タイトル:【観】 公園浄化.
ファイル:公園浄化.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:5953 レス数:2
初投稿日時:2008/07/26-10:17:01修正日時:2008/07/26-10:17:01
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公園浄化7月



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双葉市の自治区域である南区。
南区には大通りの付近に緑ヶ丘公園がある。
公園が作られた当初は名前のとおり、街路樹や花壇に溢れた憩いの公園だったが、
ここ最近は緑の汚物である実装石が我が物顔で徘徊している。

公園に植樹されていた樹木は実装石の害により、枯れたり、ところどころ齧られ無残極まりない。
また、公園の中央の人工の小川は緑だか茶色だかに染まり、悪臭を放っている。

トイレや水道は常に実装石が占拠し、人間が近づこうものなら、特に知性の無い固体により投糞の目にあう。

増えすぎた実装石の昼夜を問わない醜い声による騒音。

また、公園付近の公共施設等や住宅での託児や侵入、器物の盗難・・・・・・。

ゴミ捨て場など格好の餌場ゆえ目も当てられない。


そして、個体数がついに200を越えたころ、駆除の以来が自治会から業者に依頼があった。

当然、愛護派による反対の声が上がったが、
南区の区長がやり手だったこと、近隣住民の不満の限界により愛護派の声は完全に圧殺された。

こうして公園の大規模駆除が計画され、7月の終わり、夏の最中、公園の浄化が始まった。

南区自治会は市からおよそ500万前後の予算を許可され、特に実績の高い業者である
『みどり清掃』に何から何まで委託した。

そして、みどり清掃は公園の付近を完全に立ち入り禁止(機材や薬品からの住民の安全確保と実装石の逃亡防止)にし、
清掃トラックやワゴン車など計4台で公園までやってきたのである。

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公園ではさまざまな実装石のコミュニティが形成され、それぞれが微妙な距離を保ち共存していた。

生粋の野良の集団、元飼いなどの集団、なんらかのトラブルにて最下層・・・いわゆる禿裸になったもの達の集団等。

人間にしてみれば、どれも区別をつけず、糞蟲・汚物・下等生物のひとくくりだが、彼女たちにしてみればこの差は大きいのである。


シモーヌ。
元飼いにして、白いリボンで後ろの髪を結んだ実装石。
そしてそれなりに賢い個体。
この公園にやってきて、かれこれ5週間というところ。
最初はなれなかった野良生活も、元飼いのコミュニティでの情報交換や、助け合いなどで、ここまできた。

彼女は成体になって、数匹の仔を授かったころ、


『飽きた』


その一言で飼い主に仔ともども公園に捨てられた。

最初は大変だった。
公園で生きていくためのことは何も知らない。



捨てられた日の夜、5匹いた仔のうち、特に小さかった末娘が、成体禿裸にさらわれ、食われた。

そして、その禿裸も他の健常野良のリンチにあい、最後は生きたまま食い殺された。



あれからだいぶたった。
娘たちも幾分か成長し、今もダンボールハウスの近辺で遊んでいる。

テッチャァァァ!!
(待ってテチャァ!)

テッチュ!テッチィィ!!
(妹チャ、追いかけっこテッチィ!)

穏やかな夏の日々。
暑く、餌も減ってはいるが、古参の実装石によると
今までよりも大分マシで、今年は楽に夏をすごせるとのこと。

シモーヌは、自身のダンボールハウスの中で、安らいだ。





しかし、この生物たちに安息はあまり無い。
どこかのコミュニティの実装石が狂乱しながら叫び、走りまわった。


ニンゲンが来たデスウウウウウウウウウウウウ!!!!

シモーヌははじめ、その声に虐待派か?と考えたが、彼らはこんな明るいうちに活動はしない。
人目、というのがあるらしいからだ。
ならば、愛護派か?いや、それもないだろう。彼らならあの実装石が叫び狂乱するはずが無い。

ふと、飼い主が戻ってきたのか?とシモーヌの脳裏をよぎったが、その考えは打ち消された。

シモーヌが、様子を詳しく知るためにダンボールハウスの外へ出た。


ニンゲンデスゥゥゥゥゥ!!みんな同じ服を着てるデスゥゥゥゥゥゥ!!
変な道具を一杯持ってるデスゥゥゥゥゥゥゥ!!ニンゲンがたくさんキタデスゥゥゥゥゥ!!!!!!

