タイトル:オムニバス5連発ナ・イ・ショ
ファイル:オムニバス5連発ナ・イ・ショ.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:655 レス数:11
初投稿日時:2017/04/22-12:51:29修正日時:2017/04/22-12:51:29
←戻る↓レスへ飛ぶ

オムニバス5連発ナ・イ・ショ




●PART-21「この中に……!」

 ふたば平和公園に巣食っている野良実装の群れは、今、壊滅の危機に晒されて
いた。

 五十匹以上居た仲間達が次々に行方不明になってしまい、今や残っているのは、
たった四匹の成体実装と、僅かな仔実装や蛆実装のみ。
 この危険が大ピンチな状況に、老実装石のリーダーは、最近鈍りがちな頭を
悩ませていた。


 その日の晩、リーダーは、自分以外に生き残った成体実装残り三体を、全員招集
した。

リーダー「我がコミュニティを、壊滅に追い込もうとしている、
 恐るべき者が居るデス」

 ドスの利いたリーダーの言葉が、静かに響き渡る。

成体A「そ、それって、どういう事デス?」
成体B「仲間達を殺したヤツが、わかったんデス?」
成体C「ひええ、なんだか怖いデス〜!」

リ「マラ実装デス! マラ実装の仕業デス!!」

 リーダーの衝撃的な発言に、三体の成体実装達は、目を剥きゴクリと唾を飲み
込んだ。

A「なんでマラ実装が、こんなに仲間を殺したんデス?」

リ「食欲と性欲を満たすためデス」

B「せ、性欲!!」

リ「マラ実装は、同族を犯し、その後に食い殺すという恐るべき習性を
 持っていると、昔こことは別なコミュニティで聞いたことがあるデス。
 先日ワタシは、この公園の奥の林の中で、大量の骨を見つけたデス。
 それで確信したデス!」

B「な、何をデス?」

リ「マラ実装は、どこからかやって来て我がコミュニティに近づき、
 こっそり仲間を襲ってそれを糧にしていたデス」

C「そ、そんなヤツが今まで公園の中に住んでたなんて、信じられないデス!
 それはきっと、何かの間違いデス!」

 成体実装達が怯えた呻きを上げる中、リーダーは、酷く冷静な表情を浮かべて
いた。

リ「それで、お前達をここに集めたのは——
 マラ実装を特定し、排除するためデス」

A「デ? 特定って、どうやって……」

 その言葉に、リーダーはカッと目を見開いた。

リ「この中に、そのマラ実装が居るからデス!」

ABC「「「 デ、デエェェェッ?!?! 」」」


 リーダー実装の言い分は、こうだった。
 最後の犠牲者と思われる成体実装が消失してから、早や一週間。
 それからは、コミュニティ内の実装石の数は減っていないし、これまで外部から
別なグループの実装石が入り込んだ痕跡もない。
 という事は、マラ実装はコミュニティ内に紛れ込み、新しい犠牲者を虎視眈々と
狙っている可能性が高い。


