最近よく立つスレを見ていたらまたスク書きたくなって書いたデスゥ・・ 稚拙なスクで申し訳ないデス -------------------------------------------------------------------------------- とあるクリスマスの明けた日。 とあるショップの実装石の親子のお話。 「いっぱいいた人間さん達が今日はいないテチィ・・」 「クリスマスというのが終わったからデス」 「ワタチ達にはサンタさんこなかったテチ・・」 ボール遊びをする子を見ている親。 クリスマスは明け、セールが終わって閑散となってしまったショップでは当たり前の後継だった。 だが尚且つセールが終わっても売れ残ってしまった、親子は大特価になっている。 「もう残ったのは私達だけみたいデス」 そう呟いたのは隣のケースにいた同じく3匹の親子の実装石。 「もう他のケースは皆、いっぱいいたニンゲンサン達にラクエンに連れて行ってもらってるデス・・」 一昨日、昨日と一生懸命2つの親子は歌い踊りアピールをした。 だがしかし売れ残ってしまっていた。 原因は”親子”になってしまったからである。 おおよそ売れるのは単体の子であり、コストの掛かってしまう親子はそもそも避けられていた。 「いっぱいオウタやダンスしたテチ・・なんでテチィ・・」 「元気出すデス、まだチャンスはいっぱいあるデス」 そう嘆く子供達を慰めるお隣の実装石。 「そうデス!諦めないでニンゲンサンが見に来たらまたアピールするデス!」 「「頑張るテチィ!!」」 鼓舞する実装石の親子 お隣同士で同じ境遇、励ましあう。 ショップで妊娠してしまったのは、本当にたまたまであった。 お触り厳禁だったショップでたまたま蓋を外して、イタズラをした子供の服に花粉が付いており それが元は一緒のケースに入っていたこのお隣同士の実装石を、妊娠させてしまったのであった。 ショップとっては不幸であったが、当人はママになれると非常に喜んでいた・・・だが結果が今の通りである。 その時不意に、ショップの入り口が開いた。 「デ!」 「テチィ!」 2組の親子が一斉にそちらを向いた。 ニンゲンさんだ! 「お前たちアピールデス!」 「「テチィ!」 同時に歌や踊りを始める2組の親子。 「デデッスーン♪ デデスーン♪ デッス〜〜ン♪」 「「テテッチーン♪ テテチューン♪ テッチュ〜〜ン♪」 実装石はこうした時にいつも思い出す。 真っ暗な中、だけど暖かいところで聞いた顔の見たことの無い”ママ” それは胎教で、暖かい気持ちになれる歌だった。 「お前達は賢いデス〜♪ いい子デス〜♪ ニンゲンサン達に飼われてラクエンに行くです〜♪」 「美味しいものいっぱい、綺麗なオベベも着れるデス〜♪ 幸せいっぱいな毎日デス〜♪」 「ニンゲンサンに逆らっちゃダメダメなんです〜♪クソムシになったら捨てられちゃうデス〜♪」 そんな歌を毎日毎日聞かされ、ある日その暖かい場所から出されて目が眩む程に眩しい場所にいたのを覚えている。 眩しすぎてママの顔を覚えていない・・・のか、もしくはすぐにママと離れてしまったせいか。 お隣と競うように歌や踊りをしているとニンゲンサンが近づいてきて、じっとこちらを見ている。 きっとチャンスだ! 「デデッスーン♪ デデスーン♪ デッス〜〜ン♪」 「「テテッチーン♪ テテチューン♪ テッチュ〜〜ン♪」」 その時ニンゲンサンが顔を上げて後ろを向いてしまった。 失敗だったのだろうか・・。 「デス・・」 「テチュウ・・」 歌を止めてしまってお互いに残念そうに見る親子。 だが・・・。 「デス?」 その時親の方を店員が抱いた。 「デ!?デス!?」 これは・・、これは・・! 「ママ!やったテチ!」 「ワタチタチも選ばれたんテチ!」 カウンターに置かれる親実装、だけれども後が続かない。 「デス・・?」 そうなのだ、買われたのは親だけだった。 リンガルを持った店員が親に話す。 「良かったね、お前やっとここを出て”飼い”になるんだね。」 「デス!?」 それは出来ない! 私だけならせめて子供達を連れていって欲しい! 