続々々々々実装小話  8    完全駆除部隊 とある街に実装石を駆除する民間企業があった。 ≪実装駆除します。その他実装で困っている方よろず引き受けます≫と看板を揚げている。 会社名は、「perfect ridding」 依頼の大半は、公園に住む実装と民家の周辺に住んで居る実装であるが、この企業では、実装を根絶やしにする為に、仔実装を手なずけて、住処を聞きだす。 そして、人目につかない所に住んで居る実装迄完全駆除をしてくれると評判の企業だ。 『完全に駆除してくれる』噂が噂を呼び、仕事の依頼が殺到しているが......。 但し、仕事の請負は1週間で2件しか引き受けない。だが、人は待ってでも仕事を依頼したい。 当然、支払う代金は法外なものだ。だが、人は大金を払っても仕事を請け負って欲しい。 今回の仕事は、双葉市公会堂周辺の公園全てと実装が、ニンゲンに気付かれずに穴の中に住んで居る実装達、公園の外に隠れる様に巣を作っている実装の駆除だ。 と、言うのも今回、内閣総理大臣が選挙応援演説でこの地を訪れる。 依頼人は、この地域を地盤にしている、自民党公認、以前、防衛大臣を務めた事もある虐待派の国会議員である。 *未だ今は、衆議院議員選挙の時期じゃないではないか、などと言わないで読んで下さい。 当然、自民党推薦の公認候補者は総理に『此処には沢山の実装が住んで居て、野放しなっているじゃないか!』なんて言われたくも無いし、思われたくも無いからだ。 今回のプロジェクトに任命されたのは、よしあき率いる『プロジェクトチームA』だ。 1週間を掛けて実装の根絶をする。 ......................................................................................................................................................................................... 俺は、チームのメンバー数人を連れて明け方に双葉市に乗り込んだ。 車から降りると、実装臭いがそこかしこに充満している。 未だ、餌を取りに出かける時間には、早すぎる。家族全員が段ボール箱の中で寝ているだろう。 双葉第一公園の実装駆除から手始めに殺るか。 公会堂周辺には、この公園を含めて4つの公園がある。 車から5匹のドーベルマン(*以降=犬)を出すと......。 「さあ、お前達、実装を1匹残らず始末して来い。」 犬達は、実装を起こさない様に≪そぉ〜っと≫段ボールに近づき、中に入った。 そして、親実装の喉笛に噛みつく「・・・・・」奴らは必死に逃れようとする。 力の強い犬は、実装を咥えたままハウスの外へ連れ出し、喉を噛み潰して声が出ない様にして、始末した。 訓練を重ねているから、実装の声を出さずに始末も出来るし、偽石の場所も体の何処に有るか解るみたいだ。 次々と親実装の偽石を踏み潰したり、噛み砕いたりして始末するのだ。 俺達は、段ボールの数と親の数を数える。中には、親が居ない所もあるが、多くても公園に1つあるかないかだ。 そんな事は、調べれば直ぐに解る。 次は仔実装を始末する番だ。 普段から走り廻って遊んでいる仔実装は、疲れているから眠りが深い。ちょっとやそっとでは、目を覚まさない。 俺のやり方は、各段ボールハウスで寝ている仔実装は、全部始末せず、1匹は残して置く。 特に親の居ない家なら仔実装から親は死んでいるのか、確認しないといけない。 鍛えられた犬達は、寝ている仔実装の偽石の場所を素早く判断して、一気に踏み潰して始末する。 仔実装達は、声すら、悲鳴すら上げられずに絶命する。 そんな、要領で仔実装1匹を残して、公園の段ボールハウス全ての実装を始末していくのだ。 更に穴に住んで居る実装も居る。そんな奴は犬ではどうにもならないので、駆除剤を穴に放り込むと中から実装共の断末魔が聞こえてくる。 協力なコロリだから穴な中を一々確認しなくても死んでいる。 しかし、完全駆除をするのが会社の決まりだ。儀石サーチで反応を確認して、反応無ければ次の穴を攻撃する。 犬が奴らの居場所を教えてくれるから探す手間が省ける。 又、仔実装は、段ボール箱から引っ張り出されても、起きない。熟睡している。 引っ張り出した仔実装をガラスケースに入れて、捕獲して置く。 大体1つの公園に多くて30〜40の段ボール箱がある。 段ボール箱全ての実装を始末し終える頃には、東の空から太陽が昇り始める。 すると、捕獲した仔実装共が目を開ける。 「テチャ!此処は一体何処テチ?」 「お前、痛い!テチィ〜!上に乗っては駄目テチ!重いテチ」 そんな事を言いながら糞蟲のガキが目を覚ます。 「ニ......ニンゲン?どうして......どうしてニンゲンが居るテチ?」 「ワタチ達、つ......捕まっているテチィ〜!助けてテチィ〜!」 「オイ!ニンゲン、高貴なワタチに無礼を働くとぶっ殺すテチ!」 自分の置かれた立場を理解する者、立場も理解せず逆らう者、色々だ。 何処の公園に駆除に入っても自分の立場が解らない奴は必ず居る。 俺は、威勢の良い仔実装をケースから摘まみ出して……。 「大した度胸だ。ニンゲンに捕まってそれだけの大きな態度とは、死ね!」 「死ねって、二......ニンゲンさ......」≪テッチャー!≫ 俺は、ガラスケースの中の仔実装に見せしめにする為に、仔実装を地面に叩き付けた。 更にその上を安全靴で踏みつけて......。「解ったか!ニンゲンに逆らうとどうなるか!」 そう言うと、仔実装は恐れをなして、大人しくなる。 