「特売品」 ああっなんてこったここ最近物価が上がって来ていたが とうとう貧乏人の味方であったパック入り食用実装が5円も値上がりしている 世知辛い世の中になったなと思いつつそれをカゴに入れた 会計を済ませエコバックに買った商品を詰め込み肩に掛ける 途中で託児をしようと仔を投げて来るのを華麗に躱しながら帰路につく 早速パック入り食用実装を取り出し開封する 数秒でそれは蘇生しテチテチ鳴きだす コンロに小鍋を置きお湯を沸かしている間食用実装をからかって遊ぶ   そうこうしている間に鍋が煮立って来たので 「そろそろ頃合いか…」と言いつつ食用実装を放り込む テチャーという叫び声が心地よい ふと開封したパックを見ると同封されていた偽石が ビキビキとひび割れていくのが分かる 適当にひびがが入ったところでザルに上げて水道水をぶっかける 温度差で悲鳴を上げるがすぐに痛みが和らいできたのか大人しくなる   イイ感じに茹で上がり冷水でシメて茹で実装の出来上がりだ タレは小鉢に麺つゆにワサビを少し溶かして 適当に刻み葱とミョウガをぶち込む ザルの中で息も絶え絶えになっている茹で実装を皿に盛り 予め炊いたご飯をよそって食膳に並べた 冷蔵庫から缶ビールを取り出して夕飯の準備が完了だ  缶ビールを半分くらい一気に飲み干し余韻に浸った後 ご飯を掻きこみ茹で実装をタレに浸してかぶりつく 火傷に沁みるのかタレに付けた瞬間まだこんな元気があるのかと思う位の悲鳴を上げる まずは腕を齧る一瞬の沈黙のあと再び声を上げだす こうして手足を順番に齧りその度に律義に上げる悲鳴を聞きながら 食事を進めていく 最後に頭を齧るとゲポッという断末魔を上げて動かなくなった 口にはミソの味が口いっぱいに広がり それをビールで洗い流す   残った胴体は噛み応えがありホルモン焼きのような食感がする 少しずつくちゃくちゃと噛みながら食べていき 交互にビールを流し込んだ 半分ほど残してご飯に乗せてそれを一気に掻きこんで 食事が終わった オカズの品数は少なかったが結構満足感のある食事だった 後は風呂に入ってネット配信を観たら就寝だ 明日は休日だどこかに出掛けてみるか…  終