タイトル:【馬】 実装石との会話は全てリンガルによって行われているという設定
ファイル:実装石のセリフは全てリンガルを通している.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:741 レス数:7
初投稿日時:2017/04/14-09:40:22修正日時:2017/04/14-09:40:22
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【実装石との会話は全てリンガルを通して行っていると考えてください】

「デ〜、デッス、デッス」

今ゴミ捨て場に向かい全力疾走している彼女は四人の子を持つどこにでもいる成体実装。
しいて違う所を上げるとすれば子供に実蒼石が混じっている事ぐらいカナー。
名前はハナクソ。野良実装である彼女には名前はないんだけど、読者には呼び名があった方が便利じゃん?
動物ドキュメンタリーとかでも野生生物に名前がついてるあのノリで行こうという事です。

そんな訳でハナクソはデッスデッスと掛け声をあげながらゴミ捨て場にたどり着いた。
このデッスデッスという掛け声だが、実装石にとっては自殺行為以外の何物でもない。
走る時にこの様な声をあげるのだが、この声が虐待派やカラスなどの天敵を呼び寄せてしまうのだ。
実装石は走ったところで赤ん坊のハイハイより遅いのだ。ならば早歩きに留め声を出さないのが正しいサバイバル術なのである。

・・・と言うとでも思ったかあ(ブロリー)?
そもそもの話、ゴミ捨て場までゴハンを取りに行く事自体が自殺行為なのだ。
公園の美観を損ねぬ様に公園とゴミ捨て場は普通は隣接していない。
仮にものすごく都合よく、公園を出て角を一つ曲がった先がゴミ捨て場だったとしよう。
ダンボールハウスからゴミ捨て場までを300メートルとして往復で600メートル。
アメリカの論文によると赤ん坊のハイハイは時速50mから400m。ハイハイより遅い実装ダッシュは時速40mとしよう。

600m÷40m=15時間、ゴミ捨て場に行って戻って来るだけで一日が終わってしまうのだ!帰ったら寝るだけ!
毎日15時間の肉体労働を続けていたら人間ですら体を壊していしまう。実装石ならなおさらだ。
というか、実装石は糞を食べて生きていく事が出来て食べた量以上の糞を出す。
だから食べ物を取りに行くという行為自体がムダなのだ。
だが多くの野良実装は食べ物を探しに公園の外へと行く。ゴミを食べないと餓死してしまうと思い込んでいる。
そして実際毎年大量の野良実装が餓死していた。愚かとしか言いようがない。

そんな愚かな実装石の一人であるハナクソ。
自殺行為を継続中だが、取りあえず今日も生き抜く事が出来る。そのはずだった。

「デ?」

食べ物が入っているゴミ袋を破ると(注)、残飯や包装の他にウラスチック製の機械が出て来た。
こういうのは金属ゴミの日に捨てるんだ、よい子はマネすんなよ。

『(注)実装石を溶かして作った、実装樹脂製の安物ゴミ袋だから破る事ができたのだ。
実装石がダメージを与えられる物質は自分と同じ実装石でできた物質ぐらい。だから実装石が窓ガラスを割っていたり
ドアをポフポフではなくガンガンと勢いよくノックしてたりした時は、そのガラスやドアは実装樹脂が使われている可能性が高い』


「デス?デス?」

機械を手に取り何となしにいじってみるハナクソ。すると偶然電源が入り、機械中央の液晶部分に文字が表示された。

『コレはいったいナニデス?デデッ!ワタシのコトバがニンゲンサンのコトバになってるデスゥ!!』

懸命な読者ならもう気付いただろう。そう、ハナクソが拾ったプラスチック製の金属ゴミの正体は実装リンガルと呼ばれるものだ。
このスクや他の多くのスクに「実装石との会話は全てリンガルを通して行っていると考えて下さい」と書いてある様に、
実装石が会話をしている時は全てリンガルを通していると定義されている。
、逆に言えばリンガルが無い状況だと実装石は会話すらできないアホなのだ。

『やったデス!ついにリンガルをてにいれたデス!これでムスメたちとおしゃべりできるデスー!』

ハナクソは生まれて初めて手にしたリンガルに大はしゃぎ。
野良実装であるハナクソがリンガルなんて持ってるはずもなく、その為今迄彼女は娘たちと会話ができないでいた。
ゴハンを与える度に笑いながらテチテチレチレチポクポクマラマラ鳴くだけの娘たち。
彼女らが何を言っているか遂に知る事ができる!それだけでなく自分が何を言っているかを教える事もできる!

