大きな凧と仔実装(11/07) 「」 06/08/27(日)00:12:05 No.2086[返信]
しかし、ふっと下から風が吹き上げると、突然凧は姿勢を安定させ、またも高度を上げ
始めた。上昇気流に乗ったのだ。助かったことに気づくと、2匹ともほっと胸を撫で
下ろした。凧はグングン上昇してゆく。先ほどまでの恐怖を忘れ、食い入るように地上を
眺める2匹。今朝まで2匹にとって、世界とは、薄汚い公園と、時々母親と一緒にごみを
漁りに行く駅前の商店街が全てだった。一家はそのせせこましい世界で、暑さ寒さ、飢え、
暴力といったものに常に脅かされながら、生きるためだけの生活に追われていたのだ。
そうした下界の煩わしさから自由になったような、不思議な感覚に2匹は浸っていた。
やがて、2匹の頭上に白い雲が迫ってくる。夏の積乱雲だ。「テチー、でっかいわたあめ
デチ!」「甘いわたあめお腹いっぱい食べるデチ♪」はしゃぐ2匹。やがて、凧は雲に
突っ込んだ。 (続)