タイトル:【虐】 実装石のお食事2
ファイル:実装石のお食事2.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:3783 レス数:0
初投稿日時:2008/11/10-15:59:40修正日時:2008/11/10-15:59:40
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夫の「」が駆けつけたときは、それはもう惨憺たるものだった。

実装石の刺激臭と、トイレのアンモニアの臭い。

緑の物体がうごめてている。
そいつらを蹴飛ばしてみると、そこには妻の姿があった。

妻の虹子は下半身を露出しており、股間にはマラ実装がつきささったまま、デッスーン♪とくぐもった声を出している。

虹子の顔には緑の糞が塗りたくられていた。


マラ実装を引き抜き叩きつけ、虹子を抱えあげる。

「おい! 虹子! しっかりしろ!!」

虹子は目を開き放しで、何も反応がない。

「デス! デスデスデス!」

叩きつけられたマラ実装が抗議してくる。
そんなものを構っている暇はなく、携帯電話を開き、119番に電話しようとしたとき、
虹子がうわ言のように、
「利明…」
とつぶやいた。

そうだ、利明はどうしたんだ。

周囲を見渡すと、ベビーカーがあった。
その付近のタイルの上には、血の水たまりができている。

その上には、白いものが転がっていた。
それは、猫の礫死体のようにも見える。

携帯電話を放り投げ、その物体に近づく。
抱えあげると、まだ少し温かい。
わずかに残った肉片に、見覚えのあるパーツがある。
それが、父親似と言われた目元の一部分だと知ったとき、「」は声にならない声をあげた。


■


「」は病院に搬送される妻に付き添った。

「」は、自分の息子、利明も一緒に病院に連れていってくれ、と頼んだがダメだった。
何度も何度も頼んだがダメだった。

救急隊員は、息子の死を諦めきれない父親の姿に同情をしながらも、
どうしてこのような悲劇が起きたのか、もし自分の家族が同じ目にあったら、と身震いした。

■

待合室に待たされ、冷静になってくると同時に、怒りがふつふつと沸いてきた。

なぜ、自分の家族がこんな目にあわなければいけないのだ。
ささやかな幸せを願って今まで生きてきたのに。

脳内で、緑の塊、実装石の群集がデスデスデスうるさい。
何匹はデププと笑っている。
何匹はデスーンとくぐもった声を出している。
頭を抱え、この悪夢が去ってほしいとひたすらに願った。

そうこうしているうちに、処置室から医者が出てきた。

「口の中に汚物が詰め込まれ、軽い呼吸困難に陥っていました。
 ですが、身体に影響を与えるものではありませんでした。
 明日にでも体調は回復するでしょう」

と医者は言った。
その言葉に、「」は胸をなで下ろす。

「ただ、意識はあるのに、言葉や物に反応を示しません。
 精神的にはかなりダメージを受けています。
 しばらく、療養されることをお勧めします」

医者の言葉に、涙をためながら、先生の言う通りお願いします、よろしくお願いします。と答えた。

妻に会いに行こうと、病室に向かおうとすると、警察が立っていた。

「ご愁傷様です」
鑑識の男は深々と頭を下げた。
「この度は、本当に不幸な事故でした。奥さんのご容体はいかがですか」

「無事だそうです」

「もし、お時間いただけるのでしたら、すみませんが、事情をお聞きしたいので、現場検証に付き添っていただいてもよろしいでしょうか」

こんな時に現場検証か、と「」は思った。

本当は妻がどういう状態なのか知っていたのだろう。
妻に事情聴取をできる状態ではない。
だから、代わりに自分に事情を聞きに来たのだ。

「」は、
「事件が終わったときだけ動いてどうするんだ。
 お前らのせいで、利明は死んだんだ」
心の中で、そう毒づいた。

■

利明が横たわっていた場所には白いチョークで線が書かれた。

「利明さんのご遺体はこちらで預からせていただきます」
鑑識の男は、「」に透明なビニール袋を見せる。
「」は焦点が定まらない目で袋を見つめ、かすかに頷いた。
小さな袋だ。
ふっくらして、抱っこするのも大変な子だったのになぁ、なんて思った。