『ムスメタチよ、まってるデス!いまママがリンガルをもってかえるデス!いっぱいオハナシするデス!デプププ』

出たデプププ!!ハナクソは娘とのコミュニケーションが可能になった事の喜びで幸せ回路が発動し糞蟲化していた。
糞蟲化したハナクソは欲望一直線に自宅の段ボールハウスに帰宅。ゴミ捨て場から五分足らずの好タイムだった。

『オマエラ!セカイイチステキナなママがイマカエッテキテヤッタデスヨ!ゼ−インセイレツ』
『ママテチ!』
『レチ?なにかワタチのコトバっぽいのがママのもってるのにでてるレチ』
『多分リンガルポク。あれがあれば僕達はお話しできるという事ポク』
『ワタシのキョコンでヒーヒーいわせてやるマラァ!』

リンガルにより会話が成立している事に疑問を抱いたり感激したり気付いてなかったり様々な反応をする四姉妹。
その様子を見て嬉しそうな顔をするハナクソ。家族の団らんはもう目の前だ。

『デプププ。よきかなよきかな。さあムスメタチよリンガルにむかってジコショウカイデス!
キョウがワタシタチカゾクのあらたなイッポデス!』
『ハイテチ!ワタシはチョウジョなのテチ!どこにでもいるテンケイテキなコジッソウテチ』
『よいジコショウカイだったデスゥ』

ハナクソは長女の頭をなでてやる。長女が糞蟲でなくて良かったと心から思うハナクソだった。
(自分が糞蟲化した事には気づいていない)

『ワタシはジジョレチ。オヤユビとしてうまれてしまったけどカゾクのタメがんばるレチィ!』
『デキソコナイはイランデスィ』
『レペッ』

ハナクソは次女の頭に手を置きそのまま握り潰した。
リンガルを使って初めて知った悲しい事実。次女は発達不良の親指実装だったのだ。
今夜のメニューに次女だったものが追加される事が確定した。やったね!
「いや、いくら会話できなくても親指かどうかはサイズでわかるんじゃね?」と思ったあなたは甘い。
アルフォートでも食べながら落ち着いて話を聞いてほしい。

成体60センチ弱、中実装40〜60センチ、仔実装10〜40センチ、親指と蛆ちゃんは数センチ、
これが大体の目安とされるが結構例外も存在する。
人間の胸ポケットに入る成体実装や箸でつまんで一口で食べれる仔実装が存在するので単純にサイズだけでは
その実装がどの状態かを確定する事は出来ない。現にハナクソの長女は箸でつまんで食べれるタイプの仔実装で大きさは約3センチ。
次女は親指にしては大きく5センチはあった。ハナクソが今日まで次女が親指だと気づけなかったのは仕方ない話なのだ。

『キヲとりなおしてジコショウカイをつづけるデス!サンチョ!』
『はい、三女でポク。ポクは激レアな実装石から生まれた実蒼石で今は仔実蒼だポク。差別せずに育ててくれたママに感謝し』
『ヤカンボンバー!』
『ポペッ』

ハナクソ愛用のヤカンが三女の頭を粉砕した。今夜はごちそうだ!
実装石がヤカンで武装しているというのは今ではほぼ死に設定だが、
実装石が稀に実蒼石を生むという設定もまた死に設定。
よって実蒼を生む事が出来たハナクソがヤカンを装備している事はなんらおかしくない。

『オロローン、ワタシのコのなかにアオがマジッテイタなんてマツダイまでのハジデスー』

ハナクソは今日まで三女の事を実蒼だとは気づかず他の娘と同じ様に育てていた。
見た目は他の仔と違ったが実装石が実蒼石を生むというのは今では都市伝説。
学説でも実装石と実蒼石は別種(だから実装石と他実装を生物学的に分けて扱うのは正しい)というものが主流となっている。
だから三女も見た目が変でも間違いなく仲間だ。言葉がわからなくても自分の仔なのだ。ハナクソの母性は海よりも深かった。
まあ、糞蟲化した今は蒼を見たら殺すべしという反射的な行動でこの有様なんですがね!!

『サンチョ、オマエがそんなヤツだったなんておもわなかったデス。ヨンジョ・・ジコショウカイデス』
『マーラッラッラ!ワタシはキノウのアサにコウエンにキタのマラ!オマエのムスメのフリしてタダメシがウマイマラ!』
『クタバレヤー!』
『もときだいすけッ』

ハナクソの手からビームが発射され四女の身体を真っ二つにして焼き払った。
実装石は稀に超能力を持っている。ヤカンを装備している様な古典的実装石であるハナクソは超能力を持っていても不思議ではない。

実装石は数を3までしか数えられない。昨日この公園にたどり着いたマラッ実装はハナクソが三人の娘を養っているを見て、
自分がそこに混ざっても気づかないだろうと判断し、娘達に混ざって偽りの四女となっていたのだ。
偽四女の企みは昨日から今日の朝にかけては上手く行っていた。ヤカンを持ち超能力を使うハナクソといえど知能は並みの実装石。
娘の数が3から4になった事を認識できず偽四女にもゴハンを分け与えていた。
しかし、計算外の事が二つ起きた。リンガルの存在と次女と三女が不慮の事故で亡くなった事である。

