タイトル:【虐観察】 実装ちゃんに追放系なろう小説の主人公を演じさせてみた結果4
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初投稿日時:2023/02/06-16:53:14修正日時:2023/02/07-17:09:31
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実装ちゃんに追放系なろう小説の主人公を演じさせてみた結果4

前回のあらすじ

禿裸になったと言うだけの理由で元家族から追放された
仔実装ロクのトレーニングは順調に進み
やがて計画していた期日になるも
ここで情が移ったとしあきが計画の実行を躊躇する

祝賀会と称してロクに復讐を止めさせようと
説得を試みるも強く反発され断念

ロクの復讐への意志が固い事を確認したとしあきは
選別代わりにと釘を得物として与えた

その日の夜に計画は実行され
自分を嘲笑った野良実装を手始めに屠り
次に自分を追放した元家族を惨殺して復讐を遂げる

だがロクの心は満たされる事がなかった

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惨殺した元家族のダンボールハウスの前で
ロクは力尽きへたり込んでいた

復讐が完了したならば満足感に満たされると思いきや
虚しい気持ちで胸が一杯になっていた

虚しい…ただひたすらに虚しい
何一つとして達成感が感じられず
最早動く事すらもどかしくなっていた

『何だろう…このポッカリとした気持ちは…何で満たされないテチ』

暫く天を見上げて考えていたがふと一つの事に気が付いた

『そうだテチ…まだ殺さないといけない奴が居たテチ…それは自分テチ』

そしておもむろに得物の釘を持ち替え鋭い先端を自分の胸に当て
そのまま植え込みの段差から道路に飛び降りようとした

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これまでの一部始終を黙って観察し会話を聞いていたとしあきであったが
ロクが自殺を図る事は予想外の出来事であった
大慌てで観察スポットを飛び出しロクの元へと駆け寄る
だがこの距離では幾ら走っても間に合わない
もうダメかと思った時であった

カキーン

金属同士が激しくぶつかる音が響きロクの手から釘が弾き飛ばされた
辺りを見回すとそこにサイがいた
ここまで全力で走ってきたのだろうか肩で息をしているのが見て取れた

『間一髪セーフだボク…』

そう言ってその場に座り込む

ロクの居た近くにサイの鋏が転がっている
さっきロクの釘を弾き飛ばしたのはこれだったのか…

一方ロクは弾みで道路に落下したものの普段から鍛えていたおかげか
全身に擦り傷を負っただけで命に係わるような大怪我はしていないようだ

それにしてもこんな時間に家を抜け出して追ってきたのか
普段はそっけない態度を取っていたのに意外と心配性だったんだな
と感心していると

『としあきとロクの臭いを追ってやっと見つけたのに何をしているボクっ!』

未だ道路に突っ伏したままになっているロクに説教をはじめたのだった

『サイ…なにをするテチ…ワタチが死ぬのを邪魔しないでテチ…』

ロクは弱々しい声を絞り出す

『死んでなんになるボク!こうなることが分かっていたからとしあきは復讐を止めろと言ったボク』

サイの語気が更に強くなった

俺は言い合いがヒートアップしそうにな様子だったので
慌てて間に割って入っていった

「サイの言うとおりだ死んでしまったら何もかも無くなるのだぞ
本当にそれでいいのか?こんな事俺が言える立場じゃないかもだけど
生きて新しい実生を歩もうとは思わないのか?」

『でも…ワタチは何もかも失ったテチ…家族も…髪も服も何もかもだテチ…』

ロクは泣きながら反論する

「ロク…その事なんだけど昨日お前が復讐を止めると言ったなら
渡そうと用意していた物があるんだ
こんな後だけど受け取ってくれないか」

そう言ってビニールで包装されたものをロクに手渡した

『ご主人様これは…』

渡された物は実装服のセットであった
ロクの手が震えている

「髪の毛は急には何とかならなかったけど服くらいは用意できた
今からでも遅くはないんだ十分やりなおせるのだから…」

そこまで言い終わった時であった

ジッ…ジィィィィィィィ

ロクがその場に伏せって号泣しだしたのだ
僕とサイはそれをただ見ているしかなかった
それはとても長い間泣き続けていたが
やがて泣き止み涙でグチョグチョになった顔を見上げた
そんなロクに俺は手を差し伸べた

