捨てられた飼い実装   【モモちゃんのお熱が下がらないんデスゥ〜・後篇】   ワタシは「ユキ」このおうちの飼い実装デス! このおうちに来て1年経つデス! 可愛い子供も沢山授かり大変幸せだったデス! ところが、ゴシュジンサマの嫁と言う女が来てから、様子が一変したデス! ゴシュジンサマは、その女の言いなりで全く頭が上がらない様子デス! 更にその女が来てから、ワタシの可愛い子供が次々居なくなったデス! ゴシュジンサマに相談しても「どっかに遊びに行ったんじゃねぇ〜か!」とか「五月蠅せぇ〜よ!俺は疲れているんだ!てめえのガキなんだろ〜が!てめえがちゃんと管理しろよ!」 とワタシに対してだんだん偉そうに怒る様になったデス! そんな事をしている内、子供が次々に行方不明になり残っているのは、賢い長女の「モモ」だけになったデス! 最後の子供が居なくなってから日が経っているデス! 行方不明の子供達は、もうこの世に居ないと思っているデス! 多分あの女が、殺したはずデス!いいえ間違いないあの女が、殺したデス! でもワタシは、長女のモモだけは失いたくないデス!絶対に! ワタシは、長女を守る為、この仔が成体実装になるまで、大人しく従順に従う振りをしたデス! 季節は、ワタシがこの家にきた仔実装の頃の秋と言う季節になったデス! あるとても寒い日にモモが、高熱を出したデス! ゴシュジンサマに相談したデスが、「風邪をひいたんじゃねぇのか!今夜は抱っこして寝ろ!」そう言われたデス! ワタシは、寝ずの看病をしたデスが、モモの熱は一向に下がらないデス! モモはとても苦しそうだったので、朝、ゴシュジンサマに「モモちゃんのお熱が下がらないデスゥ〜! 今すぐに病院に行かないと死んで住まうかも知れないデスゥ〜!とお願いしたデス! でも「ああ!帰って来てからな!」と冷たく突き放したデス! 玄関のドア―も鍵が掛けられて、おうちに閉じ込められたデス! ワタシは、ゴシュジンサマの言葉を信じて、お部屋に籠ってモモを抱っこして、ゴシュジンが帰って来るのを待ったデス! ............................................................................................................................................................................... 会社に行く道中、亜季が「言う事も聞かないで、散々逆らった挙句に何よ!あれ!」と怒りをあらわにした。 「実装とか動物の病気は厄介だな!本当に!」 「病院に連れて行くと騙して捨ててくれば!」 「そうだな!」 そんな話をしている内に駅に着いた。 「私の方があなたより先に家に着くけど!病院なんかに連れていかないわよ!彼奴は、私達に従順なふりしているけど、腹の中では仕返しを考えているわ!」 「病院に連れて行け!と付きまとわれても困るだろう!今日は金曜日だし明日会社は休みだ。今夜は、外食して一緒に帰ろう!」 「そうね!」 俺達は、そう言って会社のある方向の電車に向かった。                    ................................................................................................................................................................................ モモは、相変わらず苦しそうデス! 朝より息遣いも荒くなって来て、ワタシの服の袖をずっと掴んだまま放そうとしないデス! お顔も段々真っ赤になって来たデス! モモをしっかり抱いて布団に入って温めてやったデス! どれ位時間がたったか知らないデスが、気が付けばお外が真っ暗デス! もうすぐ、ゴシュジンサマが帰って来るデス! でもいくら待ってもゴシュジンサマは、帰って来ないデス! あの女は、いつも外が明るい内に帰って来るのにどうしたんデス! こんな非常事態に本当に役に立たない糞奴隷ニンゲンデス! モモが元気になり、成体実装になった時には、思い切り仕返しをしてやるデス! そんな事を考えていると玄関の電灯が点いてゴシュジンサマが帰って来たデス! ワタシは、モモを抱っこしたまま、ゴシュジンサマの所に向かったデス! 「ゴ……ゴシュジンサマ!早く!早く!モモちゃんを病院に連れて行ってデス!」 「何だと!今は、もう午後10時だ!実装病院はもう診察時間は終了している!」 「そ……そんな!そんな!おうちに帰ったら病院に連れて行ってやると言ったデス!嘘を吐いたデスか?」 ワタシが怒ってゴシュジンサマに迫ると、あの女が、何かゴシュジンサマに耳うちをしたデス! 「解ったよ!病院に連れて行ってやる!車に乗れ!」と言ってくれたデス! やっぱり言うときは、ゴシュジンサマに対しても怒ってきつく言えば、動いてくれるデス! これからは、ゴシュジンサマに対しても言うべきことはきつくハッキリ言えばいいデス! ワタシとモモは、車に乗せられ病院に向かったデス! これでモモも元気になるデス! .................................................................................................................................................................................. 午後10時、夕食を済ませた俺達は、家に帰った。 玄関の電灯を点けると、ユキがモモを抱っこして「病院に連れて行け!」と言って来た。 「何だと!今は、もう午後10時だ!実装病院はもう診察時間は終了している!」 「そ……そんな!そんな!