「あの」
「」は口を開く。
「なんでしょうか?」
「実装石はどうなりましたか?」
「ここにいた実装石は全て、物品証拠として押収するつもりですが」
その言葉に、「」は、少し考えたあと、こう言った。

「もしできれば、その実装石、私にくださいませんか」

■

100Lサイズの麻袋を担いでいく。
計3袋。
その2つをもらいうけ、重たそうに担ぎながら、家と公園を往復する「」。

その姿を鑑識の人が見守る。

「主任、よかったんですか? 物品は全部押収するのが規則でしょ?」

実装石は、被害者の直接の死亡原因。
全て押収するのが基本だ。

「物品は全て押収できなかった。
 今回の実装石は逃げ足が速かったんだ。今回はそう思え」

最愛の息子は食い殺され、
最愛の妻は蹂躙され、

これだけの事件で、憎む相手がいないというのはあまりにも残酷すぎる。

主任はそっと、心の中で利明くんの冥福を祈った。


■

実装石は死んだのですか? という問いに、

「実装石という生き物はしぶといんです。
 これくらいでは、2〜3時間後には元気に走り回っているでしょう。
 しかも、多産なんで。
 ですから、年に何回一斉駆除を行っても、増えてくるんですよ」

と、鑑識の人が申し訳なさそうに言っていたことを思い出す。

実装石が入った袋を、使っていなかったガレージに降ろし、鍵を閉め、自室に戻りパソコンに向かう。

ネットで、実装石の生態について1時間ほど調べる。

内容をそのままプリントアウトせずに、丹念にメモをとる。
重要な事項にはマーカーでラインを引く。
ワードに写真を載せ、図や表を作成し、小見出しと注釈をつけ、プリントアウトする。

さらに、買出しリストとto do リストを作成。

それらのメモを持ち、ペットショップに向かう。
本当はホームセンターにも行きたかったが、閉店の時間を過ぎてしまっていた。
仕事用とは別の、プライベート用のスケジュール帳に、『20時前にホームセンターへ』と書き込みをする。

ペットショップでリンガルを購入した。
他にも買出しリストと照らし合わせ、ひとつひとつのアイテムを店員に熱心に質問しながら、リストに注意事項を書き足していく。
購入したアイテムにはチェックマークをつけ、ショップになかったものは△印、店員の話で不必要だと感じたものには×印をつけた。

自宅のガレージに戻る。
既にモゾモゾ、デスデスうるさい麻袋。

本当に生命力はゴキブリ以上なのだな、と感心する。
寝ているうちに偽石を取り出そうと考えていたのだが、まあ、いいだろう。

「」は麻袋の口を開き、そのまま逆さにする。

「デデッ!」

袋から出る際に、足が何本か折れる実装石。

すぐさま、デスデス抗議を始める。
麻袋2袋、計200リットルの実装石がガレージにひしめき合う。
なかなか圧巻だ。

リンガルを見る。

「何しやがるデスゥ! この罪はステーキと金平糖で償ってもらうデスゥ!」
「イタイデス! 高貴なワタシのあんよがぁ!」

すばらしい。
人には単調に聞こえる言語を、どのように人間の言語に変換しているのか。
研究すれば、自社の製品に応用できるかもしれない。
などと、感心しながら、

「私の言葉がわかるか」

リンガルを通して話しかける。

「デスゥ! そんなことどうでもいいから、飯をよこすデス! お前は気の利かない奴隷デスゥ!」

実装石という生き物は、聞きしに勝る害虫なのだな。
「」は先ほどのメモを見ながら、

「それは失礼いたしました。
 食事はただいま、当社自慢のシェフ達が、腕によりをかけて、ご用意させていただいています。
 選ばれたあなた方の口にあうような豪華で耽美な料理のため、食事の用意に時間を要します。
 寛大なあなた様方のご理解をお願いします」

と台詞を述べる。

「デスッ! 仕方ない奴隷デス。待ってやらんこともないデス!」

リンガルは正常に機能しているようだ。
メモのとおり、『選ばれた』『豪華』などというワードを入れて台詞をいれてみたが、こうも見事に予想した反応が返ってくるものか。
「」は半ば呆れながらも、本来の目的である質問を投げかける。