「ニンゲンサンお願いデスゥ!子供達も一緒にお願いするデス!」 「申し訳無いんだけど・・、この人は君だけを希望なんだ。」 目を丸くする実装石。 なんで私だけ・・!あの子達を残してはいけない! カウンターの上でご主人様になるだろうニンゲンサンの服の裾を掴み 「ニンゲンサン、お願いデスゥ!あの子達!あの子達を置いてはいけないデス!  だからお願いするデッス!一緒に連れていって欲しいデス!!」 そう必死にお願いする実装石、後ろで二匹の仔実装が一生懸命にテチテチ騒いでいる。 しかし店員がそれを遮り・・・ 「駄目だよ、ワガママを言っちゃ」 「デ!・・・デス・・・」 そうだワガママは言ってはいけないと何度も教わった。 だけれども・・今は・・・今は! 「それでもなんデス!お願いデス!あの子達、あの子達もお願いするデス・・・!」 一生懸命に服を引っ張りお願いするが男は後ろは見ない。 そうこうしている間に、支払いは終わり店員が親実装の首にリボンをする。 「デ・・デス・・」 「「ママテチー!ママテチィーー!!」」 必死に叫ぶ我が子の声を背中に夢にまで見た飼い実装になった証の首のリボン。 何度夢見ただろう・・だけど・・。 不意に目線が一気に高くなる、男に持ち上げられたのだ。 「「ママー!!ママーー!! テチューーー!!」」 「お前達ごめんデスー!! だけどママがいなくなればすぐにラクエンに連れて行ってくれるニンゲンサンが現れるデス!」 実装石はずっと見ていたのだ、ラクエンに連れていかれる他の仲間は”一匹” ずっと自分がこの子達の邪魔になっているのだとも。 「ごめんデスー・・・!! ごめんデスーーー!!」 男に抱きかかえられ肩越しに子供達に謝る親実装。 ショップを出る前に店員と男が何か話をしているが、リンガルが無いのと子との最後の別れに必死になっていたので気づいてはいなかった。 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 抱きかかえられながら、泣く実装石。 しかし、次第に初めて見る外の世界に驚く事ばかりであった。 ショップに来る以外の多くのニンゲン、行きかう多くの車、今まで見たことも無い建物。 生まれたばかりの頃に色々教えてもらっていたが、こんなにも知らない物ばかりとは! 子供の事が引っかかりながらも、ついキョロキョロ周りを見渡してしまう。 そのうちに大きな公園に差し掛かる。 「デ・・?」 その入り口の隅やフェンス等から自分達と同じような実装石たちが、大小様々こちらを様子を伺うように見ている。 外にいる実装石を見るのも初めてだった。 だけど昔に何か教えられたような・・・。 等と考えていると男が、ある家のドアを開ける。 「デス〜〜・・・」 初めて家という中に入り、またもあちこちを見て驚く実装石。 キョロキョロ見ていると男が声を掛けてきた。 「やあ、お待たせ。」 「デ?」 「ごめんね、リンガル忘れてたんでやっと君と喋れるね。」 「デデ!初めましてデス!ゴシュジンサマ、これからよろしくお願いしますデス!」 「おお、偉いね自分でここまで挨拶出来るんだ」 「デ!デス〜ン」 ご主人様に褒められ、照れる実装石。 「じゃあ名前を決めようか・・そうだな・・君の名前は今日からテンだ。」 「テン・・テン・・デス!ありがとうございますデス!!」 テンは下を向いて嬉し泣きをする。 ようやく本当に・・本当に飼い実装になれたんだ! 夢にまでみた、”ラクエン”に・・・! 「いやいや、そんな大層なものでも無いのに泣かないで」 「でもでも・・嬉しいデス・・ ずっとずっと夢にまで見ていた名前もデス・・」 男はテンを頭を撫でで慰める。 テンは何もかもが嬉しかった、嬉しかったのだが・・。 「デス・・デスゥ・・」 やはり心残りだった、残した2匹の子。 上手くやっていけるだろうか・・、粗相やわがままをいってはいないだろうか・・・。 「さぁこれにお着換えしないとね。」 「デス?」 そこにはショップで見た人間が連れている飼い実装が着ているいるような綺麗なピンクの服だった。 