叫びまわっているのは純野良の成体実装。
あれは、狂っているような迫力を帯びている。

突然、何かキラキラしたものが、キラキラとした尖ったものが、彼女の背中に刺さり、
彼女は声も上げずに倒れこんだ。


死んだ!?いや、彼女の様子はそうではない。



倒れるときもそうだった。
手足が動かなくなって、まるで『ひざを抱えて座る』ような姿勢になり、体がびくびくと痙攣している。
目と舌は自由に動くのだろうか、ギョロギョロとせわしない。
涙は流れ、鼻と口からは鼻水と唾液が垂れ流しだ。
皮膚の上からでも、筋肉が歪に蠢いているのがわかる。


シビレデスゥ・・・・・・。


誰かが言った。

実装シビレデスゥ。ニンゲンの作った毒デス・・・・・・!!


倒れた実装石を囲むさまざまなコミュニティの群れが、一気に不穏な雰囲気に包まれた直後。
場は地獄の釜のようになった。

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みどり清掃は今回の駆除に25人体制で行うことにしていた。
対象の個体数が多く、労苦が大きい作業ゆえ、この人数なのだ。

今回、製薬会社と市の行政から、新型の駆除薬や機材の使用許可が折りたため、
空気銃なども用いる。

これは麻酔銃のようなもので、中に実装シビレをベースとした硬直剤が封入されている。
弾頭は煙草程度の太さ大きさで、先端には10ミリ程度の針、尾部には安定翼がついている。
また、公園の外に駐車したトラックの荷台には特殊なタンクが積載されており、これは後で真価を発揮する。

薄緑の作業着をまとった清掃員が、空気銃の銃口を走り回っている緑の汚物に定め、引き金を引いた。

寸分たがわず背中にささり、実装石は行動不能になる。

この麻酔針はある程度の硬いものは貫き、実装の肉体などの柔らかいものでは強力な制動を発揮する構造となっている。
ゆえに、仔実装や蛆ですら針で殺すことなく、薬剤の効果を与えることができるのである。

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場は狂った。

その場にいた実装石のほぼすべてが、叫びわめきながらバラバラに逃げる。

泣くもの、人間に怒りを向けるもの。

シモーヌは割と冷静だった。
ダンボールハウスへと書け戻り、近辺にいた自分の仔を呼び集める。

ママァァァ!!何があったテチャァァァァ!!!??
オバチャンたちもヘンテチィィィ!!?

3匹!

1匹が足りない。
ふっと、シモーヌの顔が青ざめ、心拍数が高まる。
どこ?何処にいるデス!

あたりを見回し、少し離れた木の陰に娘を見つけた。


ママァァァァァァァァァァァァァ!!!!!

あれは次女だ!間違えようが無い。

次女も此方を見つけ、走りよろうとした矢先、

人間の放った麻酔張りが背中に突き立った。


チプッ!


その場に倒れ、動かなくなった娘。
その娘に人間は容赦することなく、撃ち続ける。

パスパスパス・・・・・・・間の抜けるような音とともに次女の体が麻酔針だらけになる。

ヤメテェェェェェェェェェェェ!!!デジャァァァァァァァァァ!!!!

激情に駆られ、シモーヌは吼えた。

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「きったね。さっさとやるか」
そういい、清掃員は金属の掴みばさみで麻袋に針だらけの仔実装を放り込んだ。
すでに麻袋の中には実装石が幾匹も放り込まれており、彼女たちも針により動けなかった。

「しかし、便利な空気銃だな。撃たれたらこいつらパンコンもしないもの」
「ああ、筋肉が激痛を伴いながら硬直するんだとさ。当然括約筋もな。しかも、殺さないことが目的のシビレ麻酔だから、
偽石がストレスでわれないんだと」

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涙を流して、叫び続けているだけでは、仔は危ない。
彼女の、シモーヌの思考回路が対策を練る。

まずはニンゲンたちから逃げること。
そして、狂乱とかしている他の実装石に呑まれないようにしなければ。


清掃員の人間たちはシモーヌのダンボールハウスへ近づきつつあった。


そして、シモーヌは自らを囮として仔達から人間を引き離すことにした。


オマエたち!今すぐハウスの中に隠れるデス!!

有無を言わせず、鬼気迫る表情のシモーヌは仔をハウスへ押し込んだ。



オマエたち、ママがニンゲンを追い払うデス。だから静かにしているデス。
ママ・・・・・・怖いテチ。
大丈夫デス!必ずまたあえるデス!!

