タイトル:【観察】姉と弟(後編)
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作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:4425 レス数:9
初投稿日時:2019/09/02-01:15:14修正日時:2019/09/03-21:31:21
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『姉と弟(後編)』
 
 
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 目覚まし時計に起こされた。
 枕元にあるそれに手を伸ばし、軽くひっぱたいてアラームを止める。
 
「……うぅ……」
 
 目をこすりこすり起き上がる。
 夜中にタイマーでエアコンが止まった部屋の中は、もわっと蒸している。
 
「……姉ちゃん、起きてる?」
 
 トシオはカーテンの向こうのアキコに声をかけた。
 
「……起きたけど、あたし、おなか痛い。ラジオ体操休むから、ママに言っといて」
「わかったけど、ばあちゃんに文句言われそう」
「…………」
 
 アキコの返事はない。
 トシオは首を振り、ベッドを降りた。
 おなかが痛いというのは本当だろう。仮病を使う姉ではない。
 月に一度はあることで、トシオもいちいち気を遣ってやらないとならない。
 五年生といえば、だいぶオトナに近い。弟と相部屋であることにアキコが不満なのは部屋の狭さだけが理由ではない。
 それはトシオの側も同じで、オトナに足を踏み入れかけた姉と毎日接していれば、こちらもオトナの事情を理解せざるを得なくなる。おかげで余計な神経も使っているのである。
 机の脇に伏せて置いたバケツを見やる。中にいるはずの仔実装は静かだ。
 カラスに連れて行かせてはマズいとアキコは言った。ならば死なれるのも困るはずで、エサと水くらいは与えないといけない。
 そっとバケツを持ち上げて仔実装の様子を見た。
 
「…テェ…」
 
 仔実装はひっくり返ったエサ皿を枕にして横たわっていた。弱々しい声を上げただけで、動こうとしない。
 水槽中に散らばるエサは減っていないようだった。水皿は空っぽ。トイレ砂も散らかったままで、糞はしていない。
 徳用実装フードがよほど気に入らないのだろう。ペットショップの店員も違うフードを勧めようとしたのに、値段の割に量が多くてお得だからと父親が徳用フードを選んだのだった。
 いまはウンチのニオイが抑えられるフードも高くないから子供が実装石を飼うにはオススメだと店員は言ってくれたのに、糞はこまめに始末すればいいと父親が押しきったのである。
 トシオはバケツをまた水槽にかぶせた。仔実装の面倒を見るのはラジオ体操から帰ってからだ。
 パジャマを脱いでTシャツとカーゴパンツに着替えた。
 部屋を出る前にアキコに声をかけた。
 
「エアコン、つけとく?」
「……ベランダの戸だけ開けといて……」
 
 しんどそうな声で答えが返る。
 トシオはベランダに出るガラス戸を開けて、網戸は閉めた。
 それから部屋を出て、そっとドアを閉めた。
 
 
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 ダイニングでは父親と祖母が朝食中だった。父親はワイシャツ姿で、食べ終えたら出勤だ。
 母親はキッチンでまだ料理をしている。自分と子供たちの分だろう。
 メニューはトーストとハムエッグ、レタスとキュウリとトマトのサラダ、カップスープはインスタントのポタージュで箱がテーブルの上にある。
 
「……おはよう」
 
 トシオが声をかけると、母親と父親、祖母からそれぞれ挨拶が返った。
 
「おはよう」
「おう、おはよう」
「おはよう、トシオ。アキコはどうしたんだい?」
「具合が悪いからもうしばらく寝てるって」
「エアコンで冷えたのかね。ちゃんとタイマーで止めてるかい? エアコンなんて長くつけると風邪はひくし電気のムダだよ」
 
 体調よりも電気代を心配していそうな祖母に、トシオは眉をしかめて、
 
「それはちゃんとセットしてるよ。ラジオ体操、行ってくるから」
「じゃあ、その間に、ばあちゃんは帰っちゃうな。ここでお別れだ」
 
 父親に言われて、トシオは思い出したように「ああ、うん」と頷いた。
 祖母は日曜日の夕方に泊まりに来て、月曜日の朝、出勤する父親と一緒に帰って行くのが常だった。
 二人が乗る電車は都心を経由して祖母の家のある港町まで走っているのである。
 トシオは祖母に頭を下げた。
 
