タイトル:【虐】 外来種
ファイル:外来種.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:4221 レス数:0
初投稿日時:2008/11/16-20:03:20修正日時:2008/11/16-20:03:20
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今この我が国にはいったいどれ程の種類の実装石がいるのか?
と問いかけられた時、あなたはどのようなことを答えるのだろうか


実装石の見た目はどれも似たようなものばかりだし、一種類だけだろう

性格や言動から二種類に別けられるはずだ

普通の実装石と獣装石と実装さんの三種類じゃないの?

他実装も含めれば八種類だ


殆んどの人は上に挙げたようなことを言うだろう
しかし、実際には八種類どころか両手両足の指を全て使ったとしても到底足りはしないほどの種類が実装石という生物には内包されている

例えば、暖かい地域に生息する者は他の地域の者よりも汗腺が多く、
寒い地域に住む者は皮下脂肪を多く蓄える身体をしている

このような差違は一目見ただけでは殆んどのわかりはしない
しかし、ほんの少しの違いによって野生の世界では生死が分かれるのだ

このように国内においてだけでも数えきれないほどの種類がいるのだから、地球規模で考えたならはるかに多くの種類が存在している
外敵の多いサバンナや密林に生息している実装石の中には我が国に生息している実装石よりも多産だったり生命力が強かったりする者も少なくない

もしこの様な種が我が国に侵入してきたらどうなるのだろうか?
自分よりもはるかに巨大で力の強い者を相手にして時には逃げ延び、
時にはやり込める能力を持った者がほとんど脅威と呼べる者がいない世界に放り込まれたら…

そんなことは考えるまでもない
来訪者は新たな土地に定着し、その地を制圧するだけだ


さて、前置きが長くなってしまったが此処からが話の本筋だ
上ではさも仮定の話の様に書いてはいるが、もうすでに来訪者は我が国の各地に潜んでいる
それもほとんどの先住者がまったく気付かないうちにだ

そして、ようやく気付く頃には全てが手遅れになっているだろう
それほどまでに奴らの能力はずば抜けている



事の始まりはとても些細なことだった
旧世紀の終わり頃、実装石をいたぶり弄ぶ者の中に新たな刺激を求める者が出始めた

その者たちの言い分によれば
「そこら辺に溢れている実装石はどれも似たような反応しか示さず、いたぶっても楽しくない」
「少しばかり力加減を間違っただけで潰れるようなヤワな実装を相手にしても長く楽しむことが出来ない
もっと丈夫で長持ちする実装が欲しい」
とのことだ

最初のうちは現状で満足することができないワガママな奴が増えただけだと周囲の人間は思っていた
しかし、そのような考え方を持つ者が増えていくにつれ世間が彼らに向ける意識も変わり始めた

しばらくすると
『もしかしたらコイツらの要望を満たせれば大金が稼げるのではないのだろうか?』
と考える者も現れだし、様々な試行錯誤が繰り返された


普通の実装に飽きたのなら他実装を標的にさせれば良いのでは?
実装を長持ちさせるのなら偽石を少しだけ強化してやれば事足りるのではないか?


だが、これ等の目論見の多くは完遂されることなく頓挫していった
他実装を標的にすれば良いと考えていた者は多額の必要経費と他実装愛好家からの反対運動に負けた
偽石を強化した実装ならば長持ちするのではと考えた者は一匹ずつ偽石を取り出して固定処理を行う手間とそのさじ加減に負けた

数えきれないほどの失敗が繰り返され、一儲けしてやろうと目論んでいた者の大半は壁にぶち当たり志し半ばにして手を引いた
しかし、中には執念深く検証と考察を繰り返す者もいた

他者の失敗からその原因を探し、新たな方法を模索する
言葉にすれば簡単なようだがいつになれば終わるのか、その考えのさきに自分が望む答えがあるのかもわからない研究を続けることは並大抵の苦労ではない
やはり研究を続けていた者の中からも一人、また一人と諦め脱落する者が出始めた


殆んどの者が挫折し計画を凍結させた頃、ある実装用品専門店からこんなコマーシャルが発表された

『ありきたりな実装石では物足りなくなったお客様に朗報です
 我が社は諸外国に棲息している実装石を調査・研究してまいりました
 そしてこの度、長年にわたる研究の成果を発表するに至りました
 在来の実装には無い能力を持つ外国産の実装と我が国の風土に馴染んだ在来の実装を何代にもわたって交配させることにより
 これまでの実装とは比べ物にならないような生命力や性質を持つ実装を量産することに成功いたしました