「ありがとうございますデス・・!ありがとうございますデス・・・!」 「そんな大層なものでは無いって・・・、さあお着換えしよう。」 泣きながら一気に叶っていくテンの望み。 着替えをしトイレやおもちゃの場所を教えていくうちに、日はいつも間にか落ち食事の時間になる。 だが時間が経つにつれ、どんどんとあの子達の事が気になってしょうがなかった。 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 「どうしたの?食べれない?」 「デス・・違うんデス・・」 目の前に出されたショップでは、食べた事がないようないい匂いのする実装フード。 もさもさ食べているをやはり心配がられ・・・ 「何?何かお気に召さなかったかな?」 「ち、違うんデス!ワガママじゃ・・ないんデス・・」 ワガママはクソムシ、絶対にダメと躾けられたテンはそうではないと否定する。 言おうか言うまいか・・。 「デ・・」 顔を上げると男はにっこり微笑んでいる。 ・・言っても大丈夫だろうか。 「何でも言ってみなさい、聞いてあげるよ」 そう言われ決心し、生唾を飲み込み決心して男に伝える。 「ゴシュジンサマ・・お願いがあるんデス・・」 「ショップに置いてきた、ワタシの子どうしても心配なんデスゥ・・」 「うん、それで?」 「一緒に連れてきてあげて欲しいデス・・」 「心配なのは分かるよ、でも一匹しか飼ってはあげれないんだ」 やっぱりとシュンとするテン。 その様子を見て男が悩んだようにテンに言う。 「テンのお願いが一生に一回と言うなら聞いてあげよう」 「デ!本当デス!?イッショウにイチドのお願いデス!!」 一気に目が輝くテン。 男が笑い・・・、そして 「じゃあ分かったよ、一生のお願いだ」 「ゴシュジンサマ!ありがとうデス!」 「なら明日一緒に迎えに行こう」 その後テンは興奮し夜も中々寝付けなかった。 決して優しいご主人様と一緒になったせいや、初めての自分専用のベッドで寝れたからでも無い。 (やったデス!ついについに・・夢が叶ったデス・・!) 次の日の朝、男と実装石はショップに向かう。 「デス♪デス♪デス〜ン♪」 「ご機嫌だな、テン」 ついに親子で一緒にラクエンに住めるのだ、これ以上の喜びはないだろう。 その後、ショップに着いて感動の親子の再開。 一緒に住める事を伝えると同時に店員が2匹をケースから出して、テンの腕の中で親子が抱きしめあう。 店員がテンに話しかける。 「実はね、昨日あの人に言われたんだ子供を取っておいてくれって」 「デス!?」 「きっとこうなるからってさ・・」 そう、あの最後の瞬間に男がショップの店員とやりとりしていたのはこれだった。 テンは男にかけより足元に抱きついた。 「ありがとうデス・・ありがとうデス・・」 足を抱きしめすすり泣くテン。 「大好きなゴシュジンサマデスゥ・・」 2匹の仔実装にもリボンがされ、大喜びし親子3匹歌いながら家路に着く。 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 家に帰り、同じように名前をくれ着替えるのかと思っていた。 「こっちに来なさい」 とある昨日一緒に過ごした部屋やバスルーム、寝室でもない部屋の前に呼ばれる3匹。 「テチュゥ・・ワタチもママと同じおベベ欲しいテチ・・」 「ワタチも可愛いオベベと可愛いお名前欲しいテチ・・」 「ワガママ言っちゃダメデス!ゴシュジンサマを困らせるのはクソムシデスゥ!」 そんなやり取りをしていると男がドアを開ける。 「テンの子達にはこっちで暮らしてもらうよ」 暗い・・何も見えない・・何か非常に臭い・・それと同時に嗅いだ事のある嫌な臭い・・・。 親子が恐る恐ると中に入る。 男が明かりつけた。 ・・・そこには。 「デ・・・?」 「テ・・テチ・・・」 目の前の光景が信じられず、呆気にとられる親子。 その部屋にショップで見た同じケースがあり・・・ 中には大勢の実装石や仔実装、親指や蛆の死骸。 そして嗅いだ事のある嫌な臭いは水槽の下に敷き詰められた糞だった。 --続く--