「デスゥ〜ン♪ デデスゥ〜ン♪」 「テチー、テチュ〜ン♪テッチュウ♪」 ガ〇ガ〇君ソーダ味をかじりながら歩く僕の後ろを公園中から集まって来た糞蟲が耳障り な合唱をしながらついて来る。はっきりいって気色ィ・・潰したいが今はガマンだ・・・ こいつらの目当ては喰いかけのガ〇ガ〇君・・ではなく僕が肩掛けしている大きなビニール袋、 と言うかその中にぎっちり詰まった赤と白のコンペイ(r。重さにして20kgくらい。マジで 重いんですよコレ。 ------------------------------------------------------------------------------------------ 「ふぅ〜やっとついたよ。」公園の中央にある東屋のテーブルの上、実装石達がどんなに 頑張っても届かない所に袋を置いてから汗を拭い、ガ〇ガ〇君を食いきる。小さくなったガ〇ガ〇君 など眼中に無いのか、奴等にとっては文字通り手の届かない高みに鎮座するコンペイ(r入りの袋と 僕とを交互に見ながら実装石達が狂はんばかりに騒ぎ、媚始める。 「デスー!デスーッ!!(バカニンゲン!高貴なワタシにそれを全部献上させてやるから感謝するデス!!)」 「デス、デェスデス。(家には仔供がたくさんいるデス、だから全部貰ってやるデス)」 「テチュ〜ン♪テッチュウ♪(ニンゲンサン♪可愛いワタチにアマアマをあげるテチ)」 「レッチュ、レッチューン♪(ワタチもウジチャンもコンペイトウだいすきレチ♪)」 「レッフ〜ン♪(ウジチャン、コンペ・・タベルレフ)」 「デスデスゥ、デッスーン♪(ほらイイことさせてやるからとっととよこすデス♪)」 うわぁ・・・汚いを通り越してエグイことになってる総排泄口を見せ付けてる奴までいるよ。 ・・・まずはコイツだな。 「デッスーン、デプププププ♪(このナイスバディでバカニンゲンなんかイチコロデス♪)」 あまりに汚いもんで一応念の為に持参したゴム手袋をはめてから、おもいっきり勘違いしている糞蟲 を摘み上げもう片方の手で袋からコンペイ(rをつまみ出すと其処かしこからゲロを煮詰めたような 臭いをさせながら実装石達が一斉に涎をたらしデスデス、テチテチ騒ぎ始めた。 「デププ、デスゥッ!?デェスデス!(デププ、コレは全部ワタシの物です。美しさは罪デス。デ? 何で2つしか持ってないんデスか!?少ないデスこのクソ奴隷!)」 幸せ回路全開で勝手の妄想の世界にいた糞蟲は僕の手に2粒しかコンペイ(rが握られていないのを 見て不細工な顔を更に醜く歪め威嚇を始めた。だがお前にくれてやるのは赤と白のコンペイ(r1粒ずつ。 ちなみにみんな平等だ。 「デスゥッ!!?デギャァァァァ!!」 別に喰わせてやってもよかったのだが、なんとなく悪戯心がわいて鼻の穴に1粒ずつ突っ込んでやった。 もちろん、さっき食べたガ〇ガ〇君の棒で奥まで押し込むことも忘れない。 「デデズァァァ、デデデデデッギャギャギャアァズァァァァッズ!!!!」 鼻孔に漂う甘い香りとそれを食べられないストレスからか糞蟲が狂ったように騒ぎ出す。地面に放り出す と指の無い手でこれまた穴しか空いていない鼻を掻き毟りだした。 「デェェェ!?」「デプププ・・・」 反応はそれぞれだが、実装石にとって目の前の惨劇はあくまでも対岸の火事らしい。だが僕は言ったよね。 みんな平等だって。 「デデズァァァ、デデデデデッギャギャギャアァズァァァァッズ!!!!」「デェェェェン!デェェェェン!」 念の為にこちらを警戒して逃げる準備をしている個体から順番に鼻の穴にコンペイ(rを1粒ずつ押し込ん でやる。その際逃げようとする奴は脚をへし折って動けなくしておく。「デプププ・・・」ここまでやっても 自分には火の粉がかからないと思っている奴がまだいるのが僕としては不思議でならないのだが、そこが実装石 なのだろう。 30分ほどで広場にいた成体実装はみんな鼻孔にコンペイ(rを詰め込まれ半狂乱になっていた。中には 棒を使ってなんとか取り出そうと頑張っている奴もいたが、逆に更に押し込んでしまったらしく目と鼻から 緑赤の液体を流しながら駄々っ子のようにひっくり返ってしまった。 