 有史以来、誰も経験したことの無いような快楽を貴方のもとにお届けいたします

 実装石専門店 中倉屋』

最初のうちは眉唾物ではないかといぶかしんでいた虐待派も一度中倉屋の開発した新実装に接してからは考えを改めざるを得なかった
その実装はまさに彼らが待望し渇望していた実装だったのだから

在来の実装よりも一回りほど大きな身体は適度な弾力を持ち、バー(ryを持つ手に心地の良い響きが伝わる
皮膚も在来の者よりやや分厚いらしく刃物で切りつければねっとりとした粘りのある感触が手に残った
元から強い生命力はこれまで以上のもので、普通ならば偽石を強化しなければショック死してしまうような痛みに襲われたとしても新実装はけたたましい絶叫を上げるだけで翌日には元通りに戻っていた


中倉屋は新実装を開発してから急激に市場での勢力を強めていった
株価は開発の前年と比較して4割以上増加し、新実装生産のためのプラントも2つ新築された

初めのうちは隔離された空間に放した実装を客に提供するだけで決して外部に実装を出そうとはしなかったが
客からの自宅で遊びたいという声が多くなるにつれ、ごく少数ずつ一般に販売するようになった

勿論、多産な実装を販売してしまえばユーザーが自家繁殖させて短期間に大量の複製が世に出回ってしまいオリジナルの価値が暴落してしまう
そのような事態を未然に防ぐために市販される全ての新実装は不妊処理として片目を色の着いたガラス玉と取り替えられていた
このような企業努力もあいまって中倉屋は日本における実装石関連の市場を席巻していった


しかし、盛者必衰という言葉があるように中倉屋の思惑の全てが順調にいく期間はあまり長続きしなかった

先月放送されたテレビ番組でも
「あの頃は全てが上手くいっていた
 当時は何をやっても良い方向にのみ物事が動いていた
 いったい何時から歯車が狂いだしたのか今になってもわからない」
と当時の中倉屋社長である中倉実氏は語っていた


中倉氏が語った通り、新実装のブームは突如終わりを迎えることになった
あるユーザーが新実装を自家繁殖させる方法を発見してしまったのだ


それは幾つかの偶然が積み重なって起こった出来事だった
そのユーザーは虐待派としてはかなり初心者であり、実装石の生態にあまり詳しくなかった
その日、彼は仕事上の小さなミスを上司から叱られて機嫌が悪かった
機嫌が悪い時というのは小さなミスが連続して発生してしまうもので、そのことについて彼は先輩社員からもネチネチと嫌味を言われていた

先輩の口から発せられる言葉は彼の胸の中にどろりと澱のように溜まっていった

彼のストレスはもはや限界まで達しようとしていた
しかし、自宅であるアパートでの甘美な時間を夢想することでなんとか先輩社員の顔を殴り付けずに済んでいた


チクショウ
俺に向かって偉そうな口をきくな
たかだか1年入社するのが早かっただけのクセに
…今日はいつもより長めにアイツと遊んでやる


会社からの帰り道、彼は何も入っていないコンビニの袋を持っていつもなら立ち寄ろうともしない公園のなかを横切る
不思議なことに公園に入る前まではコンビニの袋の中は空であったはずだが彼が公園から出てきた時には中で何かが蠢いていた

彼が無言で玄関の鍵を開けると誰もいないはずの部屋から耳障りな声が聞こえてきた
そのヒキガエルを踏み潰したような声は聞くものを不快にさせるには充分すぎた
胸の奥で高まる興奮と苛立ちを抑えながら彼が無言のまま靴を脱ぎゴミや雑誌が散乱した部屋に入るとそこには一匹の実装石が苦しそうにうめいていた

彼はうずくまり苦しそうにしながら自分を見つめている実装石に手に持ったコンビニ袋を投げると
「今日の分のメシだ
 俺が風呂から出てくるまでに食っとけ」
とだけ言い風呂場へ向かった

実装石が手渡された食料だと言われた袋の中には一匹の仔実装が入っていた



これが彼に飼われている実装石の日常だった
食事は基本的に一日に一回のみであり、時には何も食べられない日もあった
食べることの出来るものといえば飼い主である彼に託児された仔実装や蛆ばかりでまともな食事など久しく口にしていない

