体臭 ある日、トシアキが大学から帰宅している途中、道の前方に一匹の実装石が背中に大きな籠を背負いデェッスデェッスと一 杯汗をかきながら歩いていた。 後姿からだが清潔だが悪趣味で豪華そうな服を着ているのを見て取れたので飼い実装石のようだ。実装石だけで散歩させる 何て野良実装に襲われたらどうするんだと思いながらもトシアキは直ぐに実装石に興味を失い、そのまま抜き去ろうと実装 石の横を通りすぎようとした瞬間、突然籠の中から緑色の物体が飛んできて避ける間も無く物体はズボンに付着した。 何だろうとトシアキがズボンを見るや、それは公園や空き地などでよく見かける実装石の糞だった。まだ出来たてホヤホヤ のようで、ズボン越しにでも糞の温もりが感じられた。 何で籠の中から糞が飛んで来るんだと籠を覗くと、そこには籠を背負った実装石の仔なのだろう、これまた悪趣味な服を着 た三匹の仔実装が右手を口元に当てて、元々醜いのが更に醜悪な表情でテププとトシアキを見て笑っていた。 トシアキの怒りは一瞬で頂点に達し親実装もろとも殺そうとしたが、飼い実装を殺して怒りを静めるのは容易いが、飼い実 装なんだから飼い主に少し吹っかけて弁償をしてもらった方が良いと判断し、ズボンから携帯を取り出して実装リンガルの アプリを起動し籠を背負った実装石に話しかける。 「おい!」 『デデッ!?わ、私に何か御用でしょうかニンゲンさん?』 突然後ろから声をかけられたので、親実装はビックリした表情で振り向いたが、声をかけてきたのが同属の野良では無く人 間だったので直ぐに落ち着き、丁寧な口調でトシアキに返事をしてきた。 トシアキは糞を投げる仔の親で見るからに贅沢させてもらい増徴して糞蟲化してるんだろうなっと思った実装石が丁寧な口 調で返答してきたので一瞬あっけに取られ文句を言う事も忘れていたが、直ぐにすれ違い様に籠の中の仔実装に糞を投げつ けられズボンを汚されたんだと、ズボンの汚れた所を見せながら親実装に説明をする。 親実装は本当に自分の仔がしたのかと疑いつつも、確かめる為にズボンに付いた糞に顔を近づけクンクンっと匂いを嗅ぐ。 匂いを嗅ぎ糞の匂いが自分の仔のであると確信した親実装の顔はみるみる真っ青になり、あわてて籠を地面に置き土下座を してトシアキに許しを請うてきた。 『も、申し訳ありませんデス!私の仔がニンゲンさんの服を汚してしまって申し訳ありませんデス!ど、どうか命ばかりは ご勘弁をデス!』 街の往来で突然実装石が額を地面に擦り付けながら土下座をしてきたので、焦ったトシアキは周りに誰も居ないか確認し実 装石に立つよう促した。 「べっ別に俺は命まで取ろうと言うんじゃない。俺は君の飼い主にズボンを弁償して欲しいだけなんだよ」 『ありがとうございますデス。私からもご主人様にちゃんと言いますデス。さ、家に帰る前にお前達もニンゲンさんにキチ ンと謝るデス!』 殺されない事に安堵した実装石は、籠を覗いて仔達にもトシアキに謝るよう声をかける。 『チププ。ママは何を言ってるテチ?何でワタチ達がドレイニンゲンに謝らないといけないんテチ』 『ワタチ達は何にも悪い事はしてないテチ。そこの貧相なニンゲンに高貴なワタチ達のウンチをプレゼントしてやったんテチ♪』 『オネチャ達の言う通りテチュ。ニンゲンこそワタチ達に土下座して感謝するべきテチュ』 親実装とはうって変わって、完璧に糞蟲な仔実装達の発言を聞きトシアキはキレて何か言おうとする前に、再び親実装がト シアキに土下座をする。 『申し訳ありませんデス!どうか仔達を許してやって下さいデス!家に帰ったらちゃんと躾をするデスから、今回はどうか 許して下さいデス!』 「ま…まぁ君がそこまで言うのなら今回は聞き流そう。それよりも君達の家に案内してくれないか」 完全に出鼻をくじかれたトシアキは怒りのやり場も無く、親実装に飼い主の家まで案内するよう促す。親実装はもう一度お 辞儀をしてデッコイしょっと掛け声をだして籠を担ぎ歩き始め、トシアキに家を説明する。 家に着くまでの間、籠の中から仔達が『ドレイニンゲン、ママの変わりに籠を担ぐテチ』等々糞蟲全開の発言を繰り返すので、その 度に親実装は真っ青になり、仔達をしかりつけては土下座をしようとするので中々進まなかった。 