「ばあちゃん、来てくれてありがとう。お土産もありがとう」
「ああ、うん。また来るからね。トイレ掃除の約束、忘れるんじゃないよ」
 
 祖母は満足そうな顔で言った。
 もう当分、来なくていいよと、トシオは心の中でつぶやいたけど。
 それからトシオはキッチンへ行き、声を潜めて母親に頼んだ。
 
「ねえ、ジッソーセキに違うエサをやるから、お金くれない?」
「パパが買ってくれたエサは食べないの? いかにも安そうだったけど」
 
 笑う母親に、トシオは渋い顔で、
 
「店員もあれはオススメしないって言ってたのに父さんが無理に買ったんだ。糞も臭くなるらしいから食べないでよかったけど」
「仕方ないわねえ」
 
 母親はエプロンのポケットから小銭入れを出した。中身を確かめてから、小銭入れごとトシオに渡す。
 
「そのお金で買える範囲のエサにしてね」
「この時間で開いてるのはコンビニだけだから、売ってるモノも限られるよ。とりあえず糞が臭わないタイプなら、なんでもいい」
 
 トシオは言った。
 
 
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 ラジオ体操の会場となっている児童公園には、水飲み場やトイレといった「水場」がない。
 生き抜くのに必要な水が容易には手に入らないから、野良実装が暮らすには不向きな場所だ。
 それでも、少し離れた総合公園や河川敷で増えすぎた野良実装の一部が移住して来ることがないわけではなかった。
 近い範囲に多くの野良が生活していればエサを得るのは激しい競争となる。
 同属喰いも野良実装にとって禁忌ではない。むしろ生存競争のライバルをそのままゴハンにするのだから一石二鳥、いや一石二石となるのである。
 そのような荒んだ暮らしから逃れたいと望む野良実装が、ときどき児童公園に棲み着くのだが、
 
「──またこんなところに野良蟲だ。誰か捨てて行くのか?」
「いまどき実装石を飼うニンゲンもいませんから捨てられることもないですよ。河川敷あたりから移動して来たんでしょう」
「どちらにしろ子供たちの遊び場に迷惑ですな。実装回収袋とゴム手袋を用意して来てよかった」
「コロリスプレーもありますから、逃げられないよう先に一吹きしておきましょう」
 
 ラジオ体操の世話役であるオトナたちが、植え込みにいた野良実装の一家を見つけて、手慣れたように始末する。
 
「…デシャァァァッ…!」「…デヂィィィッ…!」「…レピェェェ…!」
 
 その様子をトシオは無感動に眺めた。
 野良実装は彼も嫌いだ。一家全滅の危機に哀れっぽく泣き叫ぶ様子を見ても同情は湧かない。
 ゴミ捨て場を荒らし、公園や河川敷を糞で汚し、ときにコンビニやスーパーの前で薄汚れた我が仔をニンゲンに見せつけ託児を迫るのが野良実装だ。隙ありと見れば買い物帰りのレジ袋に仔や親指や蛆を投げ入れることさえある。
 紛れもない衛生害蟲なのである。
 では、その同属がペットショップで安いとはいえ値札がついて売られているのは、どういうわけか。
 生まれ育った環境が多少なりとも清潔で、トイレを決まった場所でするとか「おあいそ」は禁止とか最低限の躾けはされていても、テチテチテェテェ騒ぐばかりの我が家の仔実装を見ていると、野良の糞蟲と本質的には同じに思える。
 実装リンガルでも向けてみれば違いがわかるのだろうか。
 リンガルなど持っていないし、スマホのアプリのインストールを母親に頼むのも面倒くさいけど。
 そんなことをして「仔実装を気に入ったらしい」と思われてしまうのも癪だし。
 
「──トッシー、おはよー」
「おはよーっす」
 
 近くに住む同級生たちがやって来て、トシオは「おーっす」と挨拶を返し、実装石のことは頭から追い払った。
 昨日から家で飼うことになった仔実装だが、トシオの日常の中では、ほんの僅かな部分しか占めていなかった。
 
 
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 逆さにしたバケツをかぶせられた水槽の中で、仔実装は極限状態だった。
 昨日の午後、ペットショップから連れて来られてからエサを口にしていない。水も皿からこぼれた夕方以降、飲んでいない。
 何も飲み食いしていないのに便意は耐えがたくなってきた。
 それは実装石の本能であり、飢餓状態に陥ると腹に溜まった糞を出し切ろうとする。
 体力を喪った状態で万が一、危険に晒されたときに、あらかじめ体を軽くしておけば逃げられるチャンスが増すからだ。
 あるいは最悪の非常時には糞を喰らって腹を満たすこともできる。
 
「…テヒィィィ、テヒィィィ…」
 
 おなか空っぽテチ…… おノドはカラカラテチ……
 閉じ込められてアチュイアチュイテチ…… 何も見えないけどウンチしたいテチ……
 ……もうウンチするテチ……
 
 よろよろと仔実装は体を起こし、手探りで「トイレ」を見つけた。
 トイレ砂はほとんどこぼれたはずだけど仕方がなかった。砂がなければトイレが直接汚れてニンゲンさんのお掃除が大変になるけど、そもそも砂や水をこぼしたのはニンゲンではないか。
 そのせいで可愛い飼い実装が、こんなにも苦しんでいるのだ。
 
 ワタチは悪くないテチ…… ニンゲンが悪いテチ…… 飼い主失格テチ……
 
 仔実装は「トイレ」に尻を向けてパンツを下ろし、腰を落として糞をした。
 たっぷりと出た。
 ペットショップで与えられていたエサはウンチのニオイを抑えるタイプだったけど、飢餓状態で出した宿便は酷い臭気を放った。
 
