タイトル:【託児】 託児オムニバス3(前編)
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作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:4158 レス数:2
初投稿日時:2008/07/27-02:06:15修正日時:2008/07/27-02:06:15
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※『託児オムニバス1&2』及び『実装公園のトイレで休日ライフ』をご覧になってから読むことをお勧めします。



















この時節にしては涼しい夜風の吹く夏の夜。

二葉市のとあるコンビニのゴミ箱の影に、四組の実装親仔が居た。


「「「「デスゥー」」」」
「「「「テチィー」」」」

彼女らは、姉妹だった。

奇跡的に1つの母親から脱落者を出す事無く巣立ち、冬を越して春に仔を為した姉妹だった。

しかし、近年に無い凶悪な猛暑が彼女達の生活を限界まで追い込んだ。
春に生んだ仔達も、各々一匹ずつしか残らなかった。
多少出来が良いとはいえ所詮は実装石、過酷な現実を前にすれば儚いもの。

最早、このまま野良生活を送っていても駄目だ。
何とか、人間の保護を得て生き延びる算段をしなければならない。
殆どの野良実装石達が辿り着き、ごく僅かな例外を除いて破滅に至る結論。
それを巣立ち以来久方振りに集まった姉妹達は出した。

そう、託児を行う事を決意したのだ。






ピンポーン。


人影が少なくなった店内から、1人の客が国道の方へと向かっていく。
徒歩であるのを確認し、意を決した長女が我が仔を抱えてこっそり後を付けていく。
見送る姉妹との間で会話は無い。別れはもう済ませてある。


ジーパンにTシャツのごく一般的な青年だった。
長女は我が仔に静かにするよう声をかけた後で、距離を詰め狙ったビニール袋に投擲する。

ガサリ。

携帯電話で何かを喋っていた青年は、手持ちの袋に入った侵入者に気付かずそのまま歩き去っていく。
長女は脇目も振り返らずに必死にその後をつけていった。
一世一代の大勝負。全てをこれに賭けたのだから、未練はないのだ。






ピンポーン。


人影が少なくなった店内から、1人の客が国道の方へと向かっていく。
徒歩であるのを確認し、意を決した次女が我が仔を抱えてこっそり後を付けていく。
見送る姉妹との間で会話は無い。別れはもう済ませてある。

短パンに明るい色のTシャツに帽子を被った青年。
耳にはイヤホンを差していて腰のポケットに入れた○podの音楽をシャカシャカ聴いている。
次女は長女と同じく我が仔に静かにするよう声をかけた後で、距離を詰め狙ったビニール袋に投擲する。
袋に入った瞬間、次女の仔実装が悲鳴を僅かに洩らしたが、音楽を聴いているから大丈夫な筈。

ガサリ。

青年は気付いた様子も無く音楽のノリに合わせてそのまま歩き去っていく。
……と思ったら、国道のガードレールに立てかけてあったママチャリに素早く跨って勢い良く漕ぎ始めた。
ご丁寧に尾けようとしていた次女に対し、にんまりとした笑みを浮かべウィンクまでカマして。

「デ、デデェ!?」

異常に気付いた次女が慌てて追い掛け始めるが、自転車の速度に敵う筈もない。
それでも諦めず必死に追い掛ける次女の姿とからかう様に蛇行運転する自転車は、徐々に夜の闇に紛れていった。





ピンポーン。

人影が少なくなった店内から、1人の客が国道の方へと向かっていく。
徒歩であるのを確認し、次女のハプニングに若干気後れしていた三女がそれを振り切るように我が仔を抱えこっそり後を付けていく。
見送る四女との会話は無い。別れはもう済ませてある。


小柄な禿頭の老人だった。
夏だと言うのに濃い緑色の中山服を着込み、老齢を感じさせない背筋を伸ばした姿勢で歩いている。
三女は次女と同じく我が仔に静かにするよう声をかけた後で、距離を詰め狙ったビニール袋に投擲する。