そして、「今から質問をする!答えたら餌をやる!もしかして、隊員に気に入られたら、飼いにもなれるかもしれん! 但し、嘘をついたら殺す!解ったな!解らなかったら黙っていろ!何度も言うが、嘘を吐いたら即殺す!この公園の外に巣を作って行き来している奴が居たら教えろ!」 すると1匹の仔実装が、手を挙げて「ワタチは、知っているテチ!」 「ほ〜う、何処だ!」 仔実装をケースから出し案内させた。 「このフェンスの穴から行き来しているテチ、あそこの藪の中に巣があるテチ」 目を凝らすと、木や草でカモフラージュしているが、確かに段ボールハウスがあった。 「此処には、この公園のサブリーダが住んで居るテチ、彼奴は用心深くて抜け目が無いテチ、気を着けてテチ」 犬に探りに行かすと、段ボール箱の前で≪じっと≫している。 「中にいるのか」 俺は犬に始末する様に合図した。 犬は、ゆっくり段ボール箱の中に忍び込み......。成体実装の喉笛に食い付いて出て来た。 そして、実装を上下に振り回して、地面に叩き付けて始末した。 更に、中に居る仔実装を1匹残して始末して段ボールの外へ放り出した。 「どうして!どうしてママや妹ちゃん達を殺したテチィ〜!」涙を流して泣いている仔実装を摘まみ出して来た。 「おい。お前は、公園の外の他の場所に同族が巣を作っているのを知っているか?言えば餌をやるぞ」 そう尋ねると......。 「知っていても教えないテチ!家族みんなを皆殺しにする様な奴に!」 「お前は、親、姉妹を殺された、今後どうやって生きて行くのだ。餌の取り方を知っているのか?親が居ない仔実装は、 同族の餌になる確率は高いぞ、此処で知っている事を話せば、餌を貰えるし、もしかしたら保護して貰えるかも知れん、どうなんだ!」 「本当に、本当に知らないテチ!」 「そうか」 俺は仔実装をそっと地面に置いた。 「た......助けてくれるのテチ」 嬉しそうにしている仔実装の後ろから、犬が襲い掛かって押さえつけた......。「二......ンゲンさ......た......助けて」 「俺は、知っている事を喋れば保護して貰えるかもと言った。何も知らなければ生かして置く必要もない」 犬は、仔実装の頭を≪グシャ!≫踏み潰した。仔実装は、痙攣しながら死んでいった。 「他に知っている事は、無いのか」と聞くと......。「ごはんを......ごはんをくれる約束テチ!」 「おい!此奴にフードをやってくれ、俺達は、もう一度公園の外を探して見る。何か言ったら連絡をくれ!」 ............................................................................................................................................................................... 「了解!」 私は、このチームの女性隊員である。 優しい笑顔で仔実装の不安を取り除くのが私の役目だ。 『この仔実装は、ケースに入っている他の仔実装と違い小奇麗だ。何故だろう?』 私は不思議に思ったが......。 『まあ、いいや、ちょっと煽てて......』 「可愛い仔実装ちゃんね。ごはんをあげるわ」 そう言って、長テーブルを出しそこに、実装フードを置いてやった。 仔実装は、≪むしゃむしゃ≫無邪気に餌を貪りだした。 「本当に可愛い仔ね、私のペットにしようかしら」 「ほ......本当テチ!飼ってくれるテチ!」 「じゃあ〜、他に知っている事教えてくれるぅ〜」 『もしかして飼い実装に......なれる』そう思った仔実装は、次々と知っている同族の住処を喋った。 私は、仔実装が喋った事を現場に伝えた。全てビンゴだ。 どうやらこの公園を仕切っていたリーダー各の実装の子供だったようだ。どうりで小奇麗はずだ。 時刻は午前10時、隊長から「この公園の駆除と最終確認は終わった。他の実装が渡りをして来ない様に、薬剤も散布した。次のエリアに移動するぞ!」と連絡が入った。 「もう知っている事は、全て喋ったテチィ〜。ワタチも飼い実装の仲間入りテッチ。宜しくニンゲンさん」 そう言って満面の笑みを浮かべて、私の手に擦り寄って甘えて来た。 「でもねぇ〜同族を裏切る様な糞蟲を、私が生かして置く訳ないじゃない、まして野良なんか」 「テチャ?」 私は指で仔実装の首を思い切り≪パキ!≫折った。 「テパッ!」そう言って仔実装は、涎を垂らし笑顔のまま仰向きに倒れ、手足は痙攣して《パキン!》偽石を割って死んだ。 音と同時に顔から血色が無くなり、笑顔のままの気持ちの悪い顔に変わっていった。 「相変わらず、ウェハースみたいに脆いわね」 野良仔実装なんかに情けは無用。 私はこうやって仔実装を油断させて情報を引き出す役目が仕事。 .............................................................................................................................................................................. ガラスケースに入れられた捕獲した仔実装は、コロリを上から散布して駆除し、先程殺された裏切り者も一緒に実装廃棄ボックスに放り込む。 駆除は想像以上に早く終わった。 次のエリアに移動する。 上手く行けば、今日1日で公園二箇所の完全駆除も出来そうだ。 *今回も愛くるしい仔実装の挿絵を参考にしました。 FIN