リ「——然るに、ここにいる四匹の中から……
 いや、正しくは三匹の中から新しい犠牲者が出る前に、犯人を特定し、
 我々の手で処罰する必要があるデス」

B「あ、あのぅリーダー、処罰って……?」

リ「当然、これ以上被害が広がらないように、ぶち殺すという意味デス」

ABC「「「 デ、デエェェェッ?!?! 」」」

リ「さぁ! 全員目を瞑るデス!
 そしてマラ実装は、素直に手を挙げるデス。
 さぁ、誰も見てないから、恥ずかしがる必要はないデス〜」

C「リーダー! それじゃ誰も手を挙げないと思うデス!」

A「それに、リーダーも目を閉じてちゃ意味ないデス?!」

リ「うぬ? ヌヌゥ……」


 リーダーによる、マラ実装の洗い出し尋問(という名目のマヌケ時空)は、
その後三時間にも及んだ。
 しかし、当然ながら、マラ実装が誰か特定は出来ないままだった。

リ「だあぁぁぁ! もうこうなったら最後の手段!
 全員、パンツを脱ぐデシャアァァ!!」

 そう叫びながら、リーダーは自らパンツを脱ぎ、立ち上がった。

A「やはり、最後はそれデス?」

B「つか、最初からそうした方がてっとり早かったデス?」

C「今逆らったら、リーダーにコロコロされそうデス。
 ……仕方ない、言う通りにするデス」

 三匹の成体実装は、渋々立ち上がると、パンツを膝下までずり下げ、実装服の
裾を捲り上げた。

 ——が、どの個体の股間にも、「危険物」は見られない。

リ「こ、コレは、どういう事デス?!」

C「だから〜、仲間を無闇に疑うもんじゃないという事デス、リーダー!」

B「本当に困ったもんデス。
 マラ実装じゃなくて、実装鍋派とかいうニンゲン共の仕業じゃないデス?」

A「そもそも、リーダーはなんでマラ実装が犯人だと考えたんデス?」

リ「そ、それは……」

 いきなり勢いをなくしたリーダーは、妙に弱々しい声で、ボソボソと語り出した。
 彼女は一週間ほど前から、公園の各所で、大量の白濁液が散らばっているのを
発見していたのだ。
 それが噂に聞く、マラ実装が放つ「ニンシン汁」だと判断し、犯人を推理した。

A「なるほど。ここに来ていきなり、唐突な独白をプラスするデス?」

B「それは、リーダーしか見てないんデス?
 ジョーキョーショ−コっていうヤツデス?
 いまいち信憑性に欠ける話デス」

C「ワタシ達からすれば、リーダーも疑惑の対象の一人デス?」

り「ななな、何を言ってるデス?!
 ワタシもパンツを脱いで、マラがないことを証明したデス!!」

A「でも、その仲間が犯されながら食われてるのを、直接見た訳じゃ
 ないデス?」

リ「そ、そうデス
 ——はっ! 待てよ、今思い出したことがあるデス」

B「今度は何デス?!」

リ「マラ実装の中でも性欲を制御出来る個体は、普段はマラを縮めて
 体内に隠せるらしいデス!
 ということは! まだお前らの疑惑は晴れていないという事デス!!」

C「そ、それなら、リーダーも同じってことデス?!」

リ「え……っと、その……それは……
 ——え〜い、細かいことはどうでもいいデス!!
 こうなったら、お前達を皆殺しにしてでも、コミュニティを守って
 みせるデスゥ!!」

ABC「「「 それじゃ犯人と変わらんじゃないかデスーッ!! 」」」


 その翌朝より、公園のコミュニティは壊滅の道を一気に辿ることとなる。


 後日、公園の野良実装のリーダー格と思われる個体のねぐらを発見した保健所の
担当者は、その中で老実装石の死体を発見した。

 それは口腔や総排泄孔を無残に破壊されており、更に身体のあちこちが齧り
摂られ、加えて大量の白濁粘液をぶっかけられていた。



END.




●PART-22「キャンディ」

 俺は、キャンディが大好きだ。

 煮物の隠し味に、キャンディを入れる。
 時には、酒にキャンディを落として楽しむこともある。
 或いは、そのまま口に放り込む。

 俺の飼い実装は、そんな俺の様子を見て飛び跳ねたり、踊ったり、時には大きな
声を上げたりと忙しい。

 それを横目で見ながら、俺は今日も新しいキャンディを頬張る。



END.