 ワタチのせいじゃないテチ…… 早くウンチを片付けろテチ…… ワタチのお部屋を掃除しろテチ……
 
 ニンゲンへの怨みは募るばかりだが、ひとまず便意の問題は、出せば終わった。
 しかしエサと水は、どうにもならない。
 バケツの中に閉じ込められているせいで暑さも厳しく、水への渇望でアタマがおかしくなりそう。
 しかも出したばかりの糞の悪臭が追い討ちをかけ……
 
「…テヂャァァァッ…!!」
 
 仔実装は、ちっぽけな体からあらん限りの力を振り絞って咆哮した。
 
 ゴハン! お水! ゴハン! お水! ウンチ臭い! いますぐ片付けろ!
 ゴハンはいますぐ持って来い! お水も駆け足で持って来い!
 さもないと食べてやる! 役立たずのクソムシめ!
 オマエなんかワタチのゴハンにしてやる!
 
 仔実装は手探りで実装フードを見つけ、齧りついた。むしゃむしゃと喰らった。
 食べてしまえば同属のニオイは気にならなかった。というよりも気にする余裕を喪っていた。
 ウンチのニオイは宿便がもっと酷い臭気だから、わからなくなった。
 
「…ケホッ!? ケホケホッ!? テヂィィィ……!」
 
 仔実装は咳込み、フードを吐き出した。乾燥タイプの固形フードは渇ききった喉を通らなかった。
 フードを放り出し、水槽の底に両手と両膝をついて、激しく咳き込む。
 
「…ケホッケホッ!? テェェェ…」
 
 仔実装は涙ぐんだ。喉が渇きすぎてゴハンも食べられない。
 フードの一部は水皿からこぼれた水に濡れたはずだけど、とっくに乾いてしまったろう。
 いよいよ限界だった。
 とにかく水気が欲しい。涙を拭い、その手を舐める。
 塩辛さに、ぺっぺっと唾を吐く。よだれも貴重な水分なのに無駄に喪ってしまった。
 
 ……ウンチを食べるテチィ……
 
 仔実装は、ついに決心した。
 おなかから出したばかりのウンチなら、いくらか水気を帯びているはずだった。乾いてしまう前に食べるしかなかった。
 飼い実装になったはずの自分が食糞をするなんて、あまりにみじめだ。
 でも、そうしなければ飢えにも渇きにも耐えられない。
 
「…テェェェ…」
 
 仔実装は泣きじゃくりながら糞の山に這い寄り、顔を近づける。
 そして片手でそれを掬い、口へと運んだ。
 
 
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 コンビニで売られていたのは「実翠石・実蒼石用フード」だった。
 パッケージには二匹が並んだ可愛らしいイラストが描かれ、注意書きとして裏面に小さく「実装石でも食べられます」と記してあった。いまや実装石などオマケ扱いだ。
 母親から預かった小銭入れの中身を使い切らずに済む値段に安堵して、トシオはそれを買い求めて帰宅した。
 ダイニングへ行くと父親と祖母は出かけたあとで、アキコがパジャマ姿でトーストを頬張っている。
 母親はトシオを待っていてくれたのか、ラップをかけたハムエッグの皿を前に紅茶を飲んでいた。
 
「おかえりー。実装フード、いいの見つかった?」
「え? 実装フード?」
 
 アキコは眉をひそめて、
 
「あんた、そんなもの買いに行ってたの?」
「徳用フードを全然食わないんだもん、仕方ないじゃん」
 
 トシオはバツが悪い顔で答える。
 
「ジッソーセキを死なせたらダメなんだろ、ペットの世話ができないと父さんに思われちゃうから。だけど父さんが他のペットを買ってくれるとも思えないけど」
「まあ、父さんはね……」
 
 アキコは意味ありげに母親に目をやる。母親は微笑み、首を振った。
 なんなのだろう。オンナ二人で思わせぶりな態度をとらないでほしい。
 トシオはテーブルの自分の席に着いた。
 
「おなか空いた。ごはん」
「はいはい、いまトースト焼くわね」
 
 母親は、くすくすと笑って言った。
 
 
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 部屋に戻ると異臭がした。
 
「……え?」
 
 トシオは鼻をつまんで、机の脇に伏せて置いたバケツに歩み寄る。臭気の源は、そこしか考えられなかった。
 息を止め、思い切ってバケツをどかしてみる。
 水槽の中の仔実装が山盛りの糞に顔を突っ込み、倒れ伏していた。
 
「…テヒィ、テヒィ…」
 
 弱々しくも鳴き声が聞こえるから、まだ死んでいない。
 手を焼かせる糞蟲め!
 トシオはバケツを上下元通りに床に置き、仔実装の水槽を持ち上げてバケツの中に入れた。
 そしてバケツを手に提げ、急いで部屋を出た。
 階段を降りたところで、部屋に戻るつもりだったらしいアキコと鉢合わせる。
 