小学生の頃パチンコ玉で同じことをやった馬鹿がいたのを思い出しながら、広場の隅の方で必死に鼻をかむ ような仕草をしてなんとかコンペイ(rを出そうとしている親とその仔蟲達に近づいていくと、少しは知恵 がまわるらしく仔を後ろにかくして「デデデデデデッズスゥゥゥゥ!!!」と弱弱しいながら威嚇をしてくれた。 「あ〜心配すんな。仔供の鼻にこんな物入るわけないだろ。」と棒読み丸出しで言ってやると少し安心した のか威嚇ポーズをといてくれた。すると、待ってましたとばかりに仔蟲達が僕(と言うよりコンペイ(r ) のまわりに集まり、テチテチと媚び始める。 「テチュテチュ♪チププ・・・(クソニンゲンサン♪コンペイトウよこすテチ)」 言葉の使い方からして躾のなっていない仔蟲を手にのせると小汚い口を大きく開けてこちらに向けてきた。 「チューン♪(不細工なママはニンゲンをメロメロにできなかったからコンペイトウ食べられないテチ。ワタチは カワイイからこのクソニンゲンを奴隷にしてお腹一杯コンペイトウ食べるテチ♪さぁ早くワタチのカワイイ おクチにコンペイトウ一杯入れるテチ。その後オマエのお家で飼われてやるテチ♪」 殺意以外の何物も抱かなくさせるような妄想に浸りながらダラダラと涎をたらす仔蟲ちゃん。だが、お前も 勘違いしてないか。僕は鼻の穴には入れないと言っただけですよ。 「テ?・・・テ、テテテテ・・・デチイイイイイイイイイイイイイイーーーー」 いきなり我が身を襲った激痛と共に仔蟲がこちらの世界にお帰りあそばした。何のことは無い、今度は耳の穴 にコンペイ(rを詰めてやっただけである。 「テヂャアアアアアア!!テヂャアアアアアア!!(イタイイタイイタイィィィィーーーーーーーー!!!!)」 例によってガ〇ガ〇君の棒で奥まで押し込むことも忘れていない。耳の隙間から少しオミソが吹き出したが どうせ有っても意味無い物なのだから別にかまわんだろう。 その後、周りにいた姉妹蟲達にも平等にコンペイ(rを配給してやる。もちろん耳の中だ。 「レフゥ〜?」蛆はさすがに押し込むわけにもいかず服の隙間に突っ込んでおく。少し服が破れたが知ったこっちゃ無い。 「レヒ〜レヒ〜(アマアマのイイ臭いするレフ。デモアマアマ無いレフ。お服重くて動けないレフ。お腹チクチク痛いレフ)」 「デデデ!?!?デヂャァァァァァ!!!!!」 最初は激痛にもだえ、走り回る仔蟲にオロオロしながら僕に何とかしろと叫んでいた親蟲だが、段々様子が 変わってきた。最初は仔を目で追っていたが次第にその視線はコンペイ(rに向けられ始め最後の仔にコンペイ(r の配給が終わったのを見届けるとおもむろに近くにいた仔蟲を抱き上げ・・・ 「チャガガガガガァァッ!」 「デッスゥ〜ン♪」 頭から齧りやがった・・・ 「デスゥ〜ン♪ デデスゥ〜ン♪(さすがワタシの仔デス♪実にウマイデス。コンペイトウの味と混ざって絶品デスゥ♪」 まっ、所詮実装石の親子愛なんてこんなもんだな。 それから、広場にいた他の仔蟲にも同様に配給を続け、親蟲達が仔の争奪戦を始めたのを暖かく見守り、更に公園 の中をくまなく調べ、隠れていた賢い家族達にも同様にコンペイ(rを配給し、夕方頃にようやく全てのコンペイ(r を配り終えることができた。ちなみに、最後の方は段々面倒臭くなってきたもんで頭巾を取らずに仔蟲の顔に埋め込んで やった。興味半分に親指の左目に赤いコンペイ(rを捻じ込んだら急に出産が始まったのには最高に笑わせてもらった。 こいつら本当にデタラメなナマモノだね・・・。 「さて、帰るか。」と広場に向かうと、そこには更なる愉快な光景が・・・ 其処かしこで実装石同士がディープキスをしている。否、正確にはお互いの顔を齧りあっているのだ。どうやら仔蟲 を食い尽くした後、各々の鼻の穴にコンペイ(rがあることに気付いたのだろう。互いの持つコンペイ(rを賭けて (場合によっては命まで賭けて)コンペイ(rの争奪戦をやったらしい。頭に偽石があった奴はすでに事切れていたが、 そうでない奴は顔の下半分が無い状態で次の獲物を捜し、ウロウロしている。 「うわぁぁぁ・・・気持チ悪リィ♪」と眺める僕に気付いた何匹かが「ムームームゥーン♪ムムムムムゥー!」「ムッムー!ムムム-!」と 世にもオゾマシイ媚をしてくれたのでお礼にドライブシュートをプレゼントして公園を後にした。 