●PART-23「下水道の主」

 その野良実装は、公園ではなく、下水道に住んでいた。
 いつから、どういう経緯で、そこに住むようになったかは、覚えていない。
 ただ、物心付いた時からずっとここに居るので、特に不満も感じなかった。

 下水と云っても、これはこれで非常に便利な住処なのだ。
 ニンゲンや他の乱暴な実装石、犬や猫からの干渉や被害を受けることもないし、
水路に不意に転落しないよう注意さえしていれば、安全性も極めて高い。
 また、意外に気温も安定しており、何よりエサに困らないというのが嬉しい。

 ——下水道内で、エサを確保?
 いやいや、これがまたどうして、なんとかなってしまうものなのだ。

 野良実装石は、水路に流れてきたり不法投棄されたゴミを集め、器用に組み
合わせて、独自の道具をこしらえていた。
 いわば物凄く簡素なマジックハンドのようなもので、それを使って水路内に漂う
エサなどを取って暮らしている。
 ニンゲンの残飯や残り物なども流れてくるし、稀に割と新鮮な肉の塊が流れて
くる事もある。
 そんな予想外の収穫があった時は、野良実装の心も躍るものだ。
 無論、それらは汚水で汚れた、普通の実装石なら絶対に食べないようなものだが、
彼女にとってはご馳走以外の何物でもない。

 ただ、長い間そんな不潔な食料を摂取して来たせいなのか、それとも下水の臭い
が染み付いてしまったためか、野良実装の体臭は凄まじく「臭い」。
 たまに地上から降りてくるニンゲン達は、その臭いで彼女の存在を察知し、駆除
しに来る。
 いわばそれが、唯一の危険なのだが、いつも暇で仕方ない野良実装にとっては、
ちょっとしたスリルを味わえるゲーム感覚でしかない。


 ある日、下水道にニンゲンが降りてきた。
 だが今回は、妙に人数が多いようだ。
 野良実装は、いよいよ本格的に駆除活動を始めたのかと警戒し、ニンゲン達に
近づかないよう気をつけることにした。


「そいつ、一体どんだけここに棲みついてるんだ?」

「数年は居るらしい」

「じゃあ、相当デカくなってるんだろうなぁ」

「それなのに、巧妙に駆除を避けるらしいからな。
 相当に賢い奴なんだろうよ」

「油断するなよ、充分注意しながら進めよ?」

 下水道内に反響する、ニンゲン達の声が聞こえる。
 野良実装は、いやいやそんな大したもんじゃござぁせんよ、と心の中で呟き
ながら、ニンゲン達との距離を更に開いた。

 これだけ離れれば、自分の臭いに気付くこともあるまい。
 そう考えていた時、事態が急変した。

 ——ウワアァァァァァァ!!

 通路の彼方から、突然、ニンゲン達の叫び声が響いてきた!
 それはどんどん大きくなって、しかもこちらに迫ってくる!

 しまった! 気付かれたか?!

 このままでは、彼らはまっすぐこちらに来てしまうだろう。
 生憎ここは脇道のない一本通路なので、回避が困難だ。
 野良実装は、横目でチラリと脇を見ると、覚悟を決めた。

 ざぶーん!

 もはや逃げ道は、水路の中しかない!
 ニンゲン達も、まさか水路の汚水内に駆除対象がもぐりこんでいるとまでは、
思うまい!

 些か息苦しかったが、野良実装は必死で息を我慢し、汚水内に身を潜め続ける。
 ニンゲン達の喚き声は、どんどん大きくなって来た。
 何かが連続で破裂するような音、妙な振動音、そして激しい水音が響いて来る
ような気がしたが、必死で身を隠そうとしている野良実装には、関係ない。

 大きな波が押し寄せ、野良実装は何度も溺れそうになったが、なんとか堪える。
 何度目かの息継ぎをしようと水面に顔を出したその時、突然、野良実装の視界が
ブラックアウトした。


 野良実装の奇異な生涯は、その瞬間、終了したのだ——



END.