「何? なんか臭い」
「糞蟲だよ! 大量に糞をしたところに自分で顔を突っ込んで窒息してる!」
「ええっ?」
 
 呆れるアキコには構っていられず、トシオは早足で玄関を出て庭に回った。
 車庫に近いところに「庭の水やり」兼「洗車」用の立水栓と小さな流しがあった。
 トシオは流しにバケツを置き、蛇口をひねった。
 たちまち、水槽の中は緑の糞の色に染まった水であふれ、バケツへと流れ出した。
 少し間を置いて、仔実装がうつ伏せのまま、ぷかっと水面に浮かび上がった。
 まだこの程度で死にはしないはず。実装石は怪我をしてもすぐに治ると父さんが言っていた。
 だったら糞で窒息したり水に溺れても大したことはあるまい。
 蛇口から流し続けた水はバケツからもあふれて、流しの排水口へ注がれて行く。
 バケツの水面をしばらく、ぷかぷかとうつ伏せのまま漂っていた仔実装は、やがて流しに転がり落ちた。
 
「…ヂベッ…!」
 
 ほら、まだ生きている。うつ伏せのまま、ひくひく震えている。
 頭でっかちの仔実装は排水口から流れてしまうこともないだろう。
 さらに水を流し続けると、仔実装のトイレにしていたインスタントコーヒーの空き瓶の蓋がバケツの水面に浮かんで来た。重しになっていた山盛りの糞が水に溶けたのだ。
 トシオはバケツを傾け、緑に濁った水を捨てた。
 一瞬、流しがあふれかけて、仔実装が再び、ぷかりと浮かび上がった。
 排水口から水が引くと、仔実装は流しの底に倒れ伏す。
 
「…テヒィ、テヒィィィ…」
 
 声を上げているうちは大丈夫だろう。あるいは仮死という状態で動かなくなっても、両目が白く濁らない限り生き返るのだとか。
 あれは一年生の頃、友達と野良実装の駆除ごっこをして遊んだときに、どうすればトドメを刺せるかという話だったけど。目が白くなるまで徹底的にやっつけろというのが仲間とのルールだった。
 いまでは野良実装に関わること自体が不潔に思えて、積極的にどうしようとは思わないけど。
 バケツに水槽ごと水を満たしては傾け、濁った水を捨てることを繰り返す。
 そのたびに仔実装がぷかぷかと浮いては、また流しの底に倒れ伏す。
 
「…テェェェ、テェェェ…」
 
 哀れな声を上げるけど、泳げないのは実装石だから仕方がないとして、流しの底に倒れた状態から起き上がることもできない。
 よほど弱っているのか。そろそろ助けないとヤバいだろうか。でもまだ糞で汚れている気がして、触りたくない。
 そのうち水が透明に近づき、水槽の底に残った糞の塊が見えるようになった。
 これ以上は糞を溶かすのは無理だろうか。手を使って洗おうとは思えないけど。
 母親がそばに来て、ゴム手袋とトイレブラシ、トイレ用洗剤のスプレーボトルを差し出した。
 
「これ、使う?」
「あ、うん……ありがとう」
 
 トシオは手を洗ってから蛇口の水を止め、ゴム手袋を両手にはめた。
 バケツの水を全て捨てて、水槽を外に出して流しに置く。
 水槽に洗剤を吹きかけ、トイレブラシでごしごしと洗った。
 まだうつ伏せに転がったままの仔実装を見て、母親が、
 
「ジッソーセキは、そのままでいいの?」
「ああ、うん……」
 
 ゴム手袋で仔実装をつかみ、流しの外の地面に仰向けに寝かせた。
 
「…テヒ、テヒ、テヒィ…」
 
 舌を突き出して荒く息をしているが、まだ両目は白くなっていない。頑丈なヤツだ。
 逆に、どうすれば死ぬんだろう? まだ殺したらマズいようだけど。
 
 
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 食糞を試みた仔実装は、しかし飢えと渇きで弱りきっていたため、ムダに大きなアタマを自力で支えられず糞の山に顔から突っ込んだのだった。
 はずみでいくらか糞が口に入ったけど、それは糞の山に突っ込んだ結果であって、意図して糞を口にしたわけではない。
 いや、そもそも食糞をしようとした結果、糞の山に顔を突っ込むハメになったのだけど、そこは仔実装のちっぽけな脳味噌の中では結びつかない。
 片手で掬った糞を口へと運び、味わう寸前であったことは都合よく頭から消え去っている。
 とにかく、
 
 ワタチは死にかけてもウンチを食べなかっテチ! クソムシになってないテチ!
 