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------- 「そろそろかな?」時計の針は午前0時をさしている。あれから一旦戻って依頼人に連絡をとり、一緒にまた公園に やって来たのである。 依頼人(因みに僕の学生時代からの悪友でもある)はおもむろにサーモグラフィを取り出し、辺りを見廻し始める。 ほどなく「あった。あった!」と嬉しそうな声をあげながら画面上に白く光っていたポイントに向かって駆け出した。 後に続いた僕がそこで見たのは・・・ 「ッデヒ、デヒ、デーーーーー」もはやリンガルでは拾えない苦痛の声をあげながら横たわる実装石。よく見ると体 から湯気があがっており軍手の上からでも熱いのがわかる。 「成功だ!どうだすごいだろう。俺の“実装グラリ”は。」 “実装グラリ”そう僕が昼間実装石にプレゼントしたのはコンペイ(rであってコンペイトウではない。製薬会社に 勤めるこいつが作った新手の駆除薬である。A薬(赤)とB薬(白)から構成され単独では何の効果もないが両方が 実装石の胃液と混じり合うと胃液を沸騰させ実装石にこの世の地獄を見せるスグレモノ。因みにA薬が主剤でこれは 実装石の胃液にも決して溶けることはなく、溶剤であるB薬と胃液の混合液にのみ溶けてその胃液を沸騰させるらしい。 顔の再生具合から見てコイツはかなりたくさんのグラリ(と同属の汚肉)を胃に収めたのだろう。触れた手にボコボコ と沸騰する感触まで伝わってくる。 「なるほど、こうやって動けなくなった実装石をとっ捕まえて駆除する訳ね。」今だ沸騰を続ける実装石を処理袋に 詰め込みながら呟く僕に「それだけなら30点だな。」と昔の担任教師の口上を真似ながら彼が答えた。 「どういうこと?」 「こいつがたまたましぶとい個体だっただけで普通はここまで体温が上がると実装石はパキンするもんだよ。本来は そのパキンした奴を(比較的)清潔に処理するためにこの実装グラリを作ったんだ。」 いまだに頭の上に?マークを出している僕に彼は会社のプレゼンのように饒舌にこの薬の効能を語ってくれた。 曰く「死体(または死に掛け)から高温が発せられるため高価な偽石サーチャーなど使わなくともサーモグラフィで 隠れた個体も手軽に見つけられる」「高温で蒸し上げられた死体は最終的に水分がほとんどぬけてしまうので万が一 見つけることができなくても(比較的)腐敗しにくい」「賢い個体を相手にする際にも事前にA薬だけを撒いておき、 数日後に相手が油断したところにB薬を撒くという時間差攻撃での駆除が可能」「裏ゲロリと裏ドドンパの成分も混ぜて あるのでどれだけ苦しんでも吐くこともパンコンもしない」とざっと挙げただけでもこれだけの利点があるそうな。 「まっ、時間差攻撃は趣味の虐待中にたまたま思いついたんだけど♪」初対面の人間が見たら即通報されそうな笑顔 で彼が続ける。なんでも研究室の実験体にまずA薬を与え次に中の1匹にB薬を与えのたうつサマを他の実験体にじっくり と見せた後に毎日B薬を1粒だけ混ぜたコンペイトウを与え、おびえながらコンペイトウを食べる姿を楽しんでいたらしい。 その結果、支給された実験体をすべて使い切ってしまい、さりとて虐待して殺してしまいましたと会社に報告するわけにも いかず、今回の公園での大規模実験となったわけである。 「そんなことだろうと思ってたけど・・・」苦笑いしながら白目を剥いた実装石の死体を袋に放り込む僕に 「そんな顔するなよ。この町内も実装石被害がすごかったんだから感謝されるぜ。それにお前の仕事にもなったわけだし」 と悪びれる様子も無く、彼が切り返す。 確かにここ数ヶ月実装石被害がひどく、そのおかげで駆除申請もすんなり通った らしいのだが・・・・・・ 「お前、役所相手の申請がどれだけ面倒か知らないからそう言えるんだよ。それに昼間の仕込みも僕にやらせて・・・」 思わずムッときて毒づいてしまった。確かに僕は役所相手に書類を作るのを生業にする自由業者で時間も比較的融通がきき、 また今回の駆除申請は彼からの依頼で申請書を作ったことにして報酬も得ている。しかし、その前段階として彼が会社に出す 社外実験の許可申請まで作らされ、おまけにこの暑いさなかに僕が実害をうけているわけでもない彼の実家の近所の公園で 1日動き回らされたのだから割に合わない。 