実装石保護センター7 生き残った三匹の仔実装はB、C、D。 Bはおっとりしていて協調性があり、Cは太っているが頭が良く、Dはよく寝ているが性格はしたたか。 トトカルチョの予想は最下位人気と一番人気が消えた形となった。 「ほらチクっとするけど大人しくしろよ」 勝ち残った三匹には実装石だけに感染する疫病、実装痘の注射型のワクチンを打ち込んでやる。 疾病して時間が経っているDはぐったりしていたので簡単に打ち込めた。 Cも発病して動きはトロく怯えていたもののワクチンを打つことにほとんど抵抗はなかった。 Bがものすごく怯え、ぴいぴいと逃げ回ったので少々手こずった。 なんとか水槽の隅に追い詰めて右肩に注射してやった。 これで三匹が病気で死ぬことはないだろう。 さきほどつまみ出したEだがあれは実装石の研究室に向けに発送した。 実装痘の保菌サンプルがほしいということだった。 保菌していれば生き死にはどっちでもいいらしい。 治療を施さないと実装痘は高い致死率を誇るから数時間で死に至る。 どのタイミングで発病するのか知らないが確実に感染はしている。 ワクチンの原材料になるのかそれとも疾病した実装石を使った実験か。 私の知るところではなかった。 保護センターは保護だけではなくこういったニーズにも対応している。 野良や捨て実装石もこうして、いろんな方法で循環していくわけだ。 蛆実装や親指などは食料や肥料の材料なることもある。 うちでは蛆と親指は保護していない。駆除の通報が出た場合、例外なく殺処分となる。 なんでもうちの地区には何かで微量の毒性のある廃棄物があり、それをどこかしら拾い食いし、毒を蓄積させてさっさと死んでしまうことが多いんだとか。 不思議と仔実装にはその傾向はない。 この廃棄物は仔実装や成体が食べたところではなんともないらしいのだ。 ただ同族喰いを繰り返し行った個体は別らしいが・・・・・・・。 さて、今回のセレクションは流石に仔実装の体力を消耗させてしまった。 栄養を与えて、休息を取らせることとする。 また実装石駆除の連絡がきた。 同僚に三匹のことを引き継ぎ、そのまま現場へ向かうこととする。 もどったら次の設問だな。 しかし、セレクションは私がいないうちにもすすんでいくのだった。