 というのが仔実装の自負だった。
 一方のトシオは、仔実装が糞の山に顔を突っ込んで窒息したのは、狭い水槽の中であまりに大量の糞をしたせいだろうと考えた。
 飢えた野良実装なら食糞行為もよくあることだと知っていたけど、粗悪品とはいえエサを与えられた飼い実装が糞を喰らうことは想像できなかった。
 事実を知らないことはトシオのためにも、よかったであろう。
 姉と母親の間で、どのような約束が交わされているのかトシオは知らないが、もうしばらく仔実装は飼い続けなければならないのだから。
 食糞に失敗して死にかけたと知れば、トシオは仔実装に嫌悪感が湧いてしまい、水槽ごと実装回収袋に入れてゴミ捨て場へ運んでいただろう。
 こうして仔実装は、トシオの家で飼い続けられることになった。
 エサは母親が父親を説得して、糞を消臭するタイプに切り替えられた。
 
「本当に徳用フードは食べないのか? しばらくそれしか与えなければ、あきらめて食べるんじゃないのか?」
 
 父親は納得いかないようだったけど、虐待みたいな扱いをさせるため子供たちに仔実装を買い与えたのではないだろうと母親が一蹴した。
 しかし、トシオが面倒を見たのはエサやりと水やり、トイレ砂の交換と、ときどき水槽を掃除するだけだった。
 温かい風呂に入れてやったり、一緒に遊んでやるような「仔実装が望んだ可愛がり方」はしなかった。
 カブトムシだって風呂に入らない。
 トシオがしていたのは、カブトムシを飼っていたならばしていた程度の世話だった。
 そして糞で窒息して一度死にかけた仔実装は、この家で自分が置かれている立場をようやく理解した。
 
 このおウチはビンボーなんテチ……
 住んでるお部屋は立派テチ…… でも心がビンボーなんテチ……
 飼い実装の可愛がり方がわからないカワイソウなニンゲンたちテチ……
 
 それは微妙に誤解を含んでいたが、自分が望むようには可愛がってもらえないことを悟っただけでも進歩だった。
 
 せめてワタチの可愛らしさはアピールし続けてやるテチ……
 ニンゲンたちがワタチの可愛らしさに気づいて改心すればワタチも可愛がってもらえるはずテチ……
 
「…テチィ♪ テチィ♪」「…テチューン♪」「…テチャチャ♪ テチャッ♪」
 
 トシオがエサやりなどの世話のため水槽に近づくたび、仔実装は立ち上がって両腕を差し伸ばし、甘えた声で鳴いてみせるが、作業が済んでトシオが離れて行けば、仔実装は膝を抱えて座り込む。
 
 あきらめたら負けテチ……
 ペットショップの売り実装だったときも何度も頑張ってニンゲンさんにアピールしテチ……
 そうチテ飼い実装になっテチ……
 飼われたのが心がビンボーなこのおウチだったのは失敗テチ……
 でもいつか必ずワタチの可愛らしさをニンゲンたちにも気づかせるテチ……
 
 そして、八月中旬。
 ニンゲンたちの夏の風習である「お盆」が近づいて来た。
 
 
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「──忘れ物ないなー?」
「パパはテーブルの上に車の鍵を忘れてたでしょ」
「おう、すまんすまん」
「トシオは野球帽どうしたの?」
「カバンにしまってあるよ。姉ちゃんの麦わら帽子は?」
「もう車の後ろのシートに置いた。バッグに入れて潰れたら嫌だから」
 
 トシオたち一家は、母方の実家へ帰省しようとしているのだった。
 マイカーであれば仔実装は連れて行けないこともなかったが、
 
「車の中で糞をされたらニオイのせいで車酔いしそう」
 
 というアキコの主張で留守番させることになった。
 母親がトシオに、
 
「ジッソーセキのエサと水は大丈夫?」
「うん、ちゃんと多めに用意した」
「お風呂場の窓は開けてあるんでしょ? 帰って来てお風呂に入ろうと思ったら、ジッソーセキが熱中症で死んで腐ってたなんてイヤだからね」
 
 アキコが言って、トシオは口をとがらせる。
 
「心配なら姉ちゃんが面倒見ろよ。最初は二人で世話をするはずだったのに」
「何度も言うけど、トシオがカブトムシを欲しがったのが、そもそもジッソーセキを飼うきっかけだったのよ?」
「またそれかよ。姉ちゃんもペットを欲しがったんだろ?」
「はいはい、喧嘩はそこまで。トシオは最終確認でお風呂場を見てらっしゃい」
「……はーい」
 
 母親に命じられ、トシオは渋々と風呂場に向かった。
 
「…テェ…?」
 
 仔実装は水槽ではなく、たらいに入れて風呂場の床に置いていた。
 いつもと違う環境にいることが不思議なのか、ぽかんと口を開けて仔実装はトシオを見上げている。
 エサは大きめの皿に山盛りにして、水は深さのある皿に満たしてある。インスタントコーヒーの蓋のトイレは二つに増やした。
 窓は少し開けて、虫が入らないよう網戸は閉めてある。外側に格子が取りつけてあるから泥棒や野良猫も侵入できず、目の前の塀の向こうが隣家の敷地なのも防犯面で安心だ。
 風呂場以外の家じゅうの窓は閉めて鍵をかけてある。仔実装を留守番させるには、格子のおかげで窓を開けられる風呂場が一番涼しくていいはずだ。
 トシオは仔実装に呼びかけた。
 