ガサリ。

老人は手持ちの袋に入った侵入者に気付いた素振りも見せず、好々爺な笑顔を浮かべたまま足音も立てずに歩き去っていく。
託児成功を確信した三女は脇目も振り返らずに必死にその後をつけていく。
老人の中山服と三女の実装服の緑色は、暫くの間闇の中に浮かんでからゆっくりと消えていった。




ピンポーン。

人影が少なくなった店内から、1人の客が国道の方へと向かっていく。
徒歩であるのを確認し、三女の成功に再び意気を取り戻した最後の四女が我が仔を抱えこっそり後を付けていく。
見送る姉妹との会話は無い。彼女が最後であるし別れはもう済ませてある。


編み笠を被った着流し風の男だった。
おまけに腰には棒のようなモノまで持っている。正直、かなり怪しい男だ。
しかし、先達である姉達の成功が脳裏に焼き付いている所為だろうか。四女は託児を強行した。
四女は三女と同じく我が仔に静かにするよう声をかけた後で、距離を詰め男が手にしているビニール袋に仔を投擲する。


———ピュン

白銀が一閃した。
その瞬間、四女には何が起きたか解らなかった。
しかし、現実に何が起きたかは理解出来た。

「チャベ!」

ビニール袋に入れず無様に頭からアスファルトに落着した四女の仔。
彼女は一瞬の内に、髪と服の両方を失い禿裸にされていた。

「デ、デデェェェェェ!!??」

驚愕する四女の前に差し出される仔の髪と服。
細かく微塵切りにされた髪と服は、とぎすまされた白刃の上に揃えるように載せられていた。

「ふむ、何やら蟲が洩らす糞の臭いがこの場に漂ってると思うたが貴様等か」

見上げると、編み笠を被った男が四女を見下ろしていた。
彼は四女が条件反射的に謝罪と賠償を求めなかった位に、凍り付くような鋭い眼光で見下ろしている。
蟲に与えられるべき慈悲など現世には存在しない。そんな、酷薄極まりない視線で。

「よりにもよって我を狙うとはな。よいか糞蟲。相手の実力を見極めれないようでは———」

パッと白刃が振り上げられ、暗い夜空に仔実装の髪と服が舞う。
思わず手を伸ばした四女が見たモノ、それは。

「———実装石なぞ、幾ら髪と服があっても足りぬぞ? ……まぁ、託児なぞする野良風情にそれを言った所で詮無き事ではあるがな」
「テヒ———」

自分の髪と服を瞬時に奪った白刃の煌めきだった。
そのまま、無様に駐車場に倒れ込む四女。彼女の命と同じぐらい大事な髪と服が細かく切り刻まれた状態で夜空に放されていく。

倒れ込んだまま呆然と去っていく男を見送る四女と仔実装。
命以外の全てを奪われ放心した親仔は、20秒後に駐車場に入ってきた乗用車のタイヤに押し潰され、この苦界から速やかに去っていった。

「デベ!」
「チョベ!!」










長女の仔実装は母親の教えを忠実に守っていた。
袋の中の品物には手を出さない。鳴かない、媚びない、叫ばない。
全ては人間の庇護を得る為に。その為に自分は親に隠れて姉妹殺しまでしてきたのだから。
姉妹の分まで、自分は幸せになる。自分のような選ばれた存在が幸せになれないのは間違っている。
そう信じて、今日まで生き延びて来たのだ。例え親を犠牲にしてでも、幸せになろうと仔実装は誓っていた。


