タイトル:【虐】 続々々・実装小話
ファイル:小話......④.txt
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初投稿日時:2019/04/12-14:29:32修正日時:2019/04/12-17:27:11
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    続々々実装小話  その5    ニンゲンママ

 私は、結婚3年目の主婦。
 夫は大手企業の社員、文句の無い家庭だ。
 問題があるとしたら、子供が未だ出来ない事だった。
 ある日、私と夫は、意を決して産婦人科医院に診察に行った。
 色々な検査の結果、私は、子供ができにくい体質と言う事だった。
 セカンドオビニオンで2〜3の産婦人科の診察を受けたが、結果は全て同じだった。


 私の友人と言えば、「子供を連れて遊園地に行った!」「今年、子供が保育園に入園した!」等の話は、必然的に耳に入って来る。
 だんだん私は、塞ぎ込む様になった。
 見かねた夫が、ペットショップから躾済の仔実装を買って来た。
「犬や猫も考えたんだが、会話が出来ない。実装ならリンガルで意志の疎通ができるぞ!」そう言って、小さな仔実装と時計型のリンガルを渡してくれた。
 躾済仔実装は、ニンゲンと生活が出来る様に教育されているから赤ちゃんの様に手が掛からない。
 それはそれで良いのだが、一から子育てをしたかったのが本心だ。

 仔実装には、最近開発された実装成長抑制剤を飲ませた。
 この薬は、実装の体に負担を掛けず、成長の抑制をすると言う物で死ぬ迄仔実装の体型と精神年齢を維持できると言う物で、決して成体実装にはならないと言われている。


 仔実装にはミドリと言う名前を付けた。
 ミドリは私の事を「ニンゲンママ!」と呼ぶ様になった。
 私は、自分が産んだ子供の様に躾をした。甘やかさず、叱る時は、ミトリに何処が悪いか説明して、可愛がる時は、大いに可愛がった。
 春は、ミドリを連れて花見、夏は花火を見に行ったり、秋は紅葉狩り、冬は暖かい窓際でひなたぼっこをした。
 ミドリを抱っこしてのんびりと1日過ごした事もあった。


 そんなこんなでミドリと楽しい毎日を過ごしていたある日、体調が悪く病院に行くと医師から「おめでたですね!」と言われた。
 嬉しかった、もう子供は出来ないだろうと半分諦めていたのに......。


 ミドリが着てくれたおかげで『子供を産まなければ!』と言うプレッシャーから解放されて、体がリラックス出来ていた日が続いたのが妊娠出来た要因だった。
 そして女の子を出産。名前をあかねと付けた。

 これからは、ミドリがお姉ちゃんとして、しっかり妹と遊んでくれるだろうと思っていた。
 だが、私の考えは甘かった。



 当然、赤ちゃんの世話に大半のウエートが掛かる。
 時間を決めてミルクを飲まさないといけない、ミルクを飲めば≪ゲップ!≫を出さないといけない。
 夜泣きすれば夜中でも起きて長い時は、数時間抱っこをして寝かす。
 当然、夫も、オムツの交換、お風呂に入れたり、ミルクを飲ませたりと協力してくれる。


 両親からは、「子供の世話は、自分達でやりなさい!」と言われたから頼みにくい。
 ミドリの事はと言うと、今迄の様に遊んでやることも出来ない。
 声を掛けられても私も主人も「後でね!」となってしまう。
 でも内心は「寂しい思いをさせてごめんね!」と思っていた。

 ミドリも最初の内は、辛抱していた見たいだが、段々「ニンゲンママ!遊んでテチ!」言いだした。
 あかねが、泣いていて私が、抱っこしてあやしていたら、「ワタチも抱っこしてテチ!」とやって来る。
 ミルクを飲ませていたら「ワタチも飲みたいテチ!」と哺乳瓶を奪いに来る。
 その後も、あかねの世話をしていたら、やって来ておもりの邪魔をする。
 理由を説明しても「遊んでテチ!遊んでテチ!」と聞かない。
 私も堪忍袋の緒が切れて「もう!いい加減にしなさいよぉ〜!」怒ったら、すねてしまって何処かに行ってしまった。