その日も実装石は無言で食事を摂った
本当ならばこんな悲しいことはしたくない
それでも実装石が与えられた仔実装を食べるのは飼い主の言うことが聞けなかったときのペナルティが恐ろしかったからだった

以前に飼い主の言いつけを守れなかった時は両手両足を叩き潰され、それを喰わされた
もちろん、言いつけを守っていたとしても飼い主の気まぐれで虐待されることも多々あった
ある時は全身を金ヤスリで削られ、またある時は煮えたぎる熱湯に放り込まれた

いくら日常的に仔や蛆を食べるようになったとしても罪悪感は無くならない
彼女は涙を流し夕食を食べながら自分の中の良心を怨んだ
自分が糞蟲ならばこれほど苦しむことは無かったはずなのに


男は風呂からあがるとバスタオルで身体を拭きながら実装石に微笑みかけた
「今日のメシは美味かったか?」
男は屈み込み笑顔を実装石の目の前まで近づけた
「お前と違ってまだ未来のあった仔を喰ってまで生きたいほど自分が可愛いか?
 実装石ってのは本当に腐りきってるんだな」
自分がそうなるように差し向けておきながら男は実装石を嘲笑する

実装石は狭い部屋の中に渦巻く狂ったような男の笑い声にじっと下を向いて耐えた
こんなときは何もしないのが一番懸命であることを彼女は知っていた
男に反抗すれば何様のつもりだと言われて暴力を振るわれる
自分の非を認め謝罪しても思い上がるなと言われて折檻を受ける
一番良いのは男の気が済むまでただ黙って言葉を受け止めることだった

しかし、この日はいつもとは少し違っていた
最初は笑っていた男の顔から急に笑いが消えた
終始無反応な実装石の態度が静まりかけていた男の怒りに再び火をつけたのだった

「おい、なんとか言えよコラ
 馬鹿みたいに黙ってんじゃねぇよ
 てめぇの立場わかってんのか?」

男の口からは止め処なく罵りの言葉が漏れ出すが、実装石は途中からその言葉を聞き取れていなかった
男の放った蹴りが実装石に直撃したせいで彼女の意識は半分途切れかけている
しかし、全身を貫く衝撃と痛みによって実装石は完全に意識を失うことができなかった

男の蹴りによって部屋の端まで吹き飛ばされた実装石の手足は本来なら曲がるはずのない方向へ向いていた
内臓も負傷してしまったらしく彼女の口からは嫌な味のする液体と血が垂れている
自分の意思に関係なく下着の中に糞が溢れていく
ゲフゲフと咳き込みながら思うように動かない手で口元を拭こうとする実装石を再び衝撃と痛みが襲う

右足が踏み潰された
左腕が千切られた
顔面を花瓶で殴られ右の眼科に収まっていた義眼にひびが入った

それでも男の暴力が止まることはない

鋏で口を裂かれた
潰された右足も切り落とされた
ひびが入ったガラス球を周囲の肉や骨ごとえぐりとられた

そして犯された


実装石を犯しながら男はチクショウチクショウとかすれた声で呟き続けていた
「どうして俺がこんな目に逢わなけりゃいけねぇんだよ
 本当なら今頃は一流企業に勤めているはずだった
 数え切れないような栄光を全身に浴びているはずだった
 それなのに、それなのに・・・」

限界を超える痛みに脳がショートしてしまったらしく実装石はもう痛みを感じていなかった
冷め切った思考で腰を振り続ける男を見つめながら実装石は思った

どうせ明日になれば身体は元通りに戻ってしまう
そしてまた同じような目に逢う
終わる事のない苦しみと再生だけの生活など終わってしまえばいいのに

しばらくして男が果てるのと同時に実装石の思考は闇の中へと落ちていった



実装石の意識が戻ったのは夜が明け太陽がかなり高い位置に移動してからだった
実装石はゆっくりと身体を動かした

両手、両足は生えているか?
問題なく動くか?
立ち上がることができるか?
目は見えているか?
音は聞こえるか?