数分間ビニール袋に揺られた後、青年が建物の中に入ったようだ。
暗い部屋に入ったので少し悲鳴を上げそうになったが堪えていると、灯りが点いた。

「……今日は大丈夫かな。最近は毎日きやがったからなぁ……ったく」

青年がぶつくさ言いながらもう一方の手に持っていた荷物を片付けている。
それが片付ければ、今度はこちらのビニール袋を探るだろう。


さぁ、いよいよだ。自分の野良として生き延びてきた全てを発揮し、このニンゲンをメロメロにしてやる。
商品に手を出さなかった事を感謝させてやる。鳴かなかった、媚びなかった、叫ばなかった事を含めたら土下座すら当然だろう。
言うことを聞かせたらまずはシャワーでさっぱりとした後に、くーらーとかいう冷たい空気を出す箱を動かさせてアマアマなあいすを献上させるのだ。
後は、追ってくる母親をニンゲンに追い払わせるか殺させれば万事丸く収まる。
いや、確実に殺すよう命じた方がいいか。あの餌も満足に集める事も出来ない低脳な親だ。
しつこく飼えと迫るに決まっている。よし、殺させよう。禿裸にして、手足をもぎ取って、トドメだけは自分がすればいいか。
それだけでニンゲンは邪魔が入らない状態で自分を可愛がる事が出来る。自分も邪魔が入らない状態でニンゲンの献身と寵愛を全身で味わえる。
ああ、なんて素晴らしい。こんな完璧無敵な計画を立てれる自分はなんて賢くて天才的なのだろうか!


仔実装は全力回転する幸せ回路が見せる薔薇色の未来に胸を弾ませ、人間がビニール袋を覗くのを心待ちにしていた。
お馴染みの、小さく首を傾げて手を口元に当てた愛らしくて可愛い事この上ない、まともな人間なら全力で鉄拳を見舞いたくなる媚びポーズを取って。
だが、人間の手が伸びてきていよいよかと思った瞬間、人間の手がすっと引っ込んでしまった。

「いけね、マルボ○買い忘れたわ。近くのコンビニにあったっけな?」

そんな青年の愚痴っぽい呟きが聞こえてきたかと思うと、青年はスタスタと部屋から出て行く。
仔実装が反応する暇もなく、ドアが閉まる音が聞こえた。

「テチィー!?」

長女の仔実装は、卓上におかれたビニール袋の中からはい出す。。
灯りは付いたままなので、彼女がどこに居るのかはっきりと解る。

六畳間の洋室だった。
仔実装は理解出来ないだろうが、これにバスユニットとトイレと小さなキッチンが付いている。
部屋は独身男性特有の雑然とした感じはあったが、比較的小綺麗に片づいているとも言えよう。
仔実装は、その部屋の中央に置いてある小さなテーブルの上に居た。

「テチュ!!」

しかし、仔実装はいたく不満の様子。
どうやら、自分が住むには狭くて汚いと感じたようだ。
つい数時間前まで、黴と汚物がこびり付いているダンボールハウスに住んでいた分際なのに。
幸せ回路は回転率を更に高めているらしい。公園住まいを考えれば別格とも言える人間の家ですら、直ぐさま『劣等』と判断したようだ。


人間が帰って来たら、直ぐに叱責し髪に糞を塗りつけてやらねばなるまい。
高貴で賢くて賢明なワタチをこんなあばら屋に住ませるだなんて言語同断だ!
直ぐに引っ越させねば。少なくとも、公園の砂山よりも大きくてお姫様である自分が住むに相応しい宮殿に『ザー』

「テェ?」

妙な音が聞こえたので、仔実装は身勝手極まりない夢想を打ち切り音が聞こえた方に振り向く。

『ザ———』

それは、中型の液晶テレビだった。青年が奮発して買った最新型。
部屋に来た時は確かに電源が入っていなかったそれが、何も映さない砂嵐の状態で映し出されている。

「チュ、チュチュチュー!!」
『ザ———』

それを見た仔実装は、何故か猛烈に怒りだした。


何のことはない。晴れて飼い実装になり貧相な部屋に住まう人間の主になった(仔実装主観)自分に対し、なんでコイツはこんなモノを映すのか?
映すなら栄光あるワタチの晴れ姿を写せ、この愚図が! とっとと金平糖を持ってこい、寿司、ステーキもだ……と憤っただけ。
無論仔実装が液晶テレビが何なのか、テレビが何を映すのかを理解している訳ではない。ただ、意味もなく理不尽に立腹しただけの事である。

「チュアアア、テヂュアァァァァァァ!!」
『ザ———』

テーブルの上から液晶テレビの画面に対して四つん這いで威嚇をしている仔実装。
と、そんな仔実装の空威張りな威嚇に答えるかのように、砂嵐が突然止んだ。

「テェ!?」

代わりに表示されたのは、井戸だった。
緑色の野原の中央に、苔にまみれたような石で作られた井戸。

その井戸の縁に、白い手のようなモノが引っ掛かっている。
人間の手だ。白魚のように白くて繊細な指が五本。
その掌がふわりと持ち上がったかと思うと、一気に肘まで井戸の外まで出て来た。