「……一週間、出かけて来るから。エサと水は、その分だから大事にするんだぞ」
「…テチィッ♪ テチィッ♪ テチュゥゥゥン…♪」
 
 仔実装は、はしゃぎ声を上げて飛び跳ねる。
 棲み家が広くなったし、エサも大盛りに増やしてもらった。
 おまけに、ここはお風呂場だと偽石に刻まれた記憶が告げている。
 
 これはお風呂の予感テチ♪
 ついにこのおウチのニンゲンも改心してワタチを可愛がる気になっテチ♪
 アワアワに包まれてキレイキレイになるテチューン……♪
 
「じゃあな、行ってくるから」
 
 トシオは風呂場を出て、戸を閉めた。
 
「…テェェェ…?」
 
 取り残された仔実装は深々と首をかしげ、そのまましばらく硬直した。
 
 ……お風呂じゃないテチ?
 だったら、どうチテここに連れて来られテチ?
 コドモニンゲンは何かいろいろ言っテチ…… でも聞いてなかっテチ……
 コドモニンゲンどこに行っテチ? すぐに戻って来るテチ……?
 
 
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 それから三日後。
 仔実装は、またしても極限状態にあった。
 大盛りのエサは、あるだけ食べ尽くして二つのトイレに山盛りの糞に変えていた。一週間分だと言われたことも理解していなかったけど、たとえ理解できても自制が働かず全て平らげていただろう。それが実装石というものだ。
 思う存分、食べたおかげで喉が渇き、それにも増して暑さに耐えられず、水も全て飲んでしまった。
 窓が少しばかり開けてあっても、出入口の戸が閉まっているので風は通り抜けない。
 そのくせ型板ガラスの窓越しに外の熱気が伝わり、風呂場は酷く蒸している。
 風呂場と脱衣場の双方の戸は開けておくべきだったろう。そうすれば熱気は廊下に逃げて、暑さが少しは和らいだろう。
 意図的に仔実装を虐げようとしたのでないなら、これはニンゲン側の判断ミスだった。
 もちろんトシオにそのつもりはなかった。彼はいつも真面目に仔実装の世話をしていた。
 
「窓を開ければ風が入るでしょ。でも万が一、ジッソーセキが逃げたら困るから出入口の戸は閉めておいて」
 
 そう言ったのは母親だった。
 
「エサもまとめて用意しておけば、少しずつ自分で食べるでしょう」
 
 それも母親の言ったことで、トシオは素直に従っただけだった。
 とにかく仔実装は本能に忠実にあるだけのエサも水も食べ飲み尽くし、そしてあふれたトイレを前に、便意に耐えかねていた。
 
 ……ウンチしたいテチィ……おトイレ片付けてほしいテチィ……
 
「…テェェェ…」
 
 ……もう無理テチィ……おトイレの外にするテチィ……
 
 仔実装は腹に残っていた糞を出し切った。
 思いもよらず大量で、あふれたトイレも含め、たらいの半分ほどが糞に占められることになった。
 
 ……こんなことなら、どうせ空っぽのゴハンと水のお皿にウンチすればよかっテチィ……
 
 便意から解放されると今度は、飢えと渇きが仔実装の脳味噌を支配することになった。
 
 ……おなかペコペコテチ……おノドはカラカラテチ……
 でももうウンチは食べないテチ…… ワタチはクソムシじゃないテチ……
 クソムシになんてならないテチ……
 
 たらいの底に身を横たえる。体力の消耗を抑えるため。そしてカラダに残る水分も浪費しないためであった。
 汗をかくようなことをしたら、ダイジな水分が逃げてしまう。
 
「…テェェェ…テチュン…」
 
 泣いたらダメなんテチ…… ナミダもダイジなお水テチ……
 このまま、じっとしてコドモニンゲンを待つテチ……
 可愛がってはくれないけど、ゴハンとお水はくれていたコドモニンゲンテチ……
 きっとそのうち戻って来て、またゴハンとお水をくれるテチ……
 
「…ヂィ…」
 
 
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 仔実装が風呂場に置き去りにされてから一週間後。
 帰宅したトシオたち一家の中で、最初に風呂場に向かったのは母親だった。
 真っ黒に日焼けしたトシオは母親の実家でもらったカブトムシで頭がいっぱいで、これも実家で用意してもらった新品の水槽を抱えて子供部屋に直行した。
 カブトムシは自分の机の上で飼うつもりだった。仔実装のことは忘れていたけど、思い出したとしても引き続きゴミ箱の横に置いておこうとしか考えなかったろう。
 カブトムシと同程度に世話を焼いていたとしても、トシオにとって実装石は実装石でしかなかった。彼が飼いたかったのは最初からカブトムシだった。
 
「…ヂ…」
 
 たらいの中、乾ききった糞の山の傍らに、干からびかけた仔実装は横たわっていた。
 仔実装自体は汚れていなかった。食糞の欲求に耐え抜いたのだ。
 
「…テ…」
 
 か細い声を上げ、自分を見下ろすニンゲンに、枯れた小枝のようになった片腕を差し伸ばす。
 相手がコドモニンゲンの母親──ニンゲンママであることは、この家で飼われる中で仔実装も認識していた。
 母親は口元に、微かに笑みを浮かべた。
 たらいの前にしゃがんで、左手で仔実装をつかみ上げる。
 