 ある日、くたくたになって転寝をしていたら、あかねが泣いていた様に聞こえた。
 気になって、見に行ったら、あかねの顔に布団が掛けられていた。
 慌てて布団を取って事無を得たが......。


「ミドリ!ミドリィ〜!あんた!あかねの顔に布団を掛けたでしょ!窒息死したらどうするのよ!
 あかねは、あんたの妹でしょ!どうして、そんな事をするのよ!」と怒鳴りつけた。
 するとミドリは「あんなの妹じゃないテチ!死んだら良いテチ!ワタチからニンゲンママを奪ったテチ!憎い奴テチ!
 ワタチを可愛がらないからテチ!」と私を睨みつけてそんな事を言った。

「妹を可愛がろうとせず!殺そうとするなんて!あんたこそ私の子じゃないわよ!」
「解ったテチ!よぉ〜く!解ったテチ!ワタチを本気で怒らせたらどうなるか思い知るが良いテチ!」
 そう言ってもミドリは悪びれもせず、自分の部屋に籠ってしまった。


 夫の携帯にミドリの仕出かした事をメールしたら、夫から『今夜、ミドリに着いて相談しよう!』と返信があった。
 だが、もうあかねから目を離す事が出来ない。
 私達が、あかねに掛かり切りになって、自分の事を構って貰えないと嫉妬の炎を燃やすミドリなら、本当にあかねを殺しかねないと思ったからだ。
 私は、あかねのベビーベッドを寝室から、リビングに移してそのまま部屋を施錠した。
 暫くしてミドリがリビングにやって来たのだろう、ドアノブを≪ガチャ!ガチャ!≫廻しだした。
「ニンゲンママ!如何してテチ!どうしてワタチより、あんな奴を大事にするテチ!あんな奴、死ねばいいテチ!」そんな事迄言って来たが、あえて無視して聞こえない振りをした。



 夜、夫が帰って来た。
「明日、会社を休んだ!事態をお袋に連絡したら明日あかねを預かってくれるそうだ!ミドリを捨てよう!仔実装よりあかねが大事だ!明日二人で愛護センターに連れて行こう!」
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 次の日の朝、義父と義母が家に訪ねて来た。
 あかねを抱っこしているのをミドリは睨みつける様に見ていた。
 どうせ『大きいママもパパもあかねに取られてしまった!』としか思っていないのだろう。
 もうミドリの事を嫌いになってしまったら、一緒の家に居るのも嫌になった。


 午前9時、実装愛護センターの仕事が始まる時間だ。
 夫が「じゃあ!呼んでくるぞ!」そう言ってミドリをゲージに入れて連れて来た。
 ミドリは、≪ニコニコ≫して機嫌がとても良さそうだ。
「ニンゲンママ!ニンゲンパパ!何処に遊びに連れて行ってくれるテチ!」
「お前の友達が一杯いる所だ!実装遊園地へ行く!今日は俺達も一緒に行くから一杯遊ぼう!」
「テチャァ〜!行くテチ!行くテチィ!」嬉しそうに着いて来た。


「一体、何を言ったの?怒っていたみどりが、あれほど機嫌が良くなるなんて!」
「親父とお袋が、これからずっとあかねの世話をする事になった。あかねは、今日でこの家に居なくなる。これからは、今迄通りに3人で生活する。今迄の様にお前の事を構ってやれる!と言ったんだ!」
 リンガルを切って話をしていると、ミドリが「テチ!テチ!」言ってきた。
 リンガルのスイッチを入れると「ワタチもお話に混ぜて欲しいテチ!寂しいテッチ!」と甘えて来た。


 暫く車を走らせると、実装愛護センターが見えて来た。
「着いたぞ!俺が手続きをしてくる!」そう言って夫が受付に行った。
 ミドリは、「此処が実装遊園地テチか?早く!早く!行くテチ!」と腰を浮かせてそわそわしている。
 夫が車に帰って来るのが見えた。
 私はリンガルを切って話の内容が、ミドリに伝わらない様にした。
「受け入れテ続きは済ませた!処分理由は、娘を殺そうとしたと書いた。彼奴は殺処分される。俺が連れて行くよ!」と言ったが......。
「私が連れて行く!この子の最後は、私が見届ける!」そう言ってリンガルのスイッチを再び入れて車から出た。


