タイトル:【?】 よくわかりませんが・・・
ファイル:公園の夜.txt
作者:防災双葉 総投稿数:18 総ダウンロード数:2892 レス数:0
初投稿日時:2008/07/22-20:39:43修正日時:2010/11/21-03:09:02
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-------------公園の夜------------

間もなく日付も変わろうかという時間。
一人の男が公園の前をフラフラと歩いていた。

『うえ〜っぷ。気持ち悪りぃ・・・』
フェンスに手を掛け側溝に嘔吐する。
『係長のヤツ、無理矢理飲ませやがって・・・』
野良実装に餌を与えた事に舌打ちしながら顔を上げる。

『ん・・・?』
フェンス越しに公園の中に視線を漂わせる。

無い・・・。
公園とセットのように設置されているダンボールハウスが無い。
フラフラと公園の中に入る。

ハウス、実装石の糞、実装石が持ち込んだゴミ、そして実装石達。
実装石のいた痕跡が跡形もなく消えていた。

『ああ・・・そうか・・・』
男は回覧板を思い出していた。今日は一斉駆除が行われたはずだ。
尤も一週間もすれば、どこからともなく新しい「住人」がやって来る。
男の「遊び」もそれまでおあずけである。

『コイツは丁度良い。少し休もう』
水道でうがいをすると、近くのベンチに腰掛けた。
過度に摂取したアルコールが眠気を誘う。

「・・・デスデス・・・」 「デ・・ス」 「テッチューン・・」

「レフレ・・」 「・・・レチ?」 「テチー・・・」

『うるせぇぞ!このクソムシど・・・も・・・?』
男は目を覚まし、声の主に怒鳴る。
しかし、目の前には何もいない。
『酔ってんなぁ・・・』

鞄を枕にベンチに横になる。
家までは遠くないが、歩くのが酷く億劫だった。
今の時期、雨でも降らなければ風邪の心配もない。

「・・・チ」 「デス・・・!」 「デププ・・・」 「レチレチー」

「・・・デェ・・・」 「レフェェン・・・」

「デシャァァ・・・」 「テチテチ・・・」 「デッギャァァァ・・・」

「テェェェン・・・テェェェェン・・・」

「・・・デーデーデー・・・」 「テッ・・・テレー・・・レビ・・・ッ」

ぼそぼそと決して大きい声ではないが数は増えている。
駆除されたばかりの公園で何故・・・考えるのも面倒だった。

『待ってろ。明日たっぷり遊んでやる・・・』
意識が遠のいていく.

チュン・・・チュン・・・

『う・・・』
男がムクリと起き上がる。近くにいた雀が数羽飛び立った。
周りはもうすっかり明るかった。時計を見ると午前5時
痛む頭を抑えながら自販機まで歩く。

スポーツドリンクを飲み干すと頭がすっきりした。
園内を見渡す。
『アイツら・・・どこ行った・・・?』
昨夜の雑音の主を探す。そこには蛆実装1匹いなかった。

『まァいいか・・・寝なおそう』
今日から盆休みだ。
男は鞄を持つと家に向かう。

ふと昔、父に聞いた話を思い出す。

『墓地で寝るとなァ、ザワザワ声がしてうるさいんだよなァ』

男は空を見上げる。
『・・・まさかな・・・クソムシごときにそんな芸当が・・・』

新しい「住人」になろうとしていた親仔を蹴飛ばし、路上のシミに変えた。


ここはどこにでもある公園。
数多の野良実装石が産まれては死んでいく場所。


---おわり---



※作中の父親の話は、作者の父から聞いたものです。
 ちなみに神社の境内で寝ると、ものすごく静かだそうです。
 (何やってんだか・・・)
 今、その父はざわめきの一人になっている事でしょう。

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