次に出て来たのは、黒っぽい亜麻色の長い長い髪。
白い肩と、僅かに見えた緑色のワンピースが井戸の中からはい出してくる。

ずるり。
井戸から腹這いに這いでたソレは、休む様子もなく這いずり出した。

画面の手前。そう、仔実装の居る部屋に向かって。

「テ、テチュ、チュア、チュチュゥ!!?」

普通の人間なら、良くできたホラーだと思った位だろう。
映画でもなければ、テレビの画面から何かがはい出してくる訳がないのだから。

しかし、この仔実装は人間に対する概念は幸せ回路経由で受け取る脳内妄想しかない。
液晶テレビが何なのか、それが映し出すモノは何なのかすら理解してない。
だからこそ、テーブルの上で腰を抜かしてパンコンしつつ喚くのが関の山。
しかし、抱いた恐怖だけは正統だった。そう、それはとても恐ろしいものなのだから。


恐らく、実装石と呼ばれる種なら、恐怖を抱かずに居られない存在なのだから。


やがて、這いずっていたソレの伸ばした手が、テレビの画面の内側に触れた。
ピタ、ピタピタと触れる。まるで、テレビの内側に居る人物が壁になっている部分を触れているかのように。
暫くの間、ソレの手はテレビの内側から画面をペタペタと触っているだけだった。



「………………、チプ、チププププ!!」

テレビから鳴り響くペタペタという音以外、静まり返っていた部屋の中に耳障りな嘲笑が響き渡った。
仔実装だった。仔実装が顔面全体に皺を寄せて、ミツクチを大きく開けて嗤っている。
どうやら、相手がテレビの中から出れないと判断して嘲笑っているようだ。
ついさっきまでパンコンして醜態を晒していたのに、だ。

「チプププ、ピャーピャピャピャ『ズル』……テ」

耳障りな哄笑が止んだ。突然聞こえた異音によって。

手が、画面から抜け出てくる。
肘が、画面から抜け出てくる。
肩が、画面から抜け出てくる。
頭が、画面から抜け出てくる。
胸が、画面から抜け出てくる。
腰が、画面から抜け出てくる。
膝が、画面から抜け出てくる。
足が、画面から抜け出てくる。

そして、ソレは完全に部屋の中へと這入り込み、ゆっくりと立ち上がった。
ついさっきまで圧倒的有利な立場(仔実装主観)にあった筈が、今では再びパンツの中に糞を追加しながら震え上がるだけ。

「テ、テ、チャ、チャ、チャアアアアア!!」

仔実装は必死に叫んだ。
叫び、助けを求めた。部屋の主として、まだ帰ってこない人間に助けを求めた。
仔として、さっき殺害計画すら立てていた母親に助けを求めた。

しかし、誰も助けには来なかった。
代わりとばかりに、ソレがテーブルの前に立つ。

「テ、テ、テテテ」

どうすればいい、どうしたらいい?
ワタチは死にたくない。まだ贅沢もしてなければ威張れてもいない。
袋の中のアマアマやウマウマも食べれてないのに、死ぬのなんて絶対に嫌だ!!

仔実装は考えに考え、1つの結論を出す。

「テ、テチューン♪」

全力の媚びポーズを取る仔実装。
血涙を流しながら上目遣いで見上げていたソレの姿が何故か渦を巻き始めた。

「テ」

視界だけではない。
世界が、部屋が、ソレが、全てが渦を巻き始めた。

「テテテテテテテテテテテテテテ」

それどころではない、仔実装の躰も渦を巻き始める。
頭が、躰が、手足が渦を巻くようにして1つになっていく。

「テテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテ」

少女の瞳の渦巻きと合わせるように、1つになっていく。

「テテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテ」

やがて、仔実装は1つの渦巻き玉になった。
まるで、緑色と赤色と肌色の粘土をこねて渦巻き模様にしたような玉だ。


渦巻き玉になった仔実装をソレは手に取ると。


ヒューン、トポン。


液晶テレビの中の井戸へと放り込んでしまった。











仔実装が恐れたソレとは、少女だった。



黒みの掛かった亜麻色の長い髪をした、緑色のワンピースを着た肌の白い人形のような顔立ちの少女だった。
瞳の色はオッドアイ、緑と赤の瞳孔には丸い渦を巻くような模様が付いている。