そんな事を何回も繰り返している内にようやく実装石の飼い主の家に到着した。家に着くや実装石は玄関脇の実装サイズに 作られた出入り口から入って行き、飼い主を呼んで来た。 家から出てきた飼い主は実装石に着せている服と同じような、豪華だが悪趣味な服を着たオバサンで、トシアキが何度説明 しても「私の家の仔実装ちゃんが、そんなイタズラをする訳が無い」の一点張り。 親実装も何度か必死に説明してくれたお陰でようやく非を認めてくれたが、ズボンの弁償には応じてくれなかった。「まぁ 仔実装がした事ですから」と言いのけ、反対に実装石のイタズラ程度に目くじらを立てるトシアキの方がおかしいと言い立 ててきて、捨て台詞として「これ以上何か言いがかりをつけるのなら警察を呼びますよ」と、取り付く暇も無くドアは勢い よく閉められた。 数分間締められたドアの前で立ちすくんでいたトシアキだったが、ふつふつと怒りがこみ上げてきた。飼い主とは似てもに つかぬ丁寧で躾の行き届いた親実装石に免じて弁償だけで済ませてやろうと思っていたが、絶対に復讐をしてやると決意し 帰路についた。もちろん部屋に入る前に糞が付いたズボンは脱ぎ捨てゴミ袋に入れるのは忘れない。 部屋に帰ってきてからずっとどのように復讐しようか考えるトシアキであったが、さすがに飼い実装を殺す事は躊躇われた ので考えが詰まった。 何度か部屋の中を歩き回って考えている時、ふと今日大学で友人にもらったガムの事を思い出した。ガムをくれた友人が言 うには何でもガムに体内に吸収される香料が含まれているそうで、香料が体に吸収されると汗腺から水分が分泌される際に 一緒に匂いも分泌されるそうで体臭が良い香りになるのだとか。 これは使えると思ったトシアキは急いで材料を揃えに部屋を飛び出した。 一時間後、トシアキは部屋には戻らず大学の研究室で作業に取り掛かった。 準備したのは甘い匂いのする香水に寒天、片栗粉、そしてアンモニア水。噛むと匂うガムからヒントを得て、食べると体が 臭くなるグミを作って仔実装に食べさせ臭くするという、何ともスケールの小さい復讐である。 自分にアンモニアの匂いがうつらないように、完全防備で身を固めたトシアキは片栗粉にアンモニア水をかけて練り固める と、仔実装でも丸呑みできる程度の大きさの団子状に整え、アンモニアをたっぷりと含んだ臭い団子の匂いが出ないように 周りを寒天でコーティングし、美味しそうなお菓子と思わせる為に甘い匂いのする香水をたっぷりと振り掛け乾くのを待っ て出来上がり。 トシアキは早速出来上がったアンモニアグミの効果を試す為に夜の公園に繰り出した。公園に入るなり媚を売りながら一匹 の実装石がトシアキに駆け寄ってきたので、こいつにグミを食べさせる事にした。 『ニンゲン!手に持ってる甘い匂いのする物をよこすデス!』 「まぁ他の探すのも面倒だしお前でいいや」 『つべこべ言って無いでさっさと渡すデス。高貴な私が食べてやるんだから、ありがたく思うデス』 トシアキからグミを2粒奪うや実装石は意地汚くクチャクチャと音を立てて食べ始める。実装石がグミを食べている間にトシ アキは実装石を見定める。野良にしては服は綺麗だし、体臭も野良にしては臭く無いので、グミの効果が解りやすいだろう。 「どうだ?旨いか実装石」 『甘くて旨いデスー。表面はプニプニとしてて中はもちっとしているのが最高デスー。もっとよこすデスー』 甘味など付けてないのだがっと不思議に思うトシアキであったが、どうやら実装石はグミの表面にかけた甘い匂いのする香水 の匂いで、この食べ物は甘い物なんだと思い込み、味など無いのに甘いと感じているようだ。思い込みが味覚を凌駕するとは デタラメな生物である。 実装石の要求を無視し効果が現れるのを10分程待っていると、実装石からとても臭い匂いが漂ってきた。アンモニアは毒性も あるのだが、実装石が臭い以外には異変は見受けられない。実験は成功のようだ。 実装石も匂いを察知したのか、ピスピスと鼻の穴を大きく膨らませて辺りを嗅ぎ始める。 「お前が臭いんだよ実装石」 『デデッ!?