タイトル:【実装人】 奴隷闘士スカイ3
ファイル:奴隷闘士スカイ3.txt
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初投稿日時:2023/02/03-02:53:29修正日時:2023/02/03-02:53:29
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奴隷戦士スカイ3 「宴」

ここは市のはずれにある迎賓館
今ここでは他の都市から派遣されてきた特使を歓迎する宴が行われていた

この時代実装人たちは各地に都市を築きそこで各々が国家としての体裁を整えだしていた
当然各都市間での交易や交流そして争いが起き初め
それを平和裏に解決するために
こうやって他所の都市からの特使をお互い派遣して様々な取り決めや交渉を行っているのだ

特使は派遣された都市を視察し受けたもてなしから
その都市の力量を見極め交渉の判断材料とする
格下と見なせば強気で交渉に臨むし
格上ならばいかにして対等な立場を築き上げられるかを考える
それゆえ特使にゆだねられた責務は重大であった

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宴はまだ始まってすぐなのかテーブルには前菜が並べられ
それを挟んで実晶人と実金人の二人が対面する位置に座って
軽い飲み物を嗜みながらの談笑していた

実晶人の名はパープルアイ
この都市の市長でありまた闘技場の運営に携わるオーナかつ
現役の闘士でもある
その名の通り紫水晶のような透明感のある紫色の瞳をもち
右目は過去の戦いで負傷し眼帯で覆われている

整った顔立ちと肩までの長さの銀髪どこまでも白い雪のような肌
黒を基調とした服装がそれを一際目立たせている
それは美しくはあるがどこか冷たくそしてどことなく危うい雰囲気があった

対する実金人の名はアトリといい
山を隔てた先にある別の都市から遣わされた特使であった
青みがかった緑色の髪を束ねその翡翠のような緑の目には深い洞察力を秘めていた
派手好きなのか装飾を施したオレンジ色のドレスを纏っていて
一見して幼く見える容姿をしているがれっきとした成人である

この都市を訪れた目的は多岐にわたり交易に関する様々な交渉に軍事面での条約の制定
そしてこの市の見学であった

「…それで市の様子はいかがでしたかな?アトリ殿」

パープルアイの問にアトリが答える

「いや~驚きましたよどの地区も清潔で市民達は皆労働に積極的
市場は活気に満ちていて豊かな様子がよく分かりました
特に市民への娯楽として整備した闘技場は素晴らしい物です
われわれも見習うべきところが多かったと実感している次第です
これは貴方の市長としての才腕のなせる事なのでしょう」

パープルアイはアトリの言葉に満足そうな表情を浮かべた

「いえいえアトリ殿これらの政策は私だけで発案実行したものではありません
配下にいる担当官や専門知識を持つ者たちの力添えあっての事ですよ
みんなには大変感謝しています」

アトリの賞賛にも関わらず驕る事もなく謙遜した立ち振る舞いである
そして盃の飲み物を呷ると

「さてそろそろ主菜を楽しむとしますか」

と言って近くにいた給仕に目配せをする
給仕は一礼をして控えにと向かった

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暫くすると料理を乗せた手押し車を押して給仕が戻ってきた
それは大きな銀の皿で覆いが被されていている
傍らには本日の料理を担当した料理長が同伴していた

料理長はテーブルの近くまで歩み寄ると軽く一礼をした

「さて料理長よ本日の主菜はどのような趣向であるかな?」

「本日の料理は仔実装の母体回帰蒸しでございます」

そういうと皿を覆っていた覆いを持ち上げ料理を披露する

そこには彩り良く敷き詰めた温野菜の上に
一体の成体実装が乗せられていて
長時間蒸されたせいか全身が真っ赤になっており時折その体を震わせていた

特に目に付くのがその腹であり大きく膨らんでいて
真ん中から一直線に縫い合わされていた
料理長がその縫い目の糸を解き抜き去ると一気にその腹が開き
辺りに香ばしい匂いが漂う

中には二匹の仔実装が体を折り曲げて収まっていた
その下にはたっぷりの香草が敷き詰められており
あたかも仲の良い姉妹が干し草の上で眠っているかのように見えた

傍らで給仕が二つの皿に温野菜を盛り付け
その上に蒸し上がった仔実装を乗せていく
よく見ると仔実装の腹もパンパンに膨れており縫い合わされていた
先ほどの成体実装と同様に糸を解いて抜くと
熱々の湯気と共に詰め込まれた具材があふれ出す
ソースをかけるとまだ生きていたのか大きく痙攣をおこして
再び動かなくなった

盛り付けが終わった料理をアトリの前に置き
次にパープルアイの前に置いた
配膳を終えると給仕は手押し車を押して奥へと消えていった

「生後一週間の食べごろの仔実装を親実装を贅沢に用いて
丹念に蒸し上げました」

二人は料理長の説明を聞き終わると
早速蒸仔実装にナイフを入れる
何の抵抗もなく肉は切れ肉汁があふれ出す
その一片を口に運び咀嚼する

すると肉片は肉汁を出しながら溶けていった
濃厚な肉の旨味が口の中に溢れてくる
飲み込むと後には香草の香りがほのかに漂った
おそらくはこれほど贅沢で旨い料理は他の都市では味わえないであろう

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アトリは驚嘆していた
いやそれはこの宴が始まってからずっとそうであった
最初に並べられた前菜や飲み物
そして今食している主菜
辛うじて表には出さず平静を装っているが
内心では驚きの連続であった

どれも高い技量で調理された物ばかりであり
素材も厳選された物ばかり
中にはここでは手に入らない遠くの都市の特産品までもが並んでいる

それは料理に使われている調味料やスパイスにも言える事だ
一体どれほどの数の都市と交易をしているのであろうか
何故今までこの発展に気が付かなかったのだろうか
我々はここの存在を軽視しすぎていたとしか言いようがない

否かつては農業と海上交易の中継点でしかなく
大して栄えていない小規模都市でしかなかったはずだ
それを短期間でここまで発展させた市長の手腕は驚くべきものである
(これは侮りがたい相手ですね…帰還したら一刻も早く上層部の連中に
ここで見聞きしたことを報告しないといけません)

料理を口に運びながら今後の交渉の対策を考えるのであった

こうして宴の夜は深まっていった

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