 ミドリのゲージを持ち上げて車から出ると、愛護センターの職員が、台車を持って出て来た。
「ニ......ニンゲンママ!これは......これは、一体!.....一体!どういう事テチィー!此処は、遊園地じゃないテチ!何処に!何処に連れて来たテチ!
 そ.....それに、こ......此処は、此処は、凄い嫌な臭いがするテチ!一体!一体!此処はどこテチ!」とゲージの中で暴れ出した。

 私は無言で台車にミドリの入ったゲージを置くと、センターの職員が、「じゃあ!此処でお別れです!」と言った。
「お......お別れって!お別れって!な.....何テチ!何テチー!ワタチは聞いてないっ!聞いてないテチィー!ニンゲンママァー!どう言ういう事テチ!どう言う事テチィー!」
「あんたが、あかねを殺そうとしたからよ!もう一緒に生活なんかしたくない!大っ嫌い!此処は実装愛護センターよ!あんたは、此処で殺処分されるのよ!さよなら!」そう言うとリンガルを切った。
 職員に「宜しくお願いします!」と一礼してその場を離れた。
 後ろから「テッチャー!テッチャー!」と必死に私を呼ぶミドリの声がこだました。

*これはピクシブの挿絵を参考にしました。


   FIN



  























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1 Re: Name:匿名石 2019/04/12-19:14:41 No:00005870[申告]
登場するやつ全員もれなく声がでかそう
2 Re: Name:匿名石 2019/04/12-20:12:19 No:00005871[申告]
登場人物全員業が深い…
3 Re: Name:匿名石 2019/04/12-21:59:24 No:00005873[申告]
役に立たない実装石はゴミ
4 Re: Name:匿名石 2019/04/13-07:22:52 No:00005874[申告]
ふむ。
子供の代わりに飼った実装石なんで、本当の子供が産まれたら処分される。
当然の流れだね。
5 Re: Name:匿名石 2019/04/13-07:39:07 No:00005875[申告]
ワタチを本気で怒らせたらどうなるか思い知るが良いテチ!
この発言の時点で即処分されなかっただけでも寛大な飼い主だ。
飼実装は、主に死ねと言われたら笑顔で死ぬぐらい従順でなければならない。
グッバ~イ糞蟲
6 Re: Name:匿名石 2019/04/13-08:31:59 No:00005876[申告]
>>kobeUS様
参考にした挿絵の詳細を教えていただけないでしょうか?
7 Re: Name:匿名石 2019/04/13-09:15:27 No:00005877[申告]
実装石の分際で人間を「ママ」呼ばわりするのでさえおこがましいんじゃボケ!とか思ってしまう
処分される恐怖を味わうがいい
8 Re: Name:匿名石 2019/04/15-00:56:02 No:00005878[申告]
5876さん
この絵を参考に、子供の居ない妻と言う設定を立てました。
9 Re: Name:匿名石 2019/04/15-01:16:10 No:00005879[申告]
↑ こんな穏やかな絵から話の着想を得たのか・・・
優しい飼い主に抱かれ安心して眠る仔実装がスクのような運命を辿るなんてカワイソーダナー(棒)

それと今後作者さんは参考にした絵はスクと一緒に上げてくれるといいんじゃないかな

10 Re: Name:匿名石 2019/04/15-20:12:41 No:00005880[申告]
>>No:00005878
ありがとうございます!
この絵があの惨事に…
11 Re: Name:匿名石 2019/04/17-14:59:08 No:00005888[申告]
寝てる仔実装の白いパンツにチャッカマンで火をつけたい
12 Re: Name:匿名石 2019/04/18-22:03:51 No:00005896[申告]
人殺しは人間だって死刑になるんだ
殺人未遂の実装石なんてちゃんとした施設で処刑してもらえるだけ恵まれてる
13 Re: Name:匿名石 2023/08/11-18:11:09 No:00007767[申告]
子育て大変だから構えなくなるのは仕方ないし仔実装が寂しがり嫉妬するのもわかる
状況的に仕方なかった
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