タイトル:【観】 季節の変わり目
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作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:5381 レス数:2
初投稿日時:2008/09/13-06:17:01修正日時:2008/09/13-06:17:01
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季節の変わり目


8月も終わり夏から秋への変わり目だが、まだまだ日中は夏のような暑さが続いている双葉市。
まだ朝の10時すぎだが今日も暑く、山の斜面を切り開いて作られた新興住宅街の公園内を頬のこけた一匹の実装石が
滝のような汗を掻きながら生ゴミの入ったビニール袋を手に一路巣へと向ってよろよろと歩いている。
餌取りの時間というのもあるが公園内にこの実装石以外の姿は見えない。まぁこの公園が住宅街と同じく山の斜面を切
り開いて作られたので二つの入り口は少々険しい階段になっており、それが敬遠されたのか実装石の姿は他の住宅街の
公園に比べて少ないというのもあるが。

餌袋を持った実装石は周囲を警戒して公園隅の生垣の中に人間や同属に見つからないように作ったダンボールハウスの
中へ駆け込んでいく。
実装石が巣に入るや巣の中は人間や同属に見つからない場所に作ったせいか換気が悪く蒸し暑く、じめじめとした熱気
と糞の匂いが実装石を迎える。
実装石は餌の入った袋を置くや痩せこけ、下痢便を垂れ流して苦しそうに横たわっている仔実装に駆け寄り抱き寄せる。
そしてよく見ると口の中には下痢便が押し込まれており、仔実装は息苦しそうに涙目で親を見つめていた。
親実装は急いで下痢便を吐き出させるとペットボトルの水を飲ませてやる。糞を吐き水を飲んで落ち着いた仔実装達の
様子を見て安心した親実装は巣の中を見回して仔実装に話しかける。

「お前何で口の中にウンチなんて入れていたんデス?食欲戻ったデス?でもウンチは食べ物じゃないって賢いお前なら
解っているはずデス。それにお姉ちゃんの姿が見えないデスが、何処行ったんデス?」
「テェェェェ…ワタチお腹空いてないのにオネイチャがウンチを食べて元気になれって無理やり詰め込んできたテチュ……」
「デデッ!?でお姉ちゃんは何処行ったんデス?」
「お家の中がワタチのウンチの匂いで臭いから外に遊びに行くって言ったテチュ……。ママがいない時はお家の中で静かにして
いなさいって言われていたからワタチ止めたんテチュが出て行ったテチュ…。ママ、病気で動けないからってお家の中でウンチ漏ら
しちゃってごめんなさいテチュ」
「お前は悪くないデスー。病気なんだからしょうがないデス。気にしないでいいデス」

親実装はここ数日病気で動けない仔実装を優しく微笑み撫でてやると、床に寝かせて姉仔実装を探してくると言い巣か
ら出て行く。巣から出た親実装は眉間にしわを寄せ先ほど仔実装に見せていた表情とは違っていた。
親実装は生垣内部を見回してみたが仔はおらず、暑くて嫌だが生垣の外に出て仔を探す事にした。外に出て辺りを見回
すと砂場の方から一匹の姉仔実装がこちらに向けて走りよってくるのが伺えた。どうやらこの親実装の仔であるようだ。

「ママーただいまテチー。一杯遊んで来たからお腹がペコペコテチー。早くお家でご飯一杯食べさせてテチ♪」

汗を一杯かいた姉仔実装は親実装の表情にも気づかず、暢気に抱きつくやお腹が空いたと催促する。親実装は直ぐにで
もこの仔を殺してしまいたい衝動に駆られたが、一応言い訳を聞いてやろうと怒りを抑えて話しかける。

「お前何言ってるデス?ママがいない時は家の中で静かに病気の妹ちゃんの面倒を見るよう言ったはずデス」
「テェェー忘れてたテチー。明日からキチンとイモウトチャの面倒も見るから許してテチ。ワタチ一杯遊んでお腹ペコペコテチ♪早くご飯
食べさせてテチ♪」
「お腹が空いたデス?お前はウンチ好きみたいだから、ウンチを食べるといいデス」
「チププププ。ママ何言ってるテチ。ウンチは役立たずのイモウトチャのご飯テ、テボァァァァァァァァ!」

余りにも糞蟲発言を繰り返す姉仔実装に親実装はとうとう我慢が出来ず殴り飛ばす。親実装に突然殴られた姉仔実装は
糞でパンツをこんもりさせながら痛みの余りのた打ち回る。