そして、ハウスからあさっての方向へ走り出す!


ニンゲンども!!こっちデスゥゥゥゥゥ!!

声を張り上げ、腕を振り回しながら、走る。

ある程度はしり、振り返る。
きっと成功だ!ニンゲンめ、騙されてこっちを追いかけてくるだろう!

若干の幸せ回路がシモーヌをニヤつかせる。

しかし、現実は非情すぎるのである。


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「おい、ハウスの中にも幾つか撃ちこんどけよ?」
「はい、主任」

複数の清掃員は麻酔銃をあたりのダンボールハウスへ撃ちこみまくる。
それこそ、まるで面で制圧するかのように。

当然、シモーヌのハウスも含まれていた。

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テチャァァァ!!
コワイテチィィィ!!
ママァァァァママァァァァァァ!!チャァァァァァァ!!

ハウスから絶叫が聞こえ、シモーヌを幸せから呼び戻す。

デデッ!!?
(ナゼデス!!?)

麻酔針が打ち込まれるたびにハウスは穴だらけになり、悲鳴が聞こえる。

撃たれるたびに絶叫が響くハウス。
それもやがて聞こえなくなった。

それは、彼女の仔は、すべて人間にどうにかされてしまったことを意味していた。

ペタン、とへたりこむシモーヌ。
彼女の捨て身の努力は水の泡となった。
体の全身の力が抜け、パンツの中が糞で溢れる。

虚空を泳いだ瞳が迫りくる人間を捉えた直後、彼女はしばし、意識を失った。

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「あ、ここにもいやがった」
清掃員はシモーヌを視界に捕らえた。
が、彼女の髪のリボンが目に留まった。


「主任!飼い実装ですかね?」
「あ?あ〜、どうだろ。首輪と登録番号と登録記号は?」
「・・・・・無いですね」


双葉の南区では区の条例で飼い実装の登録が行われていた。
飼い実装には区指定の首輪を着用し、首輪には登録番号とアルファベットの登録記号が記入されていなければならない。
これが無ければこういた場所等で処分や駆除されても文句は言えないのである。

が、シモーヌのそれは飼い主により剥奪され、彼女は完全な野良だ。

「おい、飼いじゃないなら処分な」
「はい、主任」

若い清掃員は、麻酔銃の銃床でシモーヌを殴り倒す。
いやな感じの音がし、軽くシモーヌが吹き飛ぶ。
シモーヌの鼻からは流血が見られた。

「ありゃ?空気銃の残弾がないや」

予想以上に麻酔針は使用したらしい、と認識した作業員は、そのままシモーヌを麻袋に放り込んだ。

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シモーヌ以外の実装石の反応はさまざまであった。


ム、ムスメをやるから私だけは助けるデス!!そうすればイイデス!!
テ!!ママァァ!!!

自分の娘を盾に助かろうとした野良。
当然清掃員は容赦なく、麻酔針を打ち込む。
ただ、

「けっ!薄汚い糞蟲が!娘を売るとか反吐が出る!」

動けなくなった野良親の内臓が破裂するくらいの蹴りをお見舞いし、親仔ごと麻袋に放り込んだ。





逆に、愛情をもって我が仔の盾になろうとした実装石もいた。

ある禿裸の親は、

ママの陰に隠れるデスゥ!!
親指の娘をかばい、かがみこむ。

愛情が深く、いとしい我が娘。
何があっても護る。

決心は固い。

しかし、清掃員が麻酔を打ち込むと、
力が抜けた親の身体はそのまま親指にのしかかり、

ママァァァァァァ・・・・・・・オモイレチャァァ!!・・・・・・・グチャブチュ!!、パキン。

親の体重がすべてかかり、親指は圧死した。


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公園の外に大きな液体の入ったタンクを積載したトラックがある。
やがて、麻袋持ち寄った清掃員がタンク内に、麻袋から取り出した実装石を放り込む。

声も上げず、タンク内の液体へと放り込まれた実装たち。


この液体こと、この駆除の最大の特徴である。
製薬会社がみどり清掃へ預けたもの。

実装分解溶液という。

これは実装石の肉体組織(髪、肉、骨、排泄物、服)のたんぱく質に作用し、
結合を解いてしまうものである。
実装石の肉体組織に付着したら、固形入浴剤のようにあわ立ち、チーズのようにドロドロと溶けていく。
また、神経系を刺激するので、かゆみを伴う。