●PART-24「親友」

 その男は、もう十何年も家から出ていない、所謂“引き篭もり”だった。

 最後に家の外に出たのは何年前だったか、もう覚えていない。
 曜日の感覚も、時刻すらも、昼夜の判別すらも、既に薄ぼけている。
 ずっと閉め切られている分厚い遮光カーテンは、男から「時」という概念を奪い
去って久しい。
 それに加えて、もはや階下の父母の顔すらも、はっきり思い浮かべられない有様
だ。
 他人とのコミュニケーションは、飯を運ぶ母とのドア越しの会話少々のみ。
 それ以外では、一階に下りて父に見つかった際に、一方的に小言や怒声を
ぶつけられる事くらい。
 当然、その時は逃げるように、二階の自室へ戻るしかない。

 既にインターネット回線は止められたため、男は日がな一日自室内で寝転がり、
何百回・何千回と読み返した本を開き、飽きたら寝る。
 それの繰り返しだ。

 否、そんな彼にも、たった一つだけ特別なことがある。
 それは、自分の部屋に住み着いている、一匹の実装石の存在。

 彼女は、いつも男の味方だった。
 同居する親達に罵られた時は、傍に寄って優しく慰めてくれる。
 人恋しさに身を焦がす夜は、そっと添い寝をしてくれる。
 突発的に湧き上がった怒りの思いを、静かに聞いてくれる。
 そして、いつも男の頭を優しく撫でながら、笑顔を向けてくれる。

 男は、その実装石が唯一の友達だった。
 これまで——彼が引き篭もる以前も含め、生涯でこれ以上の友人はない。
 そう確信を抱くほど、彼女の存在は大きかった。


 男は、何故か実装石の言葉が理解出来た。
 実装石は、男を励まし、勇気付け、時には叱咤も加え、様々なアドバイスもして
くれる。
 その日も、珍しく自室を出て階下に下りたため、男は父に苦言や罵詈雑言を激しく
叩きつけられた。
 がっくり肩を落として戻って来た男に向かって、実装石は優しい慰めの言葉を
かけてくれた。

 彼女の言葉に勇気と決意を与えられた男は、考えを改めることにした。
 そうだ、このままじゃいけない!
 奮起した男は、実装石の応援を受け、決断をした。


 実装石のおかげで、男は、居心地の悪い生活からようやく解放された。
 これも、実装石が長い間、男を励まし続け、勇気を与えてくれたからだ。

 男は実装石に、心からの「ありがとう」を告げた。



END.



●PART-25「壁抜け実装」

「追え〜! 逃がすなデスーっ!!」

「今度こそ、絶対に捕まえるデス!」

「くっそぉ、なんて足の速いヤツデス!!」

「くじけるなデス!
 まもなく公園の端、必ず追い詰められる筈デス!!」

 四匹の実装石達は今、全力で走っている。
 それは、一匹の成体実装——否、“犯人(石?)”と呼ぶべきだろうか……
それを追いかけているからだ。


 ここ「ふたば実装公園」は、人間達によって整えられた、実装石保護地区という
非常に希有な場所である。
 そのため、ここに住む実装石達は、大恩ある人間達に迷惑を出来る限りかけない
よう、いくつかのルールを定めていた。
 しかし今追われている者は、その中でも最大の禁忌を犯していたのだ。

 ——同族食い。

 仲間の仔実装をこっそりとさらい、極秘裏に食い殺している者がいる。
 公園内の実装コミュニティで、自治を受け持っていた四匹の実装石達は、とうとう
その現場を抑える事に成功した。

 だが犯人も狡猾で、必ず闇夜に紛れて行動していたため、四匹は犯人の姿形まで
は、はっきり認識出来ていない。
 つまり、ここで逃がしてしまうと、二度と犯人を特定出来なくなる危険が高い
のだ。
 そのため、追跡者の四匹は、必死になって犯人を追いかけていた。