「役立たずはお前デジャァァァァ!病気で動けない妹ちゃんの口にウンチを押し込んだお前は糞蟲デズゥゥゥゥ!!」
「テヂャァァァァァ!ママ、ワタチは糞蟲じゃないテチ!役立たずの動けないイモウトチャがウンチを食べてお腹一杯になればイモウトチャの分の
ご飯もワタチが食べれると考えたんテチ!ワタチ頭良いテ、テヂィィィィィィ!!!!」

糞蟲発言を繰り返す姉仔実装は親実装に両足を踏み潰され、髪の毛を掴んで持ち上げられる。

「その発想が糞蟲なんデス!」
「デボァッ!」
「何で糞蟲のお前が元気で、ワタシに似て賢くて優しくて可愛い妹ちゃんが病気になるデス!」
「テチャァァァァ…ワタチの方が役立たずのイモウトチャよりママに似て、テジィィィィィィ!!!」

何か姉仔実装が言うたびに親実装は姉仔実装を殴りつける。その後数発殴り続けると姉仔実装も大人しくなったので親
実装は肩で大きく息をしながら姉仔実装を掴みあげたまま生垣の中に入っていく。

「チププププ。痛かったテチが、ようやく許してもらえたテチ。ご飯を食べてママがご飯を取りに行ったら役立たずを殴って
憂さ晴らしするテチ♪」

親実装に許されたと思った姉仔実装は、幸せ回路を発動させ今後の事を思い描いたが、口に出している事も気づかずチプ
ププププと含み笑いをした。親実装はそれに気づいているが無視して、巣の横の生垣内を更に奥に進んで行く。
そして巣から数十歩奥に進んだ先に、この家族がトイレとして使っている穴に到着するや姉仔実装をその穴に落とした。

「チガァアァァ!ママ何をするテチ!早くトイレから出すテチ!ウンチが臭い臭いテチ!!!」

家族がトイレに使ってる穴は結構深く親実装でも自力では脱出出来ない深さだ。そんな穴の底で糞に腰まで浸かった姉
仔実装は穴の上を見上げて早く出すよう吠え立てる。

「クソママ早く高貴なワタチをここから出せテチ!今ならコンペイトウ10粒で許してやるテチ!!」
「デププププ。何寝ぼけてるデス。これからお前のご飯はウンチデス。殺さないのはせめてもの情けデス!!」
「テガァァァァ!お前がウンチ食えテチ!テチィィィィィィ!ウンチするなテチーーーーー!!」

親実装は姉仔実装の言葉に耳も貸さず穴の中に大量の糞をひり出す。下痢気味な糞を突然浴びせかけられた姉仔実装は
口の中にも糞が入り込み声にならない悲鳴を上げたが親実装はその後5分程糞を出し続け、巣に引き上げて行った。


「お待たせデスー。今からお前のご飯を作るから少し待つデスゥ」
「テェェェェ……ママ、オネイチャはどうしたテチュ?」
「お姉ちゃんは居なかったデスー。その内帰ってくると思うデスー。お前が気にする事は無いデス」

親実装は自分に酷い事をした姉の事も心配する妹仔実装の優しさに感動するも、姉の事は気にするなと言って、袋の中
から生ゴミを取り出し平べったい石の上に置くと、丸っこい石でそれをすり潰していく。
しばらくすり潰すとペースト状になったので、それを水が半分程はいったペットボトルの中に入れて蓋をし、振って水
と混ぜあわせる。
十分混ざり合ったのを確認すると横たわる仔実装を抱きかかえて、食べさせはじめる。

「さ、食べるデスー」
「テェェェェェ、ワタチお腹空いて無いからママが食べてテチュ。ママも痩せて大変そうテチュ」
「ママは大丈夫デスー。仔がそんな事気にする事は無いデス。一杯食べて元気になるデスー。もう直ぐ秋って言って暑
さが和らいで食べ物が一杯手に入る時期になるデスー。だから早く元気になるデスー」

何とか仔実装にご飯を食べさせ新聞紙で汚れをふき取って寝かしつけてから、親実装もご飯を食べペットボトルの水を
飲み干しては、数日前から復活した噴水に水を汲みに行き、苦しそうな寝息を立てる仔実装の横に寝転がるも、凄い音
を立てながら仔実装は下痢を漏らした。