そんなはずは無いデス!私は毎日水浴びも洗濯も欠かさないデス!鼻が死んでるんじゃないんデスかニンゲン!』 「いいから自分の体を嗅いでみろよ」 清潔な自分がと言いながらも自分の体を嗅いでみた実装石だったが、自分の体から発する余りの臭さにパンコンしゲロを吐き ながらのたうち回る。 『オェェェェェ……。くっ臭いデス!私の体がとっても臭いデス。おかしいデス。さっきまではこんな匂いはしてなかったデ ス』 トシアキは未だのた打ち回りながらゲロを吐く実装石をほって公園を後にした。ちなみにその野良実装がその後どうなったの かは知らない。 次の日。トシアキはいつもより早く起き昨日の飼い実装石の家の近くに隠れて、飼い実装石達が散歩に出てくるのを待った。 一時間ほど待ってみたが一向に現れる気配が無かったので、一度帰って昼にまた来ることにした。 そして昼に再び見張ってみたが、再び現れる様子はみられない。昨日いちゃもんを付けられたと思っている飼い主が警戒して 散歩にださないようにしたのかと思い今日は帰ろうと思った時、昨日の実装石が籠を背負って出てきた。 昨日だけ籠を背負っていたのかと思っていたが、どうやらこの実装石は散歩に出る時は仔を籠に入れて連れ出しているようだ。 実装石が何処に向うのかは知らないが、気づかれないように後を追う。歩く速度が遅いので危うく追いつきそうになり、気が つかれたかと心配するも気づいた様子は見られなかった。そこでトシアキはさっさとグミを籠の中に入れて後は観察をするか と考え、持っていた40粒程のグミを親実装にも仔実装にも気づかれないように放り込む。 『テチャ?何か空から甘い匂いのする物が一杯降ってきたテチ』 『普段から行いの良くて可愛いワタチ達に神様がプレゼントしてくれたんテチュ♪』 『そうと解れば早速頂くテチ♪』 昨日実験の後に友人から借りた実装リンガルの集音モードで仔実装達の話を聞いていたが、相変わらず都合の良い思考しか出 来ないようだ。突然お菓子が降ってきたのに、不信に思う事も無く仔実装達は一斉にグミを食べ始めた。 『甘くて旨いテチュー♪』 『ほんとテチー。ほっぺたが落ちちゃいそうテチー♪』 『ママにはあげないでワタチ達だけで食べるテチ』 仔実装達が背の籠の中ではしゃいでいるのに、親実装は籠を背負って歩くのが大変なのか全く気づいていない。そしてものの 数分で仔実装達は40粒程あったグミを平らげた。 『ふぃー腹ん中がパンパンテチー♪』 『もっと食べたかったテチュ』 『ワタチ達は行いも良くて可愛いテチから、神様がまたくれるテチー♪』 仔実装達が戯言をほざいている間に、実装石達の目的地である飼い主の家から20m程離れた場所にある公園に着いた。住宅街 の真ん中にあり、水道もトイレも噴水も無いこじんまりとした公園なので野良実装は住んでいない。 だから飼い主は家から差ほど離れていなくて、野良に襲われる心配も無いから実装石だけで散歩させている。ただ公園の入り 口には実装石を公園に入れてはいけませんって看板があるのだが、飼い主はスルーしているようだ。 親実装は砂場近くで籠を下ろし一匹ずつ丁寧に抱いて外に出してやる。まだ効果は現れていないようで親実装は普通に仔実装 に接している。 その後も観察していたのだが、仔実装達が砂場で仲良く遊んでいるのを親実装が少し離れた場所に腰掛眺めているだけで、親 実装も仔実装もまだ匂いに気づいた様子は無い。 途中、子連れの若い女性が公園に遊びに来たが、実装石が公園で遊んでいる姿を見るや汚物を見る視線で実装親子を睨み付け て大きく舌打ちをして帰っていった。まぁ実装石に興味が無い人の普通の対応なんだろう。小さい子に何かされたら困るから な。 『お前達そろそろ家でおやつの時間デスー。帰るデスー』 『テチャー!もう帰る時間テチー。時間がたつのは早いテチー』 『アマアマの時間テチュー♪』 『一杯遊んだから汗で服が気持ち悪いテチ。帰ったらドレイに命じて着替えるテチ』 親実装の呼びかけに仔実装達は服についた砂を払う事もせず、走って親の元に駆け寄る。親実装は早く着いた仔から服につい た砂をはたいてから抱き上げて籠に入れようとするが、仔から放たれる余りの匂いにさっと離れて手で鼻を抑える。 