとてと先に進み、俺を呼ぶようにして
階段の降り立った先で、俺に向って叫んでいた。

「ここも、懐かしいな」

俺は壁のスイッチを探しながら、数年ぶりに訪れたこの部屋を感慨深く見つめていた。

部屋の大きさからしてみると、6畳ほどの大きさの部屋。
窓はなく、天井からぶら下がる裸電球が、よりこの部屋を殺風景に見せていた。
剥き出しのコンクリートの四方の壁には、埃と黴が生えた酸い匂いが充満していた。

ここは物置として作られたガレージの地下室なのだが、
虐待を極めんとした俺が改造した虐待専用の部屋なのである。

数年前、マルチと惜別して以来、俺はこの部屋を封印し、虐待から身を引いた。
しかし、この部屋はあの時と、まったく同じたたずまいを残しながら、ずっと俺の来訪を
待ちつづけていたようである。

「デスゥ? デスゥ?」

クンクンと珍しい匂いを見つけたのか、マルチが部屋のあちこちを歩き廻っている。
俺はそんなマルチを他所に部屋の扉を閉め、部屋の中央へと歩みを進める。

「やはり、地下は冷えるな…」

俺は肌寒さを感じ、部屋の隅に備え付けられているロッカーへと向う。

「確か…、まだ残っていたはずだが」

ロッカーから取り出されたのは七輪と幾ばしかの炭であった。
俺はさっそく七厘に火を起こし、暖を取り始めた。

「デッ!? デスゥ? デスゥ?」

「ああ、炭だよ。見るのは初めてか?」

「デッ!! デスァ!! デスァ!!」

マルチは七輪で起こす炭が珍しいのか、飛び散る火の粉を指差しながら、仕切りに俺のズボンを引っ張る。

「暖かいだろ。ちょっとこれで暖を取ってろ」

俺はそう言い残し、その部屋を出る。
庭の物置から、必要な機材を取るためだった。

水槽。実装叩き。テーブル。首輪。鎖。実装フード。注射器。その他諸々。
虐待に必要な道具を持ち運ぶのに、結構時間がかかった。
全ての機材を運び終わる時には、七輪の炭も充分に赤く燃え初めていた。

「デー…」

俺が部屋に機材を運び込む間、マルチはうっとりと赤く光る炭に魅入りながら、
両手を七輪に向け、大人しく暖を取りつづけていたようだ。

「よし。そろそろ始めるか、マルチ」

俺は、火箸を取り出し、七輪の中の炭をかき混ぜはじめる。

「デッ!! デデッ!!」

かき混ぜる度に爆ぜる火の粉の舞を、物珍しく魅入るマルチ。
それを宙で捕まえようと何度も両手で宙を掻きながら、その捕えたはずの手の中の火の粉を
懸命に口の中に入れて、マルチはもぐもぐと口を咀嚼していた。

「マルチ。少し熱いぞ」

俺は火鉢で手頃な赤く光った炭を、呆けるマルチの前掛けの上に置いた。

「デッ!?」

炭は瞬く間に、実装服の前掛けを赤く黒く焦がし、その赤い炭はマルチの胸元の地肌に達した。

「………デ」

「さて…、まず何から行くか」

俺が実装叩きなどを手にしながら道具を漁っていると、コンクリートで囲まれたこの虐待部屋に
「デギャァァァァァァッ!!!」という絶叫が響き渡った。


(続く)


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1 Re: Name:匿名石 2019/02/09-17:19:04 No:00005734[申告]
一酸化炭素中毒にならないか心配
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