「デェェェ。あともう少しで暑い時期を乗り越えられるデスー。頑張るデスー。暑い暑い時期は何とも無かったのに暑
さが和らいだとたん病気になるなんておかしいデスー」

親実装は愚痴を零しながらも新聞紙で仔実装の体と糞で汚れた床をふき取って、自分も便意を催したので急いでトイレ
に走り、糞をひり出す。

「テェェェェ……ママもうウンチしないでテチ……。さっきようやくお腹の所まで食べ終わったんテチ…。もう増やさないでテチ」
「デェェェェェェ。最近水みたいなウンチしか出ないデスゥ……」

トイレ穴の底で姉仔実装が何か言っているも無視して、親実装は自分の不調に気が付き糞が終わるとヨロヨロした足取
りで巣に戻って睡眠をとる事にした。


夕方になり寝苦しくて寝返りをうった親実装だったが、巣の天井を激しく雨が打ち付ける音で目覚め、まだ寝ている仔
実装を起こさないようにヨロヨロしながら、そっと巣の出入り口から外の様子を伺うと外は滝のような激しい雨が降っ
ていた。

「デェェェェ。またこの強い雨デス……。でも木が一杯生えている下に家を作ったから大丈夫デス。それに雨のお陰で
涼しくなったデス……デッ!」

背中に水滴が落ちたのに気が付いた親実装は天井を見上げると強い雨のせいか雨漏りしだした。

「大変デス!雨漏りデス!」

親実装は急いで仔実装を抱きかかえ、まだ雨漏りがしていない巣の奥に実を移す。

「テェェェェ……ママ雨漏り大丈夫テチュ?」
「大丈夫デスー。雨漏りは初めてデスが、これぐらいなら家はへっちゃらデス。外は凄い雨だったから少し雨漏りしてい
るだけデスー。止むまでママが抱きしめてあげるデスー」
「ママがそういうのなら大丈夫テチュ……。ママは暖かいテチュ」

親実装は仔実装を抱き寄せ、雨が止むまで抱きしめながら歌を歌い続けた。
雨はその後2時間程降った後止んだが、雨を大量に吸ったダンボールハウスは崩れはしなかったもののふにゃふにゃにな
ってしまい、床に敷いた葉っぱも新聞紙も水浸しになってしまい使えないようになってしまう。

「テェェェェ……葉っぱに新聞紙がびちゃびちゃテチュ」
「まだ暑いから大丈夫デス。今日はママがお前を抱いて寝るデス。じゃあママは夜ご飯を取ってくるデス。家の中で静か
に待ってるデス」

親実装は巣に仔実装を残して外に出るとゴミ捨て場までの道すがら、先ほどの激しい雨で家が潰れて押し込められ身動き
が取れない同属や、雨で家が流されたのか昨日まであったダンボールハウスは減っていた。

「デププ。賢いワタシが安全な場所に家を作ったから濡れちゃったデスが、まだ大丈夫デス。馬鹿な同属達は安全な場所
に家を作らなかったからこうなったんデス。馬鹿が数を減らしてくれたお陰でご飯取りが楽になったデス」

親実装は雨で被害を受けた同属達を笑い飛ばしながら、競争が緩くなったゴミ捨て場から悠々と好きなだけ食べられるゴ
ミを袋に一杯詰め込んでいく。

「今日も雨が降ったお陰で涼しいデスー。いつもならお日様が沈みそうになってても暑くて汗を一杯かいてご飯を取りに
いくのも一苦労だったデス。それにご飯も一杯取れたから、これで娘も元気になるデスー」

元々夏のせいで同属が減っていたのが激しい雨で更に減ったお陰で今までに無い程餌を確保した親実装はこれで仔実装も
元気になると親実装は自分も体調が優れないが、餌を一杯取れた事に気をよくし巣までの道のりをヨロヨロしながらもた
どり着いた。

今までに無い豪華な食事の後、直ぐに寝た親実装達であったが、夜も更けてくると昨日以上に気温がぐっと下がりはじめ
た。

「デップシッ!何か突然寒くなったデス。昨日よりも寒いデス」
「テップシッ!テェェェェェ……お腹痛いテチュ。ウンチ漏れそうテチュ」

寒さの余りくしゃみをして目が覚めた親実装達。親実装は寒さで震え腹痛と便意を訴える仔実装を抱き寄せ急いでトイレ
に連れて行く。
トイレで仔実装を排便させていた親実装だったが突然自分のお腹もゴロゴロ鳴り便意と腹痛に見舞われる。