一通りの機能を確認してから実装石はゆっくりとした動作で動き始めた
まずは自分の血や糞尿で汚れた衣服を風呂場で洗い、餌となった実装石が着ていた服に着替える
そして昨日の夜から散らかりっぱなしになっている部屋のそうじを始める
床に飛び散った血や肉片を雑巾で拭い目に付いたゴミを捨てる

彼女の大きさを考えればとてつもない重労働ではあるが、少しでも部屋が汚れていればまた主人に怒られる
幸いなことに彼女には時間だけがたっぷりとあった
男が帰ってくるまではまだ6時間以上もある

服が乾くまでまだまだ時間がかかるしゆっくりとすればいい

そう考えながら壁際に落ちている肉片を掴む彼女の手がふいに止まった
指先になにか堅いものが当たった
嫌な臭いを放ち始めた肉片の中にはひび割れたガラス球が埋もれていた



そして運命の時が訪れる
その日、彼は珍しく機嫌が良かった
数日前に提出していた企画のプロットが通るかもしれないと上司から聞かされたからだ
前日にボロクソに言ったことなど無かったかのように自分を褒める上司の姿と悔しそうな先輩の表情は彼のちっぽけな自尊心を大いに満足させてくれた
いつもなら無言で家のドアを開けるのだが、彼はめずらしく実装石に声をかけた

「おい、帰ったぞ」

数瞬の間をおいてから実装石がゆっくりと姿を現した
いつもとは違う主人の行動に何か裏があるのではと勘繰りながら恐る恐る歩く実装石
普段の彼ならそんな実装石の仕草に苛立ちを覚えて怒鳴りつけていたのだろうが、今日の彼はとても機嫌が良かった

若干の苦笑を浮かべながら会社からの帰りに買ってきたコンビニのおにぎりが入った袋を実装石に与えようとする彼の瞳は
主人を迎えるために玄関へやってきた実装石の姿を見てこれ以上ないほどに見開かれた

なぜなら
実装石の両目が
深緑に
染まっていたから

「おい、その目は・・・どうしたん・・・だ・・・・・・?」
実装石に問いかける声も途切れ途切れに震えている
「デ?
 ワタシのおめめがどうかなさいましたデス?」

何故?
どうしてこの実装の両目が緑色に染まっているんだ?
たしかこの実装石は不妊処置を受けているせいで絶対に繁殖しないはずじゃぁ・・・

いや、違う
俺は昨日こいつの片目を・・・

彼の頭の中ではものすごい勢いで葛藤が巻き起こっていた
起こるはずが無いと思っていた事象が目の前に突っ立っている
何かの間違いではないのかと思う自分ととんでもない発見をしてしまったことに興奮している自分
その両者のせめぎあいの中に放り込まれた彼はいそいでパソコンの元へ駆け寄り、ネットを開いた
興奮でキーボードが上手く叩けないながらもなんとか検索ワードを入力する

『中倉屋』『実装石』『繁殖』

検索結果として無数に表示されているサイトの中上部から順に開いていく
どのサイトも似たようなことしか書かれていなかった
その内容を要約すると以下のようなものだった

『中倉屋が販売している実装石には不妊処置が施されており一般的な方法で繁殖させることは不可能である
 不妊処置は片目を摘出しガラス製の義眼を挿入すること、幼体期に行うホルモン注射により繁殖力を失わせることである
 義眼を取り除き眼球を再生させようとしても眼窩に特別な処理が施されており眼球自体が再生しない
 仮に眼球が再生したとしてもホルモン投与によって繁殖力が失われているために意味が無い
 繁殖法を発見した者には日本虐待派組合からそれなりの額の懸賞金を支給するという噂もある』

その後、彼はいくつかのサイトを閲覧したが、どのサイトを調べても中倉屋製の実装石を繁殖させたという者はいないようだった
無言でパソコンの電源を落としてから彼はおもわず叫んでしまった

「おいおいおい!?
 もしかしてとんでもねぇ物を発見しちまったんじゃねぇのかよ!!」

いきなり大声を出した主人に怯える実装石の腕を引っつかみ、彼はその頬に思いっきりキスをした
「日本虐待派組合って言やぁハイレベルの虐待派しか入会できねぇ日本一歴史のあるコミュニティじゃねぇかよ
 そこが懸賞金を出すなんてめったにねぇぞ
 そんな大発見をしちまうなんて、どんだけラッキーなんだよ
 ひょっとして功績が認められて初心者の俺も入会できんじゃねぇの!?
 もしかして雑誌から取材とか来んのかな?
 そうなりゃ俺の名前が日本中の虐待派に知れわたんじゃね?」