「さあ家に帰ろう」

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月日が経つのは早いものであれから二年が過ぎた
あの後思う所を感じた俺は実装の虐待や観察を止め
一念発起して就職活動を始めた
だが景気が悪いこのご時世なかなか採用されることが無く
結局父に相談して面識のある小さな会社を紹介してもらった
社長と面接し気に入ってくれたのか即日採用となり
昨年からそこで働いている

結局ロクはあのままアパートで飼うのは難しいという事で
実家の両親が引き取る事になった
サイとの仲が良かったのが判断の決め手だった

それから髪の毛の再生手術を受けて髪の毛は元に戻った
今では一緒にトレーニングをする仲になり
ロクはサイの事を師匠と呼ぶようになった

サイの奴もまんざらではない様子でロクに稽古を付けたりしている
そんな二体は近所でも評判となっていて
TV局とかから何度か取材をさせて欲しいというオファが来ているのだとか
両親はそんなのに興味が無いので全て断っているそうだが

仕事が忙しいこともあって中々実家に顔を出せないでいたが
なんとか都合を作り久しぶりに実家に行くと母が出迎えてくれた
父は趣味の釣りに出掛けていて不在であった

居間に行くとそこにはサイとロクが居た
ロクもすっかり大きくなって成体になってる
俺の顔を見るとロクはいそいそと近寄ってきた
サイは相変わらずTVを見るののに夢中でこっちを見ようともしない

『久しぶりデスご主人様』

スマホのリンガルアプリを通してロクの合成ボイスが流れる

「こっちでの暮らしの方が長いと言うのにまだ俺の事をそう言ってくれるのか」

『ご主人様はアナタに変わりはないデス…もちろんご主人様のパパとママには
良くしてもらって感謝しているデス』

そう言ってロクは明るい笑顔を浮かべた

ふと庭先を見ると塀の近くに四つ石が並んでいるのが見えた
以前はあんなところには無かったはず

「ロクあの並んだ石は何なのだ?」

俺はロクに尋ねた

『あの石はあの夜ワタシが手に掛けた同属と家族の墓デス
毎日手を合わせて供養しているデス』

今でもロクの心中には後悔と良心の呵責があるのだろう
やはりあの時に無理にでも止めればよかったのかと考えることがある
だからといってたらればを言っても仕方がないのだが

そんな事をぼーっと考えていると突然尻にチクリとした痛みが走った
驚いて振り向くと何時の間にかサイが立っていてた
その手には鋏を持っていて
さっきの痛みはこれで尻を突っついたせいだと察した

「こらっ!何をするんだサイっズボンに穴が開いたらどうするんだ」

俺はサイのいたずらに抗議をした

だがサイは意地の悪そうな笑みを浮かべながら言い返してきた

『そんな所で辛気臭い顔してぼーっとしている方が悪いボク
そんな事より久しぶりに河原までは走らないか?いい気晴らしになるボク』

どうやらアイツなりの気遣いのようである

「いいだろ丁度運動不足気味だったからなそれも悪くないな
早速行くとするか勿論ロクも来るよな」

『勿論お付き合いするデス』

早速ハーネスをロクとサイに装着するとリードを繋いて
外出の準備を整えた

「さあ出かけるぞ!」

俺は玄関の戸を開けて外に出たロクとサイも一緒だ
河原に着いたらまた前のように
日が暮れるまでたっぷりと遊ぶとしよう

天気は晴れ初夏の陽気がもう暑いくらいだが
俺達はそんな事は気にせず走り出した
    
                            終














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1 Re: Name:匿名石 2023/02/06-22:17:04 No:00006756[申告]
虐というよりものすごくさわやかな終わりだった
読後も、もやもやせずいい感じ
2 Re: Name:匿名石 2023/02/07-03:53:20 No:00006762[申告]
目から汁が…実装に関わっても幸せになった主人公とロクとサイに幸あれ
3 Re: Name:匿名石 2023/08/29-07:04:18 No:00007881[申告]
タイトルでバカスクかと思ったら普通に良い話で面白かった
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