「お、お腹が突然痛くなってウンチがしたくなってきたデス」
「テェェェェ……ウンチが止まらないテチュ」
「ママもウンチ止まらないデスーーーーー!!!」

勢いよく排出される糞だが、一向に弱まる気配はみせず排出され続ける。トイレ穴の底から姉仔実装の悲鳴が聞こえたが
直ぐに聞こえなくなった。
いつもの倍以上に糞をし続けた親実装達は、十数分後ようやく糞も出尽くしたのかヨロヨロしながらまだ痛むお腹を抱え
て巣に戻って何とか寒くても寝られるよう抱き合って寝に入ったが、直ぐにまた腹痛で便意を催したのか、その後数回巣
とトイレの間を行ったり戻ったりを繰り返した。

次の日、昨夜の冷え込みが嘘だったかのような暑さで巣の中で寝ていた親実装は目覚めた。巣の出入り口から僅かばかり
光が差し込むのと、巣の中の暑さを考えると既に昼過ぎのようだ。
糞をしすぎたせいで体に力が入らないのかよろよろと起き上がろうと体に力を入れた瞬間、総排泄口から下痢便を勢いよ
く噴出す。

「デェェェェェェ!お、大人のワタシがウンチ漏らしてしまったデス……。ワタシも病気になってしまったデスか?」

糞を漏らした事に驚く親実装だったが仔実装の事が気になるのか何とか顔を動かして隣で寝ている仔実装に視線を移すと
そこにはげっそりと痩せこけてテーテーと苦しそうに呼吸をしながら天井を見上げていた。

「だ……大丈夫デス?」

親実装は仔実装に声をかけるも、仔実装は体を動かす力も声を出す力も残っていないのか口をパクパクさせるだけで、返
事の変わりに昨夜あれ程出したのにまだ残っていたのか大量の糞を漏らした。

「マ、ママが助けて……やるデスゥ……。頑張るデスゥ……」

何とか仔実装の元まで行こうとするも、体に力を入れるたびに糞を漏らす親実装。それでも気にせず仔実装の元まで行こ
うとした時、仔実装から『パキン』と偽石が割れる音が聞こえてきた。

「し、死んじゃダメデスー!もう少しで秋デスー。アマアマも一杯食べさせてやれるデスー。だから返事をするデスー」

糞を漏らしながらも何とか仔実装の元までたどり着き仔実装を抱きしめる親実装だったが、眼にしたのは目を見開き下を
だらんと出した仔実装の姿だった。

「オロローンオロローン。仔が死んじゃったデ……」 パキン

死んだ仔実装の死体を抱きしめながら親実装は悲しみに泣いたが、偽石がストレスに耐え切れずに割れてしまった。


夏から秋への変わり目。大半の野良実装石は夏にその数を減らすが、何とか生き残った実装石も夏の時期に暑さと餌不足
による栄養不足、水分不足により体力が衰えた所に追い討ちをかけるかのような季節の変わり目による昼夜の気温差で体
調を崩す。しかし水源は回復し個体数が減るので餌取りが楽になるので、夏で弱った胃なのに暴飲暴食をし腹を下し体力
回復どころか更に体力を減らして死滅していく。


「テェェェェン。ママ許してテチー。イモウトチャの事を役立たずとか言わないテチ。もうウンチ食べたく無いテチー。だから助けてテチーー」

トイレ穴の姉仔実装は親と妹が死んだ事も知らず穴の底で助けを求め続けていた。

野良実装で夏を乗り越え秋を迎えられる固体は少ない。


END

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第八段スクです。
前作、悪気は無いに感想を下された方に、この場を通してお礼申し上げます。
今作は時期を逸しましたが、皆様も体調にはお気をつけ下さい。
少しでも楽しんでいただければ幸いです。今後ももっと良い文が書けるよう精進いたします。

では、最後まで読んで下さった方、ありがとうございました。

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1 Re: Name:匿名石 2023/07/30-06:35:07 No:00007660[申告]
自然に数を減らしていくの美しい
2 Re: Name:匿名石 2024/02/23-22:31:41 No:00008772[申告]
そんなことで実装石が死ぬかよ
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