仔実装玉を井戸の中に放り込んだ少女は無言でビニール袋を手に取ると、中身を無差別に冷蔵庫へと放り込み始める。
何故か、仔実装の実装臭も僅かに洩れた糞も消え去っていた。

トントン。

部屋の中にドアを叩く音が聞こえた。
冷蔵庫のドアを開けたまま中にあったキ○コをカリカリと囓っていた少女が無言無表情のまま振り返る。

視線の突き刺す先は部屋のドア。
人間なら、インターホンを使用する。

ならば御約束通りの展開という事だろうか。


少女の瞳の渦巻きがぐるりんと一回転、それだけで部屋のドアが勢い良く開いた。

「デデ?」

部屋の外には今まさにドアを再度ノックしようとした親実装———長女が、表情を表現するに乏しい顔一杯に驚きを浮かべて突っ立っていた。


にゅ———ん。


少女の手が擬音通りににゅーんと伸び、驚いたまま固まっていた長女の首根っこを反応すら許さず引っ掴む。
極めて滑らかな動作で戻ってきた手が軽くしなったかと思うと、長女は仔実装に引き続き液晶テレビ内にある井戸の中に放り込まれた。


「デ、デヒ、デギャアアアアアアアアァァァァァ!!!」
「サダコォォォォォォォォォォォォォ!!??」

そして、丁度井戸から這い上がろうとした悪霊っぽい女を巻き込んで井戸の底へと落ちていってしまった。




丁度その時、青年が帰って来たようだ。
足音が部屋のドアの前で止まり、鍵を鍵穴に差し込む音が聞こえる。

このままでは、青年を驚かす事が出来ない。
先程の仕掛けは、仔実装の所為でフライングしてしまった。
とっさに、少女は目を見開いて———。




青年が扉を開けた先にあったもの。



そこは、けばけばしいピンク色の壁紙を使った部屋だった。

ゆっくりと回転するクリスタルボールからは、紫色の明かりが漏れ出て辺りを照らす。

浴室はガラス張りの為部屋から全てが見通せる素敵仕様。

泡がタップリ張られた浴槽は底の浅い金色の黄金船。タイルの床には緑色のソープマットと赤色のすけべ椅子。

他にも実装石の頭部をイメージした室内灯が部屋のあちこちに転がされており、カオスな雰囲気を振りまいていた。


『タブー』が室内に流れる中、無言のまま青年は中央の回転ベットへと歩み寄る。


回転ベットには、赤と緑色のシーツが複数重ねられていた。

その上にゆったりと横たわっている先程の少女。

撫でたくなるようなほっそりとした脚。
若い雌の鹿のような太股。
くびれた腰と程良いバランスのお尻。
小振りで形の良い双丘。

凹凸の緩やかなほっそりとした躰を、うす緑色のネグリジェ一枚だけで隠している。

少女は無言無表情のまま、ゆっくりと右手を上げて口元に寄せる。

ほっそりとした繊細な指先が薄い唇に触れる。

唇に指先が触れた後、少女は人形のように整った頭部を少しだけ傾げた。





———所謂、媚びだった。






そして、そんな少女の媚びに対して青年はフラフラとベットの脇に近付き、





















「直ぐに元の部屋に戻さんかいこのアホ実装がぁ———!!」

少女の頭頂部に渾身のモンゴリアンチョップをお見舞いした。











後半に続く。








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1 Re: Name:匿名石 2014/10/26-20:24:57 No:00001512[申告]
人化した初期型か?
2 Re: Name:匿名石 2014/10/28-01:49:11 No:00001514[申告]
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