 ニンゲンママさんのお手々……温かいテチ……
 
 母親は右手の親指と人差し指で仔実装の頭を包み込むようにした。
 そして、くいっと首を半回転ばかりひねった。
 
「…ヂッ…!」
 
 仔実装は小さく呻き、しばらくひくひくと痙攣したが、やがてぐったりとした。
 母親は、たらいの底に仔実装を戻した。
 そして仔実装の「衰弱死」を子供たちに告げるため、風呂場を出て行った。
 
 
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 母親は結婚前、実家で暮らしていた頃は何度もニワトリや山実装を「締めて」いた。
 締め方はどちらも同じで、首をひねって頚椎に致命傷を与えてから、喉を切り裂いて血を抜く。
 だから仔実装を「締める」のも手慣れていたはずだったが、十数年ぶりのことなので加減を忘れていた。
 しぶとい実装石にとどめを刺すには、首をひねるなら完全に一回転させなければ難しいのだ。
 仔実装の目は白く濁りつつあったが、まだ緑と赤の色味も喪っていなかった。
 たらいの底に横たわった仔実装を見下ろすトシオはそのことに気づいたが、いまさら命を救う手立てはないと思い、黙っていた。
 父親は糞の臭気に耐えられないと言って立ち去り、いま風呂場にいるのはトシオとアキコ、それに母親だった。
 アキコは鼻をつまんで顔をしかめ、必死に耐えているようだったけど。
 
「生き物を飼うということは、いろいろなリスクと隣り合わせなの」
 
 母親は言った。
 
「怪我をしたり病気をしたり、逃げられたり、ときには悪い人に盗まれたり、イタズラされてヒドい目に遭うこともある」
「……わかってる」
 
 トシオは答える。
 しかし母親は言葉を続ける。
 
「怪我や病気も飼い主の不注意が原因のこともある。このジッソーセキもそう。ママがいけなかったのだけど、窓を開けていてもお風呂場の暑さに耐えきれなかったのね」
「……うん」
 
 トシオは頷く。
 仔実装に愛情は感じていなかった。ただ義務的に世話をしていただけだった。
 それでも死なれてしまうと(まだ完全には死んでいないけど)、自分の責任のように感じる。
 留守の間の扱い方は母親の指示に従っただけだけど、自分でも何か考えるべきだったのではないかと。
 母親は言った。
 
「トシオ、もしも新しいペットを飼うことになったら、今度もちゃんと面倒を見てくれる?」
「カブトムシなら、ちゃんと可愛がるよ」
 
 トシオは言ったが、母親は微笑みながら首を振り、
 
「カブトムシとは別に、近いうちに我が家に犬が来るの」
「犬? なんで? 父さんがそんなの買ってくれるわけ……」
「保護犬のボランティアのグループから引き取るのよ。もうオトナだけど躾けはちゃんとできてる子」
「引き取るの? タダで?」
「完全にタダではないわ。去勢手術代とワクチン代を実費で負担するし、気持ちだけでもいくらか寄付もしようと思ってる」
「でもお金で買うんじゃないってこと? ジッソーセキでもないのに、タダで譲ってもらえるの?」
 
 目を丸くしているトシオに、アキコが呆れた顔をした。
 
「あのね、捨てられるペットは実装石だけじゃないの。みんなが可愛いと思ってるはずの犬や猫だって捨てられるの」
「それは……オレだって知ってるけど」
 
 トシオは口をとがらせる。
 この町が都心から離れているせいだろうか、河川敷には野良実装ばかりではなく、ときどき野良犬も棲み着いていた。
 中には古びた首輪を着けたままの犬がいるのを、トシオも見たことがある。
 おそらく、よその町から「元」飼い主によって連れて来られて、河川敷に置き去りにされるのだ。
 犬はニンゲンを襲う危険があるため、定期的に保健所が捕獲するのだけど。
 あるいはもっと直接的に、飼えなくなった犬や猫を保健所に預けて処分させる飼い主がいるとも聞いている。
 しかし、そのように捨てられたペットを保護して、新しい飼い主を見つけるボランティアがいるのは知らなかった。
 アキコが言った。
 
「お盆の里帰りが済んだら、犬を迎えに行くことでボランティアさんと約束ができてるの。パパはママが説得するけど、ダメだと言われても犬は連れて来る。そのためにママが一生懸命パートして、手術代やワクチン代を稼いだんだから」
「姉ちゃんは知ってたの、犬を連れて来る約束?」
「だって、あたしが保護犬のボランティアさんを見つけたんだもの。学校や友達の家でインターネットで調べて」
「アキコが前から犬か猫を飼いたがってたのは知ってたけど、そういうかたちでお迎えする手もあったんだって感心したわ」
 
