-------実装石の人間観察-------

とある公園の一角。
ベンチの傍にダンボール箱が置かれていた。

中には親実装が1匹と仔実装が数匹。

箱は縁が低く、成体なら楽に出入り出来、
仔実装も頭が出せる高さだった。

親仔共に比較的賢い部類であったが
「飼うのが面倒になった」
という理由でここに捨てられた。

『すぐ戻るから』
元飼い主の言葉を信じ、待っていた。

足音が聞こえる。
迎えに来てくれた・・・
そう思って全員がベンチを見る。

男がいたが、飼い主ではなかった。

男はベンチに座ると、暑いのだろう。シャツを脱ぎ
上半身裸になる。

親仔は男をじっと見つめる。

「きっと、信心深いニンゲンさんデス・・・
　その証拠に頭が大仏さんと同じデス」
かつて、飼い主と一緒に見た大仏を思い出し、親は言った。

「きっと、おめめが悪いニンゲンさんテス・・・
　その証拠に黒いメガネを付けてるテス」
かつて、盲導犬と散歩していた人を思い出し、長女は言った。

「きっと、お絵かきが好きなニンゲンさんテチ・・・
　その証拠に体にキレイな絵が描いてあるテチ」
かつて、川辺で絵を描いていた画家を思い出し、次女は言った。

「きっと、体の弱いニンゲンさんテチ・・・
　その証拠にオテテにいっぱいお注射の跡があるテチ」
かつて、病弱で注射を打たれていた事を思い出し、三女は言った。


男について親仔が語らっている時、その男が近寄って来た。


『さっきからやっかぁしいんじゃぁ！！
　いてもぉたるどぉわりゃぁぁ！！』


踏み潰されるダンボール箱と実装石達。

「きっと、外国のニンゲンさんデ・・・」
「その証拠に言葉が解らないテ・・・」

薄れ行く意識の中で親仔は思った・・・


----終わり----



男の言葉の訳
『さっきからうるさいんだよ！！
　×してしまうぞ、お前ら！！』

え〜・・・ツッコミは無しの方向で・・・（笑）