『テチュ?ママー早く籠の中に入れてテチー。帰ってアマアマ早く食べたいテチー』 いつもなら直ぐに自分達を抱き上げて籠に入れてくれる親が嫌な顔をして距離を置いたので、首を傾げながら早く籠に入れて と要求する仔実装。 『お前達ウンチもらしちゃったデスー?とっても臭くて近寄りたく無いデスー』 『ワタチウンチもらしてないテチ!オネイチャがもらしたんテチ!』 『テテッ!何を言ってるテチ!ワタチも漏らしてないテチ!イモウトチャ達臭いから、イモウトチャ達が漏らしたんテチ!』 『ワタチウンチ漏らすような糞蟲じゃないテチュー!上のオネイチャこそ臭いから漏らしたんテチュ!』 ようやく匂いに気づき、仔実装どうしで臭いのはお前達だと言い争いをしだし、念の為なのか一応自分の体を嗅ぎはじめる。 すると昨日の実装石と同じく余りの匂いでパンコンし、のた打ち回りながら盛大にゲロを吐き出す。 『オェェェェェェェ!ワタチが臭いなんてありえないテチー!毎日ドレイにお風呂に入れさせているのに、おかしいテチ!』 『テホッテホッ!これは悪い夢テチ。高貴な飼い実装であるワタチが臭いはずが無いテ、オェェェェェェ!』 『オェェェェェ!ゲロが止まらないテチュー!』 『お前達吐くの止めるデス!帰ってご主人様に言って体を洗ってもらうデス!だから早く吐くの止めるデス!』 それから30分程ゲロを吐き続けた仔実装達だったが、ようやく吐き出すものも無くなったのか白目を向いてピクピクしている。 親実装はとても臭くゲロとパンコンで汚れきった仔実装達をあまり触りたくないのか、鼻を押さえながら片手で雑に掴みあげ てはゴミを捨てるかのように雑に籠の中に放り込んでいく。 『デェェェェ。籠からも匂ってくるデスー。何でこんな事になったんデスゥ?仔達が臭くて汚れているからきっとご主人様に 怒られるデスゥ』 仔実装達を入れた籠を背負って帰路に着く親実装だが、籠の中からも漂ってくる悪臭に顔を顰めながら、この後飼い主に怒ら れるだろう未来に大きなため息をついた。 そんな親実装の後ろから伺っていたトシアキだったが、アンモニアグミの効果は絶大だったようで5m程離れていても、その 臭さが感じられトシアキまで嘔吐しそうになるのを必死で堪える。 『ご主人様ー今帰ったデスー』 親実装は臭いのを我慢して、ようやく家に着くやいつもの様に玄関脇の実装用入り口から入っていく。しばらく家の外から中 の様子を伺う事にしたトシアキだったが、直ぐに家の中から飼い主のオバサンの悲鳴と、窓をあけて何か外に投げ捨てた音が 聞こえてきた。 『デジャァァァァァ!ご主人様ー中に入れてデスー!私は臭く無いデスー!』 どうやら親子ともども庭に放り出されたようで、親実装が必死に中に入れてくれと懇願しているようだ。必死に笑いを堪えな がらトシアキは隠れて庭の様子を覗き見ると、マスクにビニール手袋をした飼い主も庭に出てきた。飼い主は親子にホースで 水を浴びせかけ、洗剤を振り掛けてからタワシでまず親実装から洗いだした。 『デギャァァァァ!痛いデス痛いデス!ご主人様それは体を洗う物じゃないデズゥゥゥ!』 タワシで一こすりされるたびに親実装は悲鳴をあげる。何回か繰り返した後ようやく匂いがしなくなったと飼い主は満足した のか、親実装を解放したが、親実装は虫の息のでピクピクと仰向けに倒れたまま起き上がらなかった。親実装はアンモニアグ ミを食べて無いから臭く無いんだから、とばっちりをくらったのだ。 飼い主は次に仔実装達に取り掛かる事にしたようで、三匹から服を取り上げ裸にしてからまとめてバケツの中に放り込み、ト イレブラシで仔実装達を洗いはじめる。 『テチャァァァァァ!痛いテチー!ワタチの美しい髪の毛が抜けたテチー!』 『テェェェンテェェェン!体が痛いテチー。ドレイ、もっと丁寧に洗うテチー』 『テェェェェェ、体のあちこちが痛いテチュ。これはきっと何か悪い夢テチュ。高貴なワタチ達がこんな扱いを受けるはずが無いテチュ』 その後10回洗った所で飼い主はバケツの中の仔実装を嗅いでみたが、匂いが取れていなく「まだ臭いわ」と再び洗い始める。 