 母親が微笑み、アキコは得意げに胸を張る。
 
「ネットを有効活用してるでしょ。だから六年になったらネットができるスマホに替えてね」
「うーん、それは中学生になってからかな」
 
 母親とアキコは笑い合うが、トシオは渋い顔をした。
 
「なんでオレにはいままで教えてくれなかったの?」
「だって、あんたに言ったらパパを説得するまで秘密を守れないでしょ。お盆の里帰りが済めば反対されても強硬手段で犬を連れて来るけど、それまでは揉めたくないし秘密にしておこうって」
 
 涼しい顔で言うアキコに、トシオは納得できず、
 
「父さんには言うなって言われれば、オレだって言わないよ」
「どうだか。信用できない」
「なんでだよ」
「トシオに隠してたのは悪かったけど、犬が来るとわかってたら、ちゃんとジッソーセキの面倒を見られた?」
 
 母親に言われて、トシオは「それは……」と一瞬、言葉に詰まるが、
 
「最初から犬が飼えるとわかってたら、父さんにカブトムシを買ってほしいとも言わなかったよ」
「それもそうね」
 
 母親は、ぺろりと舌を出す。
 彼女にとって仔実装は、息子がどれだけペットの世話をできるか確かめるための試金石だった。
 お盆の帰省の前までにその目的は達成した。
 あとはペットの死という現実から、新たな学びを得てもらうだけだった。
 そのために仔実装には教材としての務めを全うさせなければならなかったのだ。
 仔実装はニンゲンたちの笑い声を聞きながら、おのれの偽石が砕けようとしているのを感じ、しかしまだ救いが与えられることをあきらめていなかった。
 
「…ヂィ…」
 
 コドモニンゲンさんが戻って来テチ……
 ワタチはウンチを食べずに頑張っテチ…… クソムシにならなかっテチ…… 褒めてほしいテチ……
 お水くださいテチ…… ゴハンもそのあとくださいテチ……
 もうお風呂のお願いはしないテチ…… アチュイアチュイはイヤイヤテチ……
 ゴハンとお水とおトイレのお掃除のほかは何も我がまま言わないテチ……
 だからお願いしますテチ……
 お水……飲ませ……テ……チ……
 
 ──パキン!
 
 ようやく両目が白く濁りきり、仔実装は息絶えた。
 トシオはそれに気づいても、もう何の感慨も持たなかった。
 我が家に犬が来たら、ちゃんと世話をしよう。アキコに独り占めさせないようにしよう。
 もちろんカブトムシは自分だけのペットとして可愛がろう。
 頭にあるのは、それだけだった。
 
 
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【終わり】
 
 
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 七年ぶりに書いた実装石スク。
 保管庫への投下は八年ぶりになります。
 ずっと名無しでしたので前作がどれかは誰もわからないでしょうが……
 
 各所に投下した過去作を集めてPIXIVに投下しました。
 よろしければユーザー名「スク供養」で検索ください。
 
 八年ぶりの名無しのスク作者 拝
 
 

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1 Re: Name:匿名石 2019/09/02-02:20:32 No:00006089[申告]
うーん、この爽やかな読後感
年季の入ったスク師さんの技量を感じる
2 Re: Name:匿名石 2019/09/02-18:32:50 No:00006090[申告]
どこまでも哀れな命で最高
食糞我慢しきったのに死んじゃって、まあ胸がすく
乙でした
3 Re: Name:匿名石 2019/09/02-23:10:21 No:00006091[申告]
父親と祖母の描写がリアル過ぎる…
仔実装は何というか哀れだな
でも可哀想という感想が沸いてこないのは技だと思いました
面白かったです
GJ!
4 Re: Name:匿名石 2019/09/02-23:34:11 No:00006092[申告]
父と父方祖母の言行に終始イラっとしたけど母が良い緩衝材になってて良かった
犬とカブトムシの可愛がられて幸せになる予感と最期まで報われずに干からびた仔実装が対照的だった

何も我がまま言わない、とか死に際に抜かしてるけど
実装の分際で何かを望むこと自体が我儘というか分不相応だぞ
良いお話しでした 
5 Re: Name:匿名石 2019/09/05-01:34:09 No:00006093[申告]
こういうのが読みたかったんだ
実装石とそれに関わる人間のやりとり
丁寧な作りで読み応えがありました
6 Re: Name:匿名石 2019/12/24-01:56:39 No:00006151[申告]
この一家には他の生き物飼って欲しくないなぁ…
7 Re: Name:匿名石 2020/01/06-20:46:50 No:00006164[申告]
いや、糞蟲が糞蟲なのと親父、祖母が毒なだけだろ
8 Re: Name:匿名石 2021/08/05-06:46:01 No:00006397[申告]
登場人物の中で一番糞蟲思想しているのは母親
9 Re: Name:匿名石 2021/08/08-15:01:40 No:00006401[申告]
毒祖母が話の通じそうな人間なのに強行策に出てるならそうだけど
綺麗事と押しつけの典型的な頭ぱよちん実装版なのは描かれてるし
それに対抗して排除して子供達に本当の動物飼育の機会を与えてるんだから賢母でしかない
これの母親や子供達を叩くようなやつって本人が毒祖母か毒父みたいなタイプなのかな
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