そして、シモーヌも他の同族とともにタンク内に放り込まれた。

この時点でシモーヌの意識は回復しており、彼女はもっとも凄惨な末路をたどる。

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高いところから、暗く、水のあるプールのような場所に放り込まれた。

シモーヌ、はそう感じている、

天井の穴から、光が照らす。
薄くオレンジの色の水。
これは危険な気がする。


シモーヌはタンクの縁にしがみつき、すばやく身体を液面から引き上げた。
濡れていた部分が泡を吹いている。

そして、痒い。
我慢できないことも無いが、あの水に触れていたくない。

禿裸の同族が、天井の穴から、落ちてきた。
水音を立て、液面に浮いた直後、


デジャァァァァァアアアアァァァァァァーーーー!!!!!デ、デ、デフウウ!!

禿裸の同族の全身から泡が吹き出た。
そして、みるみると皮膚がズルズルになっていく。

ワタシノカラダァ!!眼がミエナイデス!!ママァァァ!!

叫んで、沈んだっきり、同族は浮かんではこなかった。

次々と、同族が降ってきては、同じ末路をたどる。
彼女たちは体が動かない。
だから溶けるのも早い。


私の身体はまだ自由デス!でも、ここから離れては二の舞デスゥ・・・。

突然、聞きなれたママ!と呼ぶ声が耳に届く。
天井から降ってきた同族の中に、娘・・・・・姉妹のどれかだろうがいたのだ。

デジャァァァァァァ!!

シモーヌは狂乱した。

仔実装が液面に落ちると同時に自分も縁から離れ、バシャバシャと液面を掻き分け進む。
痒い、痒い。


だけど、娘が!!


そして、液体から娘を抱き上げる・・・・確かにシモーヌの娘だ!シモーヌにはそれが解った。

だが、何番目の?
粘度の高い泡に包まれ、グズグズとなった娘。
抱き上げた端から溶け崩れ、やがて、

マジュァァァァ・・・・・・・

ママ、と呼んだのだろうか?何かを口にし、崩れた。



突然、シモーヌの視界が上を向いた。

デデ!!

液に漬かっていた足が、溶けてシモーヌの体重を支えきれずに崩れた。

そして、シモーヌは全身を溶かされていった。


意識の渦の中、最後に人間がこっちをみて、歪んだ微笑をうかべた、様な気がした。


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「主任、大分早く終わりましたね。まだ、午前中ですよ」
「ああ、あとは公園の消毒済ませておわりだな。いやぁ、今回の駆除はいいね。糞も血もほとんど飛び散ってない。
軽く散水して洗い流し、消毒液を撒いてお疲れさんだな」

二人の清掃員が機材の片づけをしながら、話をしている。

「このあと、ごみ処理場で分解液を捨てるんですよね?」
「ああ、向こうでな。食用実装の工場から廃棄された服から溶けにくいように加工したスポンジがあるんだよ。
そいつに染み込ませて焼却。はいエコロジカルな実装処分」

「便利ですね」
「まあ、あいつらは野良は人間に嫌悪されるだろ?汚いし。人間に関わるなら徹底的に利用されるってこと」




3時間で終了した今回の駆除。
以前のちまちまと殺処分していたころに比べればきわめて短時間で終了した。

占拠者を失った公園は静かになり、

いずれ、人間のてにかえるだろう、と作業主任は思った。







どうも、駄文です。最後までありがとうございます。
スランプの中で書いたので、かなり滅茶苦茶になってるかもしれないです。

今回『火遊び』続編がスランプになったので気晴らしに書いてみました。勢いだけで。
ええ、勢いオンリー100㌫。
書き方も微妙かも・・・・・
実装分解液ってあったらいいなぁ・・・マリアーナにかけてみたい、と思いつつ皆さんに呼んでくださったことに感謝を。

byレーザーメスの人




過去のよみもの↓

レーサーメスで焼くこと
研究生活・親蛆
火遊び
食用白仔実装のつくりかた

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1 Re: Name:匿名石 2017/03/24-20:54:50 No:00004572[申告]
なまじ知識と意識があると不幸だな
2 Re: Name:匿名石 2017/03/25-00:51:32 No:00004577[申告]
実装分解溶液の描写がたまらねえ!!
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