おうちに帰ったら病院に連れて行ってやると言ったデス!嘘を吐いたデスか?」 『ちぇ!鬱陶しいなぁ〜!あの糞ガキ未だ生きてやがったのか!仔実装の癖にしぶとい奴だ!』 すると亜季が、「このタイミングで捨てて来れば!後1時間もすれば雨が降るわ!」と耳元で囁いた。 「飼っていても一文の得にもならない、俺は元々ユキ自体来て欲しく無かったし!捨てるか!雨が降れば温室栽培の様な弱っちい実装親子も死ぬだろうし!」 亜季とリンガルのスイッチを切って話をした。 「解ったよ!病院に連れて行ってやる!車に乗れ!」 何かをモモに言ってから俺の後から着いて来たので抱っこして2匹を車に乗せ夜の道に出た。 俺はこいつ等が、二度と戻って来られない様に、郊外にある双葉山の西坂登山口の駐車場に捨てる事にした。 あそこは、猪やアライグマ、狸、野良犬が沢山生息しているから襲われる事は間違い無い。 そんな事を考えながら走っていると、双葉山西坂登山口駐車場の街灯が見えて来た。 ロクに外にも出た事が無いから何処に病院があるか解らないだろう。 「着いたぞ!降りろ!」そう言ってこいつ等を来るから降ろした。 「その道を真っすぐ行けば実装病院だ!車のエンジンを切ったら俺も行くから先に行ってろ!」そう言うとユキは、≪トテトテ≫モモを抱っこして歩いて行った。 俺は、こっそりその場から離れた。 こんな場所に放置されたら、奴等も無事では済まない。 俺は、携帯電話で亜季にユキ等親子を捨てた事を報告して自宅に向かった。 ...................................................................................................................................................................................「モモ!やっと病院で診て貰えるデス!もう少しの辛抱デスよ!」 「モモ!やっと病院で診て貰えるデス!もう少しの辛抱デスよ!」 「テ……!テチュウゥ〜」と弱々しい返事を返して来たデス! 頑張るデス!モモゴシュジンサマが、病院に連れて行ってくれているデスよ! 暫く走るとゴシュジンサマが「着いたぞ!」そう言ってワタシ達を車から降ろしてくれたデス! ワタシは、ゴシュジンサマに「先に行ってろ!」と言われたので電灯の点いている方に病院がある方向に向かっていたデス。 でも.......。 そこには、病院らしき建物は、何も無かったデス。 でもゴシュジンサマを信じてそのまま歩いて行くと、急な坂道が見えて来たデス。 『此処には、病院なんか無い!』ワタシは、そう思いとっさに来た道を引き返したデス。 最初にゴシュジンサマと別れて、車から降ろされた所に来ると、ゴシュジンサマの車は無かったデス。 『捨てられた!ゴシュジンサマとあの糞女にやられた!』そう思ったデスが既に手遅れ。 如何したらいいデス!モモは、相変わらずの高熱で「ハア!ハア!」息遣いも荒くなって来たデス。 とにかくこの場から抜け出して、ニンゲンサンの居る場所まで引き返すデス。 ワタシは来た道を引き返したデス。運よく1本道で道に迷う事は無かったデス。 ≪パラパラ≫ 「デデッ!雨デス!早く!早く!ニンゲンサンの居る場所迄行かないと.......。」 段々雨足も強なって来たデス! 取り敢えず、雨宿りをしないとモモもびしょ濡れデス。 あそこに雨宿りできそうな建物が有るデス!あそこに入るデス!(=バス停か東屋みたいな物を想像して下さい) 建物に入った途端、「テチュウ!」そう言うとモモは、ぐったりしてワタシの服の袖を握っていた手が、ゆっくり下に垂れ下がったデス! 「モモ......モモ!しっかりするデス!死んでは駄目デス!!ママをひとりぼっちにしては駄目デス!」 そう言いながらも目から涙が溢れて来たデス! あれだけ熱かったモモの体がどんどん冷たくなっていったデス! 「モモォ〜!モモォ〜!」ワタシは力の限り呼んだデスが、遂にモモは目を開けてくれなかったデス! モモが死んでしまった。こうなれば、あの糞男(ゴシュジンサマ)と糞女に仕返ししてやるデス!殺してやるデス! 「モモ、彼奴等を殺してお前の敵討ちをしてから、もう1度此処に戻って来るデス!それまで此処で待っていてデス!」 モモが死んでがっくり来たのもあるデスが、体がとてもだるいデス! でもワタシとモモを捨てた恨みは晴らすデス! とても体がだるいデスが、ワタシは仕返しの為あの男の家を目指して、大雨の中を飛び出したデス! でも、走っても、走っても、山道を抜けないデス! しかもさっきからずっと何か後ろにいる気配がするデス! 一体、後ろに何が居るデス? 振り返ると......。 「デデッ!野良犬デス!それも数匹居るデス!早く逃げないと襲われるデス!」 そう言ってワタシは、必死で走ったデス!でも急に体のあちこちが痛く.....。 「デバァ〜!痛い!痛い!噛みつかないでぇ〜!」 .................................................................................................................................................................................. 次の朝、そこを1台の軽トラが通り掛かった。 道全体にバラバラになった成体実装の死体が散乱していた。 車から作業服を着た男が下りて来て 「汚ったねぇ〜なぁ〜!実装の肉が散乱している。大方、犬にでも襲われたな!野良実装の肉は、臭いからなぁ〜!食わずに噛み散らかしてやがる! こんな物の上を車で走ったら悪臭が取れねえ〜!」 そう言って男は、軽トラの荷台から古いシャベルを取り出し、実装肉を車が通れる様に道端に避け 「もうこのシャベルも使えないな!」そう言ってその場に捨てた。 FIN