『テヂャァァァァァァ!ドレイもうやめるテチ!ワタチに対してこれ以上の無礼は許さないテチ!』 『テチャァァァァァ!おててが、ワタチの可愛いおててが片一方動かなくなったテチ!テェェェンテェェェン!』 『も、もうダメテチュ……。体が痛すぎて動かないテチュ……』 その後何回も何回も洗われるが匂いが取れず、飼い主は仔実装達を洗い続ける。その度に仔実装達は大きな声で悲鳴をあげて いたが、徐々に声が小さくなっていった。一匹頭10数粒ものアンモニアグミを食べたのだから、そうそう匂いが抜け切る事は 無いだろう。 トシアキはこれ以上笑いを堪えられないのと、仔実装達が飼い主にある意味拷問を受けているので復讐は果たしたと、その場 を後にした。 復讐を果たした次の日。トシアキはいつものように大学に向って歩いていると、途中のゴミ捨て場にピクピクと動くコンビニ 袋が捨てられていたので拾って中身を確認してみると、中には昨日トシアキに復讐を果たされた瀕死の仔実装達が禿裸の状態 で入れられていた。一番ちっさな仔実装は体が擦り切れて死んでいたが。 どうやらあれからも力強くトイレブラシで洗い続けられたのだろう、仔実装達の全身は傷だらけで二匹も生きているのが不思 議なぐらいだ。 飼い主の必死の洗浄も虚しく匂いが取れなかったので、こうして捨てられたのだ。一夜明けた今でも顔を背けたくなる程匂う のだから。 仔実装達はトシアキに気が付き、大きな声を出す力も残されていないのか、消えそうな程か細い声をあげ保護を求める。何を 言ってるのか大体想像がついたので、トシアキは袋をきつく縛ると、力強く電柱にぶつける。中から「ヂュッ!」と二匹の仔実 装の悲鳴が漏れてきたが、構わず何回も声が聞こえてこなくなるまでぶつけ続け、声がしなくなったのを確認すると袋を元の 場所に戻してその場を去った。 そして昨日の飼い主の家のそばを通ると、保健所の車が止まっていて荷台には鉄のゲージが置かれており、中に入れられた実 装石が必死にわめき散らしていた。トシアキは昨日の親実装だと慌てて携帯を取り出し実装リンガルアプリを起動させる。 『デジャァァァァァ!私は病気じゃないデスー!仔達の事は何かの事故デスー!私は関係無いデスー!だから捨てないでご主人様ー!』 もっと聞こうとしたが、家の中から人が出てきたのでトシアキは慌てて電柱の影に隠れると、その間に車は発進してしまった。 あんな臭い仔を生んだ親は欠陥品と愛想を着かした飼い主が保健所に頼んで処分してもらう事にしたのだろう。 親実装は生体登録されているから普通のゴミでは捨てられないからな。 トシアキは親実装に少し悪い事をしたかなと一瞬思ったが、直ぐに実装石の事は頭の片隅に追いやり大学へと向って行った。 END ------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 第五段スクです。 前作、作物被害の結果に感想を下された方に、この場を通してお礼申し上げます。 前作は確かに川側を囲んでなかったのに、そちらへ逃げる実装石の事を書き忘れていました。私のミスです。申し訳ありません。 今回は虐待?物に挑戦してみたのですが、相変わらず地の文の説明臭くて長いですね。今後はもっと良い文が書けるよう精進い たします。 では、最後まで読んで下さった方、ありがとうございました。
1 Re: Name:匿名石 2018/10/17-03:32:24 No:00005631[申告] |
正統派リベンジ物で良いな、欲を言えばもっと愛誤派BBAに制裁を与えて欲しかった
親実装はそこまで悪くないとは思うが、まあ実装だからいいだろ。 デッコイショってフレーズが面白かったw 10年前のスクだが面白い物は面白い |
2 Re: Name:匿名石 2018/10/19-22:13:11 No:00005640[申告] |
親はあんなクソ愛誤に飼われても礼儀正しいままのいいやつなのにかわいそうに
あと、これじゃ愛誤BBAは今日ちょっと臭かっただけで反省しないだろうな もっと社会的に死んでほしい 10年ぶりくらいに読んだけど良作は良作だった |