タイトル:【謎】 戦いの後に幻視し、そして再び戦う
ファイル:【謎】戦いの後に幻視し、そして再び戦う.txt
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初投稿日時:2008/08/14-01:02:15修正日時:2008/08/14-01:02:15
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戦いの後に幻視し、そして再び戦う


「あれが我々のテリトリーを侵害した…正体不明のバトルシップだというのデスか…」
戦闘用の装備を身に纏った実装石の長は部下と共に森の茂みに潜み
そして森林の中心に開けた平地、その3メートルほどの高さを浮遊する厚い紙箱のような立方体を見やりながら
一瞬ではあるが顔をしかめる
「プランDにて先制攻撃を行うデス! あの物体を包囲射撃にて殲滅するデス!」
武装した部下たちは指揮官の掛け声と共に茂みを飛び出し散開する
「テァッ!」「テーッ!」「テァーッ!」「テェェェッ!」
実装石たちは硬化した糞を次々に投げつける
一定距離内であれば実装石が知る限りの生身を軽々と射抜くそれは
だがしかしどれ一つとして空中の立方体を貫くことは出来ない
驚愕の表情を浮かべる実装石たち

長は行動の結果を即座に認識し間髪置くことなく叫ぶ
「敵性体の即時殲滅に失敗!これより退避行動に移行するデス!」

未だに行動に移らぬ立方体を背にすることなく実装石たちは野営地に向け後退を始める
その際にもとくに立方体からの反応はなかったが可能な限りの撹乱行動を行うべきと長は判断した
陽動のため部下たちの逃走方向の逆側に回りこみ
周囲の地形を遮蔽物として活用しながらランダムな機動とともに糞投げを行い
部下の退避時間を稼ぐ

幾許かの時が流れ充分な時間稼ぎができたと判断した長は
自身も逃走を始める
その最中もやはり立方体からの反応はなかった

逃走しながら想像を絶する立方体の頑強さに長は唇を噛む
「デェ…ここまでとは…重装甲が相手だと言うなら…あれを使わざるをえないデス…」

野営地に戻った長は部下たちに決断の結果を命令した
「対重装甲用弾頭の使用を許可するデス! これより敵性体との戦いは第二段階に移行するデス!」
『テェッ!?』
部下達は一様に困惑の表情を浮かべるもすぐさま野営地の物資貯蔵庫に駆け込み
室内から実装石の背丈ほどもある硝子瓶や数々の薬品を運び出す

瓶の栓を開くやいなや周囲に立ち込める悪臭
そして苦痛に耐えるかのような表情を浮かべる実装石たち
だがどんなに苦しくともそれは強大な敵を倒すためには耐えなければならない儀式なのだ…

部下たちが対重装甲用弾頭の作成作業を始める中
実装石の長は来る戦いのための短い休息に入る





彼女の夢は常に謎めきそして甘美な空気に満ちた夢だ
その夢では常に実装石と似て非なる生物たちが現れる
それは美しきものたちだ
彼女たちはどこか実装石と似た様でいてやはり違った行動を取った
実装石の長は眠りが生み出した世界を眺めながらため息を付く
おそらくそれは実装石という種の奥底に眠るなにかが理想とし憧れてやまない光景なのだ
それは美しい世界なのだ




そして彼女は次の戦いにおいて想像だにせぬ現象と直面しながらも
戦いを終え無事生還するが
夢に現れたものたちが自らの遠い子孫である事に気付くことなく
数年の後に寿命を迎えることによって生涯を終えこの地上から去る事になる


【終】

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