「見るデス! あいつ、よりによってトイレの方に逃げてるデス!!」

「馬鹿なヤツです、出入り口が一つしかないあそこに入ったら、
 もう逃げられないデス!」

「犯人のヤツ、きっと焦ってパニくってるに違いないデス!」

「油断するなデス! 急須ネコを噛むというニンゲンの諺があるデス!」

「それ、どういう意味デス?」

「よくわからんけど、とにかく最後まで気を抜くなという事デスッ!!」


 案の定、犯人はトイレに逃げ込んだ。
 それを見た追っ手の四匹は、絶対的勝利を確信した。


 そこは、公園の端に設置されている古い造りの水洗公衆便所で、一応使用は可能
なものの、もう何年も人が使った様子のない施設だ。
 常に生い茂る木々の陰に隠れている立地のためか、どうにも陰気臭い雰囲気で、
人間の中には「幽霊が出る」という噂を信じている者まで居るという。
 当然、そんなトイレなので、電球もなければ換気扇もない。

 たった一箇所の出入り口から入ると、向かって左側に個室が二つ、右側に三つの
小用便器が設置されている。
 驚くべきことに、ここは男性用・女性用の区分がない。
 そのため利用する人は、たとえ異性が入っていようが構わずに用を足さなければ
ならないという、酷い構造なのだ。

 四匹の実装石が中に飛び込むと、トイレの中は不気味なほど静まり返っていた。
 一見すると、実装石はおろか、他の小動物の影すらない。
 ある程度夜目の利く実装石には、そのくらいは判別出来るのだ。

「これはもう、個室のどっちかに隠れるしかないデス。
 袋のネズミってヤツデス、デププ♪」

 リーダー格の実装石は、そう言って個室の中を覗きこんでいった。
 しかし——


「……いない、デス」

「へ?」

「どっちの個室にも、誰も居ないデス!」

「デェ? そんな筈はないデス! どこにも逃げ道はないデス!」

「窓だって、ワタシ達では絶対届かない高さだし、第一届いても
 あの大きさじゃくぐり抜けられないデス!」

「と、トイレに流されたデス?」

「無理言うなデス! 水洗だからとても入れないデス」

「いやそれ以前に、水が流れる音すらしなかったデス!」

「ってことは……?」

「か、壁を通り抜けでも、したんデス……?」

「デ、デェェ?!」

 実装石は、一番奥にある個室付近に全員集まり、もう一度状況を整理することに
した。

 トイレの個室は、彼女達が入り込んだ時点で、二つともドアが完全に開け放たれ
ていた。
 ドアは引き戸で、蝶番は向かって右手側に付いている構造。
 個室から出る者は、向こう側に誰もいないのを確認してから、ドアの向かって
右手側を押しつつ開ける必要がある。
 開け放たれているので、当然内鍵はかかっていないし、第一そこまで実装石の
手は届かない。

 先の通り、換気目的と思われる個室内の窓は、それぞれ一つずつ。
 ガラスなどのない常に開け放たれた状態で、高さは約1メートル70センチ程度。
 当然、土台に使えるものはどこにもない。
 しかも、窓(というか穴)はせいぜい約30センチ四方程度のサイズしかなく、
成体実装が潜り込んだら壁尻状態になるかもしれない。
 まして、覗き防止のために窓の外にはコンクリートの壁が隣接されているので、
抜けたとしてもそれ以上外に出ることが出来ない。

 一番奥の個室より更に奥には一切何もなく、ただ剥き出しコンクリートの壁が
あるだけ。
 そしてまた、そこにも窓はない。
 小用便器を足がかりにして上に逃げようにも、他に足場はなく、行き場もなければ
捕まる物もないので、天井にぶら下がってやり過ごす事も不可能だ(実装石にそれ
が可能かはともかく)。
 当然ながら、個室を区分しているパーティションの上は、真っ先に確認されて
おり、異常はない。

 ——つまり、トイレ内のどこにも、成体実装一匹が身を隠せる場所がない。

 途方に暮れた追っ手達は、きょろきょろと周囲を見回し、溜息を漏らすしか
なかった。

「ほ、ほ、本当に、何処にもいないデス……」

「壁に穴が空いていて、そこから……は、ないデス……デス」

「そもそも、あいつがここに入ってからワタシ達が飛び込むまで、
 そんなに間がなかった筈デス」

「という事は、どこかにさっと隠れる程度のことしか出来ない筈デス?」

「その筈なんデス……でも」

「……本当に、壁を通り抜けた……んデス?」

「「「「 デ、デェェェェ?! 」」」」

「追跡は……失敗デス。
 悔しいけど、一旦住処に戻るデス……」

 がっくりと肩を落としつつ個室を出たリーダーは、困惑の表情を浮かべて佇む
四匹に、無念そうな顔を向けた。



END.