自分の策が上手く行っている事に慢心した偽四女はリンガルの存在にも気づかず自分がハナクソの娘ではないと大声で主張してしまう。
そして、次女と三女の死亡により娘の合計数が合わない事に気付く事が出来たハナクソは怒りのビームを偽四女にブッパしたのだ。

『ジジョ、サンチョ、カタキはとったデスゥ・・・』

ハナクソの中に虚しさがこみ上げる。諸悪の根源である偽四女は討ち倒した。だが、失われた家族は帰って来ない。

『ママ、ママ、まだワタシがいるテチ』

沈み込むハナクソを慰める存在がいた。無事だった長女(全長おまえらのチンポぐらい〉だ。
そうだ、自分にはまだ長女がいる。小柄だけどしっかりもので唯一自分を裏切らなかった長女。
これからは真の親仔二人でやっていこう。そう決意しハナクソは長女に返事をする。

『バッテリーが不足しています。充電してください』

首をかしげるハナクソ。それは突然にして当然の悲劇だった。ゴミ捨て場にあったリンガルがそんなに長く電池が持つ訳がない。
寧ろ、今迄正常に動いていたのが奇跡なのかもしれない。

『充電してください』
『充電してください』

突然相手が言っている事がおかしくなりオロオロとする親仔。
一体何事かと隣りの奴に尋ねても。「充電してください」の一点ばり。

『充電してください』
『充電してください』

どうすればいいのか分からず涙目で走り回るハナクソと長女。すると一人の女性が声を掛けて来た。

「どうしたザマスか貴方たち」

語尾がザマスで、すげー金持ってそうな老婦人だった。

『充電してください』
『充電してください』
「ふんふん、なるほどザマス」

老婦人は懐からスタンガンを二本取り出すとハナクソと長女の頭にぶっ刺し最大出力にセットし電源を入れた。

『充電してくだガガガガガガ』
『ザーーーーーーーープツン』

黒焦げになったハナクソと長女の頭から煙が上る。間違いなく即死だった。

「これで良しと。礼はいらないザマスよ。アタシは愛誤派、実装ちゃんの望む事を全部叶えつつ不幸になるのを見るのを楽しむ
究極のシュレディンガー派ザマスから。まあ、今回は直接手を下しちゃったけど、実装ちゃんが自ら頼んできた場合は愛誤派的にはギリオッケーザマス。
カブト煮してと言われたらカブト煮してもいいザマス。さーて、次は愛誤派の政権を作って実装ちゃんを限界までアゲた後に
政権を手放して下々の虐待派に後処理させるザマス。一体どうなるか楽しみザマス。オホホホホのホ〜」


老婦人は去り、全滅したハナクソ一家がその場に残された。そして他の野良実装がこれを逃すはずがない。
公園のあちこちから出現した野良実装が死体を持ち去りハナクソ一家は無事に自然へと還ったのでした。

めでたしめでたし。



(あとがき)
はじめました!初投稿です!実装石スクはどう書いたらいいのか分からないので自分の好きな作品いくつかから
設定をお借りしました!この作品があるのも先輩方やまとめを作った皆様そして感想を書いている皆様や設定を議論している人達の皆様のおかげです!
今日は休日なので9時前におきて納豆ご飯とみそ汁を食べました!

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1 Re: Name:匿名石 2017/04/14-11:40:28 No:00004637[申告]
ウェルカム!
素敵な作品をありがとうございます。
いいオマージュだと思います。
2 Re: Name:匿名石 2017/04/14-19:13:42 No:00004638[申告]
最期が悲惨すぎて笑った
3 Re: Name:匿名石 2017/04/14-20:02:11 No:00004640[申告]
実装石同志でも言葉が通じていないとは!
これは新しい設定じゃないか!?
面白い!
4 Re: Name:匿名石 2017/04/15-03:03:24 No:00004641[申告]
蒼語やマラ語、ぎりぎりで親指語がわからんのはまだしもかつては自分も喋っていた仔実装言葉もわからんって
実装石の言語機能は出鱈目低性能だな
5 Re: Name:匿名石 2017/04/15-03:53:53 No:00004642[申告]
GJ!!
懐かしくも、面白くて吹いた
6 Re: Name:匿名石 2017/04/15-13:37:20 No:00004643[申告]
この設定だと何者かによって創造されたっぽい感じができて妄想が膨らむな。
7 Re: Name:匿名石 2017/04/16-15:07:04 No:00004649[申告]
なんか見たような設定が次々と出てきてもう笑うしかなかったw
お主、仮に実装スクが初めてと言うのが事実だとして、なんか別なところで物書きやってたんじゃ?w
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