ちなみに、その時の時刻は午後11時30分
隣の部屋から抗議を込めて壁を叩く音が聞こえているが、有頂天になっている彼の耳にはまったく入っていなかった



その翌日、彼は日本虐待派組合に一通のメールを送ってから出社した
メールの内容は
『中倉屋製の実装石を繁殖させることに成功したこと
 懸賞金の話は本当なのか?
 組合員にしてもらえないか?』
だった

彼が会社から帰宅すると、思惑通り組合からの返信が来ていた
返信の内容は
『本当に繁殖させたのなら方法を教えてほしい
 懸賞金は本当にあるが組合員のみを対象としている
 組合員になるためにはそれなりの実績が必要であるが、中倉屋製の実装石を独自に繁殖させたのであれば充分に入会できる』
というものだった

どうやら現時点では組合員ではないので懸賞金はもらえそうに無いが、繁殖方法を教えれば組合員にはなれそうだ
彼は迷うことなくあの日、自分が実装石に行った行動をレポートにまとめ、いくつかの仮説を添えて組合にメールで報告した


そう、それが全ての失敗の始まりだった


彼は、いや俺は繁殖法を発見した功績によって日本虐待派組合のメンバーになることが出来た
告知されていた額よりは少なかったが報奨金という名目で特例として多少の金も貰えた
他の組合員が調べてわかったことだが、どうやら中倉屋の実装石は眼球とその周辺の肉を抉り取れば眼球が再生し、生命の危機に日常的に遭遇させてやればホルモンによる不妊処置の効果が薄れるらしい

俺が報告した繁殖法は口づてで瞬く間に虐待派の間に広まった
なんせ、いつもの肉体的虐待のついでに出来るんだから、やりたいと思ってる奴らなら誰でもやる
そして世間には大量の中倉屋製実装のコピーが出回り始めた

馬鹿みたいに高い金を支払わなくても望みの物が簡単に手に入るようになり、誰も中倉屋に見向きもしなくなった
それどころか簡単に増やせるような代物で暴利を貪ったと叩かれさえしていた
中倉屋の株価は急落し、ネットでは中倉屋の不買運動まで始まってしまった

そして、事態はそれだけでは済まなかった
自家製の実装を掛け合わせることで既存品の能力をはるかに超えるような実装石を作り出す者が出てきてしまったからだ
奴らはその実装を販売し、やはり世間に広まっていった

こうなってしまってはもう歯止めは利かない
爆発的な繁殖力
在来の実装石では考えられないような耐久力
どのような悪環境にも順応する適応性
時には人間をも欺くずるがしこさ
そんなものを兼ね備えた実装石が野に放たれれば一体どうなってしまうのか?

もうとてもじゃないけれど俺の手には負えない
まだ顕在化はしていないけれど、それが何だというのだろうか?
もうすでに俺の知らないところであいつらが在来の実装石に紛れ込んで勢力を強めているかもしれない
そして、いつの日にか人間を越える存在にならないと一体誰が断言できるのだろうか?

俺はもう自分の犯した罪の重さに耐え切れない
何故一時の名誉のためにあんなことをしてしまったんだろう?
誰かからの賞賛の声は俺を蔑む言葉にしか聞こえない
他人の会話が全て俺の悪口に聞こえる
本当に頭がおかしくなりそうだ



願わくば人間を支配する実装石が存在する世界が俺の想像の中だけで留まることを祈る









【完】

どうも、お久しぶりです
書店でヤダモンのコミックを指差しながら「なにこれ?」と言っている女子高校生を見て自分の年齢を痛感した朴Qでございます

興味のない人にとってはどうでもいい話でしょうが、国内外来生物ってのはけっこう問題だったりします
国外外来ほど目立つわけではありませんが、そのぶんだけ気付くのが遅れてしまいがちで、気付いた頃にはもう手遅れだったりします

ペットや植物を手放す時はカワイソウだからという理由だけで野に放っちゃダメですよ
侵入してきた生物に圧迫される在来種だっているんですから

…説教臭いあとがきでゴメンナサイ
こんな自分でよければまたいつかお会いしましょう


朴Q◆CbDkpO39/E

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