※次回は「16シリーズ」ではありません

■感想(またはスクの続き)を投稿する
名前:
コメント:
画像ファイル:
削除キー:スクの続きを追加
スパムチェック:スパム防止のため1819を入力してください
1 Re: Name:匿名石 2017/04/22-15:08:45 No:00004655[申告]
「この中に……!」
犯人はマラ実装だけど、この中にはいなかった…という意味?

「キャンディ」
飼ってる実装石がキャンディを欲しがってもあげない…それだけ?

「下水道の主」
下水道には主人公の野良実装の他に実装さんも住んでいた?

「親友」
部屋の中にいる実装石はひきこもりの想像上の存在?

「壁抜け実装」
これだけは意味がわかった。
犯人の実装石が追手に紛れ込んで無事に脱出したってことだね。

説明し過ぎてダサくならないように
でもちゃんと意味がわかるように
微妙なさじ加減なんだけど
もうちょっとヒントが欲しかった。
2 Re: Name:匿名石 2017/04/22-15:49:32 No:00004657[申告]
「キャンディ」って、この飼い実装もしくは
生んだ仔の偽石なんじゃ?
3 Re: Name:匿名石 2017/04/22-18:20:08 No:00004658[申告]
21は浮浪者が犯人かな?

22は偽石っぽいよね。

23はたぶんワニじゃない?新鮮な肉っていうのもワニの捕食の残りカスかと。

24は分からない。たぶん実装石のいない現実世界で、妄想に囚われて親を殺してしまったから静かになったとか、その辺かな?

25は犯人は猫だった?
4 Re: Name:匿名石 2017/04/22-19:42:55 No:00004661[申告]
この中にはリーダーはマラは犯した後に喰い殺すといっているのにAは「犯されながら食われたのを見たわけでもない」と言っている。つまり犯石は…
5 Re: Name:匿名石 2017/04/22-22:26:28 No:00004662[申告]
「壁抜け実装」は最初犯人を追っていたのは四匹
でも最後の描写ではリーダーを含めて五匹
犯人が何食わぬ顔で紛れ込んでるっことでしょ
6 Re: Name:匿名石 2017/04/23-12:20:42 No:00004663[申告]
なんか何時にも増して難解と言うかなんと言うか

最後の奴以外は全く自信がない
7 Re: Name:匿名石 2017/04/23-12:45:13 No:00004665[申告]
21はリーダー以外の全員がマラ実装かと思った
8 Re: Name:匿名石 2017/04/23-13:16:07 No:00004666[申告]
>>7
たぶんそれで正解
AだけじゃなくBもCも当事者じゃないと言えないはずの発言をしているように思える
9 Re: Name:匿名石 2017/04/23-14:59:01 No:00004667[申告]
こうやってみんなで推理するのもスクの新しい楽しみ方だね
10 Re: Name:匿名石 2017/04/24-15:56:03 No:00004669[申告]
>ここ「ふたば実装公園」は、人間達によって整えられた、実装石保護地区という
非常に希有な場所である

マテ、実装石に生活の場を与えるというのはわかるが何故仮設住宅とかじゃなくわざわざ公園にしてホームレス的生活をさせるのだ。
11 Re: Name:匿名石 2017/04/24-18:07:24 No:00004670[申告]
>>10
奈良公園の鹿みたいな扱いなんじゃないの?
つうかそこ重要なのかよ!
戻る