「昼間の公園で、赤ん坊を見ませんでしたか?」

「デスゥー? 赤ん坊デスゥ?」
一匹の実装石が反応する。
とりわけ、他のより体躯が大きい実装石だ。
「教えてやらんこともないデス。情報を得るならそれなりの対価が必要デスゥ??」
デププと下卑た笑いをする実装石。
それだけでも叩き潰したい衝動に駆られるが、抑える「」。

金平糖を一粒渡す。
「デッスーン♪」
とヨダレをだらだら垂らしながら、より一層下卑た笑いをする実装石。
頬をほんのり染めているあたり、思いっきりぶん殴りたい。

その様子を見ていた実装石たちはデスデス騒ぎ出す。
「金平糖デスゥ!?」
「さっさと寄こすデス!」
さっきの比ではない。
昔住んでいた田舎のカエルの大合唱もこんなにひどくはなかった。
しかも、かん高い不協和音。
これだけで、心がおかしくなりそうだ。

「あわてなくても、私の質問に答えていただければ、いくらでも差し上げますよ」

そんな中でも冷静に台詞を言う「」。
質問を繰り返す。

「昼間、公園に赤ん坊がいましたけど、どちらにいったか知りませんか?」

実装石たちは、
「あれなら、高貴なワタシが食してやったデス」
「あのお肉はなかなかの美味デスン♪」
「気の利かない奴隷にしては、悪くない給仕だったデス」
「強いて言えば、肉の締まりが悪かったデス」

聞いてないことまでデスデス答える実装石。
「」は吐き気を催す。

「質問に答えてやったデス! そいつを早くよこすデス!」

吐き気を抑えながら、金平糖をばらまく。
いっせいに群がる実装石。
同時に殴り合いが始まる。
他のやつのことなどまるで考えない。
金平糖を口に含めながら、頬を赤らめる実装石。
寄こせとばかりに、そいつの頭をかじる実装石。

あさましい。
あさまし過ぎる。
なんなんだ、この生物は。

「全然足らんデス! ボサっとしてないで次を寄こすデスゥ!」

「最後の質問だ。これに答えたら、この袋ごとお前らに渡してもいい」

「何デス! さっさと言うデス!」

怒気を含めた質問にも、あくまで高慢な態度をとり続ける実装石。

「利明は、自慢の子だった。
 なかなか子供を授かれないでいた俺たちの元に来てくれた最愛の子だ。
 どうして殺した?」

「仔なんて非常食に決まってるデス!
 奴隷の子は当然、ワタシが食べる権利があるデス!」
 そんな常識を聞くなんて、お前は知障デス!??」

右手に持った金平糖の袋の中身が、砕ける音がする。
「」は無意識に、金平糖の袋を強く握り締めていた。

同属食いは、実装石の特徴だとは知っていた。

自分の子供を食うのが当たり前だなんて、信じられないことだ。

「質問はもういいデス! 金平糖とステーキのプリンアラモードはどうしたデスゥ! さっさと持って来」

実装石は、言葉の途中で吹っ飛んだ。
壁に顔がたたき潰され、ずり落ちる実装石。

金平糖がたくさん入った袋で横っ面を叩かれたのだ。
さぞ、本望だろう。

突然のことに、固まる実装石たち。

「お前らの言いたいことはよく分かった」

背広を脱ぎ、ワイシャツのボタンととネクタイを外す。

「絶対にゆるさないよ」


(つづく)


__________


感想ありがとうございました!
あんな作品でも、感想をくれると思っていなかったんで、うれしかったです。
がんばって続き書いてみました!
期待にそえなかったごめんなさい。
次はもっとおもしろくなるように頑張ります。

ズキン氏によろしくはすごく面白かったですね!
他にも、サクラの実装石やナナ、いいですかシリーズ、その他いろいろ。
実装石のスクは名作揃いですね!
こんなにおもしろい作品が読めて僕は幸せものです。

僕は全盛期を知らないので、昔の名作が読めないのが残念です。
もしよかったら、ズキン氏によろしくのような、消えてしまった名作をアップしていただければ嬉しいです!
よろしくお願いします!

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