「悪かった、悪かった。この仕事片付いたらメシでも奢るからさ。」ポケットに残っていた昼間のグラリの配り忘れでも 口に捻じ込んでやろうと近づいたら、殺気を感じたのか慌てて謝りだした。ったく・・友人じゃなかったらその鼻先に訴状 貼り付けてやるんだが・・・ その後もサーモグラフィを頼りに黙々と死体の回収を続け、夜明け前には公園中の実装石の回収は完了した。途中ふと悪魔 が囁き、グツグツと音をたてる実装石の腹に切れ込みを入れ、素早くそれを彼に向けたときは傑作だった。 ほんの数センチ切れ込みを入れただけだったが、胃液が沸騰したことでガスが発生していたらしく、切れ込みが一気に広がり 次の瞬間“パァン!”と爆ぜ文字どうりの“ヤケクソ”を噴出したのだ。 僕としては水鉄砲のように“ヤケクソ”が飛んでいくくらいに考えてのイタズラだったのだが、そのヤケクソのシャワーを 浴びた彼のほうはそうは言ってられなかったようで、糞まみれのまま悲鳴をあげながらこれまた糞まみれの噴水に飛び込んで なんとか火傷だけはせずに済んだようだ。 大笑いする僕に何か言いたげだったが、「悪かった、悪かった。この仕事片付い たらメシでも奢るからさ。」とさっきの科白をそのまま返してやったら何も言わずにトイレに顔と頭を洗いに行った。 ・・・・・・ザマァミロ♪ 「よしっ、これで終わりだな。」 「ああ。あとはシルバー人材の皆さんのお仕事だよ。」 製薬会社のトラックに死体を積み込み、それを見送ってようやく一息ついた。全身から異臭を放つ彼に5メートルほど先から 缶コーヒーを投げてやり、それを啜りながらこの後のことを聞かされた。 あの死体は総て検体として今後の研究に役立てられるらしい。素人目には大成功に見えたのだが、彼に言わせればまだまだ 改良すべき点が多々あるらしい。 ダンボールハウスの処分など公園の掃除はシルバー人材の皆さんにお願いすることにした。費用の見積書(たいした額ではない のだが)を見て市側はなかなかハンコを押そうとはしなかったが、数センチ厚の近隣住民の嘆願書と数センチ厚の実装被害の 証拠写真を積み上げ、更に応対した職員に名刺をせびることでようやくOKをだしてくれた。これだから役所は嫌われるんだよ。 これでしばらくは実装石のいない清潔な公園が返ってくるだろう。もっとも、半年もしないうちにまたどっからともなく涌いて くるのだが・・・ 「そういや、不思議だったんだけど。」帰り道で彼が僕に聞いてきた。 「仔蟲や蛆がいなかったのはなんでだろう?研究所での実験ではアレの死体は残ったはずだし・・・お前全部潰したの?」 「ああ、それはな・・・」事の顛末を話してやったら、どこかが壊れたように腹を抱えて笑いだした。 「ハァハハハァーーーッ、なるほど鼻と耳にグラリをねぇ。どうりでおかしな顔した実装石がたくさんいた訳だ。あれは薬の 副作用でも何でもなかったわけね。」 顔の下半分が異様にえぐれた死体が見つかる度に首を傾げていた彼にようやく真実を説明できて僕もほっとした。僕としては 単なる悪戯心(半分は糞蟲の媚にムカついたのもあるが)でやっただけなのだが、今後の研究に役立つらしい。 「仔蟲を動く爆弾にして駆除するってのもアリなわけだ。いや、待てよ。いっそ仔蟲の中にグラリを仕込むか・・・いや、成体 総てが仔喰いに走ったのはやはり鼻に詰め込まれたグラリの臭いに理性をやられたせいかもな・・・・・・」 糞緑の姿のままでブツブツと自分の世界に入ってしまった彼からなるべく距離をおいて歩く。でないと大声で笑った後突然呟き 出した文字どうり“糞オヤヂ”と同類と思われてしまう。現に、さっき朝練の学生達は大きく迂回していったし、犬を散歩させて いたおじさんは犬を無理やり引っ張って走っていってしまった。 「フっ、でもこういうヤツだから僕の友達なんだよな。」今だ自分の世界から返ってこない彼を見ながら、僕も自分では説明 できない一種の不思議な爽快感のよ(rに包まれたのだった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 駄文でのお目汚し失礼いたしますデス。 初スク故読みにくい所が多々あるとは